第97話 ギルドへ
店主はドワーフのおっさんだった。年齢は?全くわからん。カツヨリの問いに固まっている。
「あ、あのー?」
「ああ、すまん。あまりにも想定外だったのでな。魔力を剣に付与したいのか?どこでそれを知った?」
「戦いの中で学びました。それで剣についてもっと知りたくて」
「なんだと。魔力付与が使えるのか、その若さで。剣を見せてくれないか?」
カツヨリは悩んだ末、シュラウスの剣を見せた。
「!!!!!、これは。この剣では不足なのか?だとすると、うーむ」
店主は考え込んでいる。
「この鍛冶場はラッションというドワーフが経営している。優秀なデザイナーを金で掻き集めてそこそこの剣を作っているんだ。だが、これだけの剣はここでは作っていない。わしは元々山の中に住んでいてそこで鍛治を学んだ、腕に自信があったのでこの町に出てきて武器を作っていたのだが大手の鍛冶場には勝てなくてな。今では店をたたんでここの手伝いをしているんだ。おっとすまない、話が逸れたな。これ以上の剣が欲しいのならガッキー山のレンドラ村へ行くといい。そこに偏屈だが腕のいい爺さんがいる。名前はレビン。この町のドワーフは腕はそこそこだが所詮そこそこなんだ。そこまで強い武器の需要がなかったからな」
つまり、この町でシュラウスの剣以上の物は手に入らないという事だ。ヤンギュー国の鬼斬丸、これが手に入るまで今のままっていう訳にはいかないだろう。カツヨリの勘がそう言っている。
「ありがとうございます。行ってみます」
「若いの、名前は?」
「カツヨリといいます」
店主はマジマジとカツヨリをみた。
「レビンというじいさんに必ず会ってくれ。カツヨリが来たら連れてこいと言われていたのを思い出したよ。わしの名はカインだ、頼んだぞ」
ムサシは情報を集めるためにギルドにいた。カツヨリから魔族と神獣の情報を集めるように言われていたのだ。ムサシ自身は魔族とは遭遇していない。半信半疑だったが、リコ姫も対峙したというので間違いないのであろう。
「ギルマスにお会いしたいのだが。これがラモス国のギルドマスターからの紹介状だ。わしはAランクパーティー、
ギルドの受付嬢は可愛らしい少女だった。この町は治安が良く大きな事件もない。冒険者パーティーも一番強くてBランクだ。王都まで行けばSランクがいるが会ったことはなく、威圧感のあるムサシの雰囲気にびびってしまっている。
「お、お、お待ちを」
逃げるように奥の部屋に入っていってしまった。当のムサシは我存ぜぬだ。しかしこのパーティー名はなんとかならないものか。カツヨリが一歩も譲らないという事はそれなりに意味があるのだろうが全くわからん。しばらく待っているとギルマスが出てきた。ドワーフだ。
「ようこそエンドラへ。わしはこの町のギルマスでガイガンという。奥の部屋に来てもらえないか?」
ムサシはギルマスの部屋に入った。
「いい町ですな。だが、その書面にあるように危機が迫っておるはず。何か傾向はありませぬか?」
「魔族復活とは。今のところこの町周辺ではめだった変化がない。気になるとすればガッキー山の方で魔物の動きが活発化している事だがギルドメンバーのいい稼ぎになっているよ。さほど強い魔物も出ていないし。この手紙にあるようなBランクの魔物など見たこともない。王都の方へ行けば稀に出ると聞いた事があるが、この辺りはEランクやDランクが多い」
「そうですか。わしらがここに来るまでにはCランクの魔物が多かったですが。ところで新しいダンジョンはできていませんか?」
「情報は入っていない」
「そうですか。ではもう一つ。神獣というか、昔話、Sランクの魔物の伝説やら何か知りませんか?どうも神獣は4匹いるらしいのですが居場所がわかりません」
「神獣?そのような物がいたという話は聞いた事がない。王都のギルドに聞いてみよう。この紹介状も王都へ持っていく、書いてある事が本当なら大変な事だ」
「簡単には信じられないでしょうな。だが事実。冒険者の戯言ではなく、ギルドからの手紙です。ご用心を。リーダーに相談しますがこの町に長居しても情報は入らなそうです。先程のガッキー山というのはどういったらよろしいか?」
「街道を王都の方へ向かう途中にある山だ。ドワーフの故郷と言われている山だ。そうだ、ガッキー山にはまだ昔ながらのドワーフだけの村がいくつか残っていると聞く。そこに行けばさっきの神獣の話が聞けるかもしれんぞ」
ムサシはギルドを出て宿へ戻った。目指すはガッキー山だ。
さて、カツヨリは宿へ戻ろうとして神殿を見つけてしまった。ガッキー山に行く前に済ませた方がいいよね。神殿を見ると下半身が反応するようになってしまったのはなんなのでしょう。罪な私。
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