「閑話」
その遊びは、昼休みに、クロエから七九村に持ちかけられた。
「試写会コメントCMごっこしようぜぇ」
「なんの?」
「ムカデ人間」
「いいよ」
当然のようにオーケーする、クロエの幼馴染み。
「夢に向かって努力するって凄いことだと思います」
「夢を叶える姿に感動しました」
「博士がぁ、超ヤバぁい」
「非日常に引き込まれるって感じですね」
「素晴らしいので、一度見てほしいです」
「心に残る映画だなって思いました」
ふたりで声色を変えながら、それらしい感想を述べていく。彼らは、嘘は言っていない。
「ムカデ人間!」
「サイコー!」
ふたりは笑顔で、そう締めくくった。
「感動超大作っぽい~!」
「博士が、笑いあり涙ありの珍事を起こす物語みたーい。フラバーのフィリップ教授的な」
「ハイター博士ったら、うっかりさん~」
ツッコミがいないと、映画バカふたりは、いつまでもこのような会話を繰り広げるのだった。
栄養映画 霧江サネヒサ @kirie_s
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