第116話 黒いボディに真っ赤な目
「やったか」
ムサシが叫ぶ。それはフラグです。言ったらダメなやつです。っていうかこれで倒れるとは思っていないカツヨリはリコにアイコンタクトを送って、自分も次の攻撃の準備に入っている。キングスケルトンは首が落ちても倒れずにたたずんでいる。落ちた首がケタケタ笑いだす。
「怖!でもやっぱりだね」
落ちた首が笑いながら宙を舞い胴体にくっついた。ドッキングってやつです。首を落としても倒せないって厄介だけど例の黒の境界ではアンデッドは不死になる。ならば境界を消すために中和すればいい。リコは聖魔法を使う。照明器具がキングスケルトンの頭上に現れ黒の境界が視認できるようになる。その黒い境界に白い光が貼りつく。そこを今度はカツヨリが身体能力強化を使い全力で斬った。
境界はヒビ割れて粉々に砕け散った。聖魔法があれば黒の境界恐れるに足らず。ムサシは黙って見ていたが作戦を理解したようでキングスケルトンに斬りかかる。キングスケルトンも強くムサシの攻撃を盾で防ぎつつ大剣で応戦している。リコのホーリービームが大剣にあたりキングスケルトンの攻撃が緩んだ隙にムサシは風魔法を纏わせた魔法剣を使う。トルネードを巻きつかせた剣で左足を斬り落とした。そして返す剣で右足も切り落とす。カツヨリはキングスケルトンの背後に回り込み胴に攻撃を加えるが鎧に弾かれる。
「なんだこの防具は。勇者装備ってやつをアンデッドが着けてるのか。マーリーさんよ、やり過ぎじゃね、って居ねーし」
マーリーは戦闘の間に姿を消していた。
キングスケルトンは両足がなくなり機動力がなくなったのでサンドバック状態だ。3人の集中攻撃を受けて倒れた。
「お、宝箱が出た。やっとダンジョンらしくなったぞ。何が出るかな、何が出るかな?」
カツヨリはルンルン気分で宝箱を開けた。
「何だこれ?」
中には20cm程の黒い石が入っていた。魔石とも違うし宝石でもないようだ。なんだかわからないけどとりあえずカツヨリはその石をアイテムボックスにしまった。キングスケルトンの周りには兜、鎧、大剣が落ちていたのでそれも回収した。
その後カツヨリ達はダンジョンの奥深く入っていった。出てくるアンデッドもだんだんと強くなりBランクも出てくるようになったが今のカツヨリ達には足止めにすらならない。ただ、カツヨリ達は気付いていなかった。カツヨリ達が倒した魔物達は魔源に還りある魔物のエネルギーとして還元されている事を。
そして20階層にきた。雰囲気が異様だ。明らかに何かがいる。ムサシは、
「これだ、わしの感じた嫌な物は。ここにいるぞ、諸悪の根源が」
諸悪の根源か。魔族グドラの亡骸と防具もここに飛んできたのか?さて、どんなのが出るのかな?リッチより上ってどんなアンデッドなんだ?
冷静に周囲を確認すると、いかにもボス部屋らしき扉がある。
「まああそこだよな。罠もなさそうだし行きますか?準備はいいか?補給は今のうちに」
リコは3人に回復魔法をかけ、MPが回復するまで待ってカツヨリにいいよ、って合図をした。ムサシは魔道具の確認をしてカツヨリに合図をする。では、行きますか。
扉を開けると部屋の中が暗い。天井は高そうで部屋もかなり広そうだ。でも暗い、これってまさか部屋全部が黒の領域?だとすると破壊できない?ま、まずい。
「ガッターン」
扉が閉じてしまう。やばい、これはやばい。リコが聖魔法を使う。
「ホーリービックライト」
部屋の真ん中上空に巨大なスポットライトが複数現れ部屋を照らした。部屋の奥に強そうなアンデッドが1匹、その横にドワーフのマーリーがいる。手前にいたグールやスケルトン、ゴースト達はリコの聖光を浴びて消滅していく。が、光の届かない部屋の隅から次々とアンデッドが生まれていく。生まれて進んでは光で浄化されを繰り返している。
「リコ、光を切らすな。消えたらやばそうだ」
カツヨリは正面のアンデッドと目があった。黒いボディに真っ赤な目、バイオアンデッドとかはやめてほしい。その後ろにあるのはダンジョンコア!?マーリーが何かを繋いでいる。カツヨリは惚けて聞いてみた。
「マーリーさん、何をしているのですか?」
「お前達を葬る為の準備だ。お前達を倒してから魔王城へ乗り込みここにいる四天王グーリーが魔族を治める。世界改革が始まるのだ」
何言ってんだこいつ。殺すしかなさそうだ。その時、ムサシが叫んだ。
「カツヨリ。あれを見ろ、わしが気持ち悪い理由がわかったぞ」
なんだ、あれって何?と正面を見る。なんか景色が歪んで見える。えっ、あれって魔源か。魔源がダンジョンコアに吸収されている。どうやらダンジョンの魔源が魔物になる➡︎カツヨリ達が倒す➡︎ダンジョンに戻るはずの魔源がダンジョンコアに吸収される➡︎新しい魔物が生まれるというサイクルだからおかしくは無いような?いや、違う。ダンジョンコアからの魔源エネルギーがグーリーに流れているようだ。
部屋の隅から生まれるアンデッドが減っていく。ダンジョンにあった魔源が減少したのか?そしてアンデッドが生まれなくなった。つまりこのダンジョンにあった魔源エネルギーは全てダンジョンコアに吸収されて魔物が発生する分のエネルギーがグーリーに流れてるのか。
グーリーが被っていた黒いフードを取った。アンデッドで顔は骸骨なのに目と髪の毛と耳がある。両耳が長い、ま、まさかエルフ?
「確かにカツヨリに似ているな。私は四天王のグーリー。魔王に代わり暗黒を司る帝王になる者だ」
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