#10 世界にはびこる憂鬱を壊せ
雨が降っている。
今オレに肉体はないので濡れはしないが、傘は一応さしている。
雨のときは傘をさす。気持ちの問題だ。
ほかの転生者とぶつける、とはいったものの、具体的にどうするのかはまだ決まっていない。
あの荒廃世界のバァさん連れてきて解良瀬だけ殺させればよかった、などと考えても後の祭りである。
しかし、疑問は次から次へと湧いて出る。
この世界に魔法や超能力は存在しないはずなのだ。
だからこそ、「ここ」から転生者の輸出業が成り立っているわけである。
魔法の世界でこちらに来て、魔法が使えない。これでは転生のうまみがない。
輸入業は成り立たないはずなのだ。
ここからは、オレの推測になるが……
「世界」のバランスが崩れているのではないか。
つまりこの世界でも魔法やら超能力やらが使えるようになってきているのだ、と考える。
これが自然的なものか、誰かの陰謀なのかはわからないが、
オレにはこうとしか思えなかった。
――少し、実験が必要かもしれない。
雨は止んでいた。オレはまたエージェントのところに引き返す。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます