第30話 謎のダンジョン
リリィが叫んだ。
「カツヨリ、早く助けないと。あの人たち猿の慰め者になってしまう」
それはわかるがさてどうするか。ここで見過ごすのは人道に欠けるがそれでもし全滅したら身もふたもない。シェリーを見ると頷いていた。仕方ない、腹を決めるか。
「パーティを2つに分ける。シドさん、オットーさんのパーティーの人達はさっきコングが現れた方向を調べてください。おそらくアースさんやオットーさんがいるはずです。生きていればですが。残りのメンバーはダンジョンに入り、女性の冒険者を救い出します、決して深入りしないように。危ないと思ったらすぐに逃げる事。では、出陣じゃあー」
何その掛け声?と言われたが気にせずカツヨリはダンジョン入り口前に進んだ。
「シェリーさん。ダンジョン攻略のヒントとかありますか?」
「ダンジョンはそれぞれ個性があります。なので決まった攻略法はありません。普通のダンジョンは下の階層に行く程魔物は強くなります。コングが何階にいるかです。敵が手ごわいようだとコングまで近づけないかもです」
それなら、コングより弱い魔物がいる階層にいるんじゃね?女好きの魔物がどんだけいるかはわからないけど、盗られちゃうじゃんね。
カツヨリ達はダンジョンに入った。先頭にシェリーとカツヨリ。その後ノイルのパーティーメンバー、その後ろにリリィとリコ、最後尾はノイルだ。背後から襲われる可能性もあるので経験豊富なノイルに後ろを任せた。
「なぜ明るい!」
ダンジョンの入り口からは洞穴の奥は暗くて見えなかったのに中に入るとなぜか明るい。どういう事?
「カツヨリはダンジョンは初めてですよね。ダンジョンの中は色々な設定があるのです。明るい階層、森、火、氷などそこに行かないとどうなっているかわかりません。誰かが行ったことのある階層の情報はギルドで得る事が出来ますよ。初めて行く人は入り口に入ってどういうダンジョンか調べてから装備を整えに戻るのが一般的です。準備をしてないと死にます」
怖い事を。危険だって事はわかった。さあ何が出る?
まずはバットという蝙蝠の魔物が襲ってきた。空から急降下してきて口で突いてくる。カツヨリは前に出て剣でバットを斬り裂いた。なんてことないじゃん、とその時数十匹のバットがカツヨリに襲いかかった。
「げっ、空からこれはキツイ」
ノイルのパーティーから魔法が飛びバットを倒していく。バットのHPは低いみたいで魔法一撃で倒れていく。楽勝かと思いきやカツヨリがバット2匹に噛まれた。
「いてて、こいつら、おっ何これ気持ちいいぞ」
バットはカツヨリのHPを吸い取った。その結果、バットは2倍の大きさになりシェリーに襲いかかった。シェリーは、パンチ1発で1匹を倒し、もう1匹はリリィが短剣で倒した。カツヨリはまだぼーっとしている。
「お兄ちゃん、しっかりして。ヒーリング」
リコが回復魔法をかけてしばらくするとカツヨリが我に帰った。
「バットは人のHPを吸い取って強くなるスキルを持っています。吸われた人はそれが癖になり、バットに命まで吸われる事があるそうですので気をつけて下さいね」
シェリーがカツヨリの状態を説明しつつ注意した。遅えよ!確かに癖になりそうだった。次は吸われないようにしないと。
再びバットが襲ってきたがカツヨリは小刀を投げて倒し、ノイル達の魔法で殲滅した。近づいたらやばい敵って事です。小刀と矢を回収し先に進むと今度は蜘蛛の魔物が現れた。
「ブラックスパイダーね。Eランクだけど糸を使うから気をつけて」
シェリーの注意が飛ぶ。ブラックスパイダーは集団で現れた。急に周囲が蜘蛛の巣だらけになる。糸出すのムッチャ速いじゃん。これでEランクかよ。
「糸って燃えるよね?」
リコがファイヤーボールを連発してあっという間に倒してしまった。そうか、だからEランクなんだ。HP低いのね。だがシェリーによると蜘蛛の上位種はやばいそうだ。毒と魔法を使う上に人間を食べてさらに強くなるため個人で倒すのは難しいそうだ。そんなの出てこなくていいからね、とカツヨリが言うとここに出るって事は下の階層に行くといる可能性はあるよ、と軽く言われた。それはやばい、カツヨリの勘が勝てないといっている。リコは
「燃やしちゃえばいいじゃん、ね、お兄ちゃん」
と呑気な事を言っているが多分やばい。もっとレベルを上げないと厳しい気がする。ダンジョンを進むと階段が現れた。1階にはコングはいなかった。今のところ出てくる魔物は弱い、行くしかないなと2階層へ降りた。降りると同時にブラックウルフが団体で襲ってきた。ここはシェリーとカツヨリの二刀流で軽く粉砕する。そういえば定番のスライムとかゴブリンとかはいないのかな?シェリーに聞くと
「そういった名前の魔物はいませんね」
がーん。定番では無かったのか。ダンジョンを進んでいくと別れ道が現れた。うーむ、どっちだ?
「リリィ、お前が1番勘が良さそうだ。間違えても怒らないから決めてくれ」
「本当に?なんか絶対怒られそうだけど。こっちから女性の香水みたいな匂いがする気がする、こっちにしよう」
カツヨリはクンクン嗅いでみたが全くわからん。森の中では魔物に気づかないし、こういうところで鼻も効かない。俺ってダメダメ君じゃん。めげずに進み、途中魔物を倒しさらに前進すると宝箱があった。
「あ、宝箱だ。ねえ、開けていい、いいよね、ねえお兄ちゃん」
初の宝箱にリコは大はしゃぎだ。さて、さっきは定番のスライムがいなかったがここはやっぱり定番のミミックじゃあねえの。ねえ、シェリーさん。
「リコ。宝箱に擬態する魔物もいますので不用意に開けると危ないですよ」
ミミックはいるんだ。
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