第76話 カイマックス
盗賊の名は、カイマックス。カイマンとゼックスから取った名だ。ゼックスはハゲールの森の中に本拠地を置き、カイマンはローラとともにラモス国へ拠点を移した。鬼族にだけ伝わる変化の指輪を身につけて他人になりすました。ローラは母ミランダと妹のシェリーには何も告げずマルス国を去った。
「これが鬼族が盗賊団を作った経緯です。その後、盗賊団はラモス国ではカイマックスと名乗り、この国ではゼックマンと名乗るようになったそうです。当時の王、私の曾祖父ですがカイマンが居なくなり腐敗政治を止められず病に倒れました。祖父が王となり率先して改革を進め、現王である父の代でなんとかまともな国になりつつあります。ですが、祖父は改革を行う為にゼックマンと手を結んでいたようで、それを知った父は盗賊とは手を切ると言い出しました。私が襲われたのはそのせいだと思います」
王女、エリスタンはリリィに聞かせるように騎士カインに説明をした。リリィはシェリーの名前が出てきた事に驚いていた。ウサギ獣人でシェリーってアキールのギルドにいるあの人よね?そんでもってカイマンとゼックスが手を組んで内部が腐ってるから外から国を改革するために盗賊になったということみたい。いい盗賊って事?それで盗賊と王が組んで国を立て直したけど、王様は盗賊と組むのがまずいと気付いて迫害でも始めたのかな?それで怒って王女を???でもアキールの盗賊は完全に悪だった。私は襲われたしリコも攫われていい盗賊のかけらもない。わからない事だらけだ。
その後襲われる事もなくリリィ達は町にたどり着きリリィはそのまま王宮に招待された。リリィは王女に頼みこの国に伝わる勇者伝説に詳しい人を紹介してもらった。
カツヨリはリコを探してハゲールの森を探索し隠れ家らしき建物を見つけた。中に盗賊らしき者達がいたので軽くもんでやったがリコの事は知らなかった。どうやらカイマックスの隠れ家のようだが特に盗品もなくただの宿泊所みたいなものらしい。
「女の子をさらって隠すとしたらどこだと思う?」
周りはみんな死んでしまい、一人だけ散々痛めつけられた盗賊は喋ろうとするが、その瞬間額にナイフが刺さり死んでいった。振り返ると、
「シェリーさん?いや違うか。うさ耳だけど。もしかして盗賊の仲間かな?」
「どうやらお前がカツヨリのようだな。表へ出な」
「リコはどこだ?」
「勝ったら教えてやるよ」
現れたのはウサギ獣人のローラだった。ローラはカイマックスの長老と言われているが見た目はまだ40歳くらいだ。カツヨリは、シェリーと似ているという事は戦闘スタイルも………と思いつつ外へ出る。急に色々あって、リリィまで居なくなった事を思い出しイライラ感が復活してきた。
「シェリーを知っているのかい?まあ関係ないけど。あいつとは縁を切ったんだ。で、お前がアキールのカイマックス支部を壊滅させたってのは本当なのかい?」
「襲われたんだ。なので返り討ちにした。それだけだ」
カツヨリは剣を抜いた。二刀流に構える。シェリーは武器を持っていない。
「いい返事だ。気に入ったよ。男はそうじゃないとな。ん?なに、お前強いな」
ローラはカツヨリの構えを見て戦闘態勢に入った。なにやら詠唱を始めている。カツヨリは試しに短剣を投げてみた。短剣はローラをすり抜けた、いや、素早く避けて戻ったのでそういう風に見えたのがカツヨリにはバレバレだった。だが、速い。今までの敵で一番動きが速い気がする。ローラの身体がボケる、えっ、陽炎!?
陽炎ではなかった、ローラは分身したのだ。2人、3人と増えていく。なんじゃこりゃー!前世の忍者達も出来なかった分身の術が見れるとは、ってあれ?イライラ感が吹っ飛んだ。
「残像、ではないのか。実態?」
ローラが3方向から襲いかかってくる。しかもフェイントをかけながらだ。右のローラのパンチを腕で受けると左のローラの蹴りを受け、正面のローラのパンチを躱す。敵の攻撃はこちらに当たっている、やっぱり実体だ。あっちゃこっちゃからの攻撃を受けまくる。ああ忙しい。
「忙しい、じゃねえよ。無茶苦茶すぎるだろ。全部実体みたいだし、ってどういう事だ」
「話す余裕があるとはな。これぞゾナン流格闘術奥義、
「いや、この状況は幸せとは言わない。一瞬斬るのがもったいない気がして躱してしまったが、なんか攻撃できないぞ。おかしいな、もしかしてスキルか?」
そう、カツヨリは両手剣状態だ。普通なら剣を振るって斬り刻んでいてもおかしくないのだが、なんで斬らないのか?実は斬れなかったのだ。これもローラの固有スキル
「これだけ攻撃を受けてなんともないのか?ならば!
分身が増えていく。分身の1人が土魔法でカツヨリの足を拘束し、他の分身がカツヨリに黒い布を被せる。
ん?目隠しか、と布を払いのけた時、目の前には!
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