第98話 ドワーフの神殿で
エンドラの神殿は屋根が変わっている。どっかで見たことあると思ったらしゃちほこだよ、これ。なんで異世界にって、これも勇者カツヨリなんだよなきっと。500年前かあ、そういえば駿府城にしゃちほこあったなあ。
神殿の周りには人がチラホラ。並んでいる人はいなさそうだ。
「こんにちは〜」
カツヨリは挨拶をして扉を開けて中に入った。中は教会のようになっていて信者らしき人が数人座ってお祈りをしている。正面には神官らしき30代半ばの人が話をしていた。お、ついに若熟女登場。
「女神様の名前は伝わっておりません。500年前に魔王を討伐された勇者カツヨリ様は女神様への信仰を閉ざさぬよう各国に神殿を建設されました。勇者カツヨリ様は女神様のお力を借りて世界を平和に導かれたのです。皆様のお祈りが続く限りこの世界の平和は保たれます。女神様に感謝を」
神官の話が終わると信者らしき人は1人づつ女神像にお祈りを捧げてから部屋を出ていった。最後の1人のお祈りが終わると神官がカツヨリを見た。
「神殿にようこそいらっしゃいました。お祈りですか?」
「お話を伺いに参りました。エンドラへは初めて来たのですが、先程の方々は女神様の信者の方ですか?」
「はい。女神様はこの世界を平和に導いてくださいました。皆がお祈りをする事で女神様をお助けする事になるのです」
ほう、それがゴッドポイントになるのか。てことはここはいっぱい溜まってるのかな、GPってやつが。最後の1人が神殿を出て扉を閉めた。密室ターーーイム!カツヨリは神官を見つめる。神官がなんでしょうという顔からだんだん女の顔になっていく。
「お名前はなんとおっしゃいますか?素敵な方ですね、どうしたのでしょう。顔が火照ってしまって」
「カツヨリと言います。ラモス国から来ました。旅人です」
「勇者様と同じお名前!そういえばどこか勇者様に似ていらっしゃる。それで火照ってしまっているのですね。私の操は勇者様の物です。今まで守ってきたのです」
何度経験してもすごいな、スキル魅了の効果は。まあ、据え膳食わぬはなんとやらなので、ここは一戦。
……………………、
「ハア、ハア。相変わらず激しいのですね」
「やっと出てきたな、エリアル。聞きたい事だらけだ。まず神獣というのはどんな存在でどこにいる?」
「慌てなくてもこの神官はGPを貯めこんでいますので今日は時間がありますよ。私も久し振りなんで楽しんじゃいます」
「こら、俺は女神としてるんじゃないぞ。てか女神って性欲あるのかよ」
「無かったはずなんですけどね。カツヨリ様が上手なので目覚めちゃいました、テヘ!。この神官はゴッドポイントが多いので一体化できてるのです。こんなチャンスはなかなか、アン」
いいのか、これ。
「で、質問に答えてくれ。タラさん以外の神獣についてだ」
「神獣はこの世界を作った時に、最初に産まれた生物です。4種類といいますか4種族といいますか、蜘蛛、龍、鯨、猿です。それぞれが色々な進化をして様々な鳥、虫、魚、人になりました。最初の生物を人間は神獣と呼んでいるようです。その生物は私の力を分け与えて産まれました。そしてその神獣達は生きています」
「どこにいる?魔王との関係は?」
「猿はこの国にいますよ。ガッキー山の近くのダンジョンに。勇者カツヨリが封印していたのを魔族が復活させたようです。龍は獣人の国、ドロス国の龍王山にいます。そして鯨は行方がしれません。生きているのは感じるのですがどこへ行ったやら?」
「強いのか?」
「勇者パーティーが倒せなかったようですね、生きているのですから。その頃は倒れてたのでわかりませんが強いと思いますよ。それとご質問の魔王との関係はわかりません。神獣は私の子供のようなものですが魔王は違いますので」
「俺が神獣を倒したらどうなるんだ?」
「どうにもなりません。神獣達は子孫を広める役目は充分に果たしています。カツヨリ様の気の向くままにしていただいて結構です。倒せればですが、ね」
エリアルは、倒せるの?この間歯が立たなかったくせに、という目でカツヨリを見ている。ムカついたのでスピードアーーーップ!!!!!
気がつくと神官の膝枕で寝ていたようだ。しまった、気合い入れすぎてもうた。せっかくなので神官からも情報を取る。
「なぜこの国は色々な人種が仲良く暮らせているのですか?」
「この国の王はドワーフです。ドワーフは手先が器用で物作りには長けていますが、短所も多いのです。それを補うといいますか、王は得意な分野を伸ばし、不得意なところは得意なものにやらせるのがいいとお考えになられました。結果、色々な人達が楽しく生活できる国になったのです」
「敵というか、魔物に襲われたりは?」
「この町の周りには強い魔物はいません。山や森の奥深く入るといるそうですが、定期的にギルドが討伐しているようです。王都にはSランクの冒険者がいるので安心なのです。それに、王族のドワーフは戦闘に長けているそうです。Sランクの人も王族の血を引かれているそうです」
「勇者カツヨリ像はないのですか?」
「はい。突然消えたのです。一体何があったのでしょう」
やっぱり。俺の転生と関係あるね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます