#9 解良瀬くんは解らせたい

俺はまたあのエージェントの白い部屋にいる。


「今度は何の用事で?」

白い部屋は嫌いだ。汚したくないから。


「お前を殺したヤツのことが分かってきた」

「マジか」


エージェントが資料を捲りながら喋る。

「あいつの名前は解良瀬わからせ達也たつや。宇宙の真理を皆に知らせたいそうだよ」


「はぁ!? 真理をわからせるのォ!?」

オレは吹き出しそうになる。


エージェントが真顔になる

「しかし、あなたはアイツに殺された。何らかの力がある」

「あるいは、この世界への転生者か」

「その可能性も高い」

オレも真顔に戻っていた。


「異世界転生の業界も一枚岩ではない。競業他社からの妨害もありうる」

「めんどくせぇ世の中だなあオイ」

「しかたないだろう、流行っているのだから」

「それもそうだがよ…」


出されたコーヒーを恐る恐る飲む。こぼしてしまっては白い部屋が台無しだ。

俺はコーヒーを飲みほした。

「で、解良瀬はどうするんだ」


エージェントがメガネを光らせて言う。

「ほかの転生者とぶつける。この世界に何を起こすかわからん」


たしかに、ここは俺たちにとっては基本の世界だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る