第113話 カツヨリ対グドラ
「人間よ、我の名はグドラ。魔族四天王グーリー様にお仕えするものだ」
カツヨリは、グドラが言い終わると同時に魔炎陽炎を仕掛けた。アンテッドなら光と炎に弱いってのが定番だ。シュラウスの剣に火の魔力を纏わせ、残像を残し一気に斬った。
「キン!」
金属音がしてカツヨリの剣が弾かれ、カツヨリも勢い余って山肌に激突する。すぐさま起き上がりスキル加速を使って距離を取る。
「何が起きた?何に弾かれた?」
グドラは声高々に、
「フォ、フォ、フォ。これだ。凄まじいぞ。これを求めていたのだ。我はついに光を、炎を、そう弱点を克服した。これで我は不死身となった。我には四天王すら跪くであろう。魔族最強は我だ。フォ、フォ、フォ。マーリーよ、よくやってくれた。お前の村の安全は約束しよう。他のドワーフは皆殺しだ」
「よく喋る骸骨だなあ。気色悪いぞ」
「なんだと。さっきの攻撃はなかなかであった。以前の我ならやられていたであろう。だが、今の我は無敵、跪け。お前は強者のようだ。従うなら悪いようにはせんぞ」
カツヨリは会話しながら分析していた。あの洞穴の入り口にいるのがドワーフのマーリーか。マーリーは魔族についたってことね。てことはグドラってやつは勇者パーティーの防具かなんかを身につけて強くなったって事かな?太陽を克服したのもなんか特殊なアイテムってとこか。あいつを倒して素材回収すればいいんだね。
だが、全力の魔炎陽炎が弾かれるとはどういうことだ?魔法防御力が高くて硬くてさらに強化魔法でも使ってるのかな?
カツヨリは知らなかったが、グドラは魔法、物理耐性に優れたオリハルコン製の鎧、光を克服する5つの魔法石を散りばめた腕輪、これは魔力増幅も兼ねている逸品だ。そして闇の杖、これは魔王が使っていたと言われている全ステータスを2倍にする効果に加え、アンテッド系魔物が弱点が無くなる効果もある幻の武器だ。目には見えない闇の領域を自分を中心に展開しているため、この中にいる限り不死となる。グドラはマーリーに素材を与え抹殺された幻の武器、防具を復活させたのだ。
マーリーは、黒いペンダントをしていて目が虚ろだ。グドラに操られているようにも見える。カツヨリは、
「あんたがマーリーさんか。なんでゴーリーを殺した?仲間じゃないのか」
「ゴーリーは素材を渡すように言ってきた。王の命令だとな。今まで放っておいて何を偉そうに。わしはドワーフの凄さを世に知らしめるのだ、そのためにこの魔族と組んだ。教えてやろう、ゴーリーを斬ったのはわしだ」
あれ?操られているんじゃないのか?目が虚ろなのは自分に酔ってる?そのマーリーも剣を持っている。ゴーリーは結構強かった。隙をついたのだろうがゴーリーを倒したのだからマーリーもそこそこ強そうだ。ふと洞穴の奥を見るとスケルトンが大勢控えている。だけど表には出てこれないようだ。どうやら光を克服したのはグドラだけみたいだ。
「さて、と。ところで四天王ってのもここにいるのかい?」
「教える義理はない。で、どうするのだ。我に従って生きるか、ここで死ぬか?」
「どっちも嫌だね」
その時炎の竜巻がグドラを襲った。リコの上級魔法、エクスファイヤーストームだ。竜巻はグドラの位置で止まり唸りを上げ、しばらくして消滅した。カツヨリはグドラがリコに気付かないように会話して意識をカツヨリに向けさせていたのだ。完全に不意をついて上級魔法が直撃したのだが、
「フォ、フォ、フォ、今何かしたのか?」
そこには無傷のグドラが立っていた。それを見たムサシが二刀流で斬りかかるが、剣が身体に当たってもキン と音がして弾かれてしまう。そしてムサシを風魔法が襲う。グドラからウィンドカッターが飛んでくる。ムサシは避け、剣で払うが魔法は消えずブーメランのように再びムサシを襲う。ムサシは必死になって躱すがいくつかのカッターを食らってしまい血が吹き出る。
「ムサシ、下がって」
リコがファイヤーボールを5連発でグドラに放ちムサシを下がらせ回復させる。グドラはファイヤーボールを避けもせずに喰らいなんくるないさ〜って顔をしている。
カツヨリはその攻防を冷静に見ていた。そして、グドラは無傷ではなく高速で回復しているのに気がついた。
「なんだろう?結界、いや違うな、直接攻撃は当たってる。何かあいつが有利になるような空間にいるとか?ムサシ、リコ、なんかもう少しで攻略のヒントが掴めそうだ。続けて攻撃してみてくれ」
リコとムサシはお互いをみて、頷いてから仕掛けた。
「ホーリービーム、ウィンドカッター」
「喰らえ、新技、冬・豹氷剣」
リコの連続魔法で一瞬傷つきすぐに回復、そしてムサシの剣で剣が当たったところが凍りつくが一瞬で溶ける。カツヨリはそれを凝視している。
「わかったぞ」
そういってスキル加速を使いリコ、ムサシの背後に素早く移動して作戦を話した。
「では行きますか、リコ、頼むぞ」
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