新たな仲間

「ルフェナは街中に侵入してるっていう魔物の捜索と討伐に参加しているの?」


「ううん、私は参加してない。治安維持の方には参加させてもらってるけど」


「そう言えば、外壁にいた警備隊の人が治安維持の依頼もあるとか言ってたね」


「でも、ちょっと失敗だったかなって。諍いが後を立たなくてさ。仲裁するのはいいんだけど、私が止めに入ると、私に言い寄ってくるのよね。ほら、さっき私に言い寄ってた四人組、あれも昨日仲裁した冒険者」


 ルフェナは苦笑する。


「あー……。ルフェナは可愛いからねー」


「そ、そう?」


 私の言葉に、ルフェナは少し頬を赤らめる。

 あとついでにお耳もぴこぴこ動いてる。


「私からしたら、メノウ達の方がすごく可愛いと思うんだけど。やっぱりあなた達も、私と同じような苦労してそうよね」


「あは、あははは……」


 じーっと私達を見て言うルフェナに、思わず乾いた笑いが出たのだった。


「でも、ルフェナって魔法が使えるわよね? フローズンアルコーブ、あれ、あなたが発動したのよね? だったら、治安維持より魔物討伐の方が良くないかしら?」


 ルーリが聞く。


「私、そんなに保有魔力量多くないの。それに私、夜が苦手なの。魔物が出るのが夜遅くだって言われているから、私は討伐の方は受けなかったの」


「夜が苦手? 暗いのが怖いとか?」


「うーん、怖いのもある……のかな? 実は私、夜暗くなってくるとすぐに眠くなっちゃうの。起きてられなくて、すぐに寝入っちゃう。無理して起きておこうとすると、すぐに体調崩しちゃって……」


 ちょっと恥ずかしそうに話すルフェナ。


「何それ、可愛い」


 思わずクスクスと笑ってしまった。


「もう、結構困った体質なんだから、からわかないで? それで、あなた達は依頼を受けるの?」


「うーん、とりあえず話を聞くだけ聞いて、受けるかどうかはまだ考えてない。拘束期間がわからないから」


 リステルが顎に手を置き、考えながら話す。


「拘束期間って、どこか向かっている途中なの? 急ぎ?」


「急ぎではないけれど、ミュセットへ向かって旅をしている途中だよ」


「ミュセット? 聞いたことあるけど……どこだっけ?」


「フラストハルン王国の北端の街、私達はそこからガラク皇国へ行く予定」


「わっ! 国を渡っちゃうんだ! いいなー、楽しそうだなー」


「まあそれ相応に、苦しいこともいっぱいあるけどね?」


「そっか、それもそうだよね。でも、ガラクかー。どんなところなんだろう」


 晴れた空の向こう側、知らない国に想いを馳せているのか、遠い目をしてはるか先にある雲を眺めているルフェナ。

 そんな彼女を見て、私達は無意識に視線を合わせ、頷いた。


「ルフェナも来る?」


「……え?」


 前を歩くルフェナを追い越して、五人全員で手を伸ばす。


「……いいの?」


 ぽかんとして私達を見るルフェナ。

 そんな彼女の瞳から、つうっと一筋の涙が流れた。


「行きたい! 私もみんなと知らない世界を見てみたい!」


 ルフェナは涙をぐしぐしと袖で拭うと、ぱあっと笑顔になって私達の手を取ったのだった。


「うーん、治安維持の依頼どうしよう?」


「拘束期間ってどれくらいあるの?」


「後七日程。それまでに魔物騒ぎが終わるか、七日経ったら再契約するかの選択になるよ。でも、途中でやめると違約金が発生するのよ。私、あんまりお金持ってないから、違約金は困るの」


「違約金、払おうか?」


「ありがとう。でもそれはしたくないわ。冒険者として、受けた依頼はちゃんと全うしたいし。それに、そんな事より、みんなと対等でいたいわ。返せる当てがあるのなら、それも一つの選択肢かもしれないけど、今の私にはそれがないもの」


「ごめん。失礼なことを言っちゃった」


「ううん。私のためにお金を出してくれるって言ってくれただけでも、私を信用してくれていることが解って嬉しい!」


「じゃあ、私達も治安維持の依頼を受けようか」


「そうじゃのう。拘束期間を合わせるくらいはしてくれるじゃろうしのう」


「……いいの?」


「急ぎじゃないって言ったでしょ? 仲間を待つくらい、いくらでもするよ」


 不安そうな表情を浮かべるルフェナに、私は笑顔で言う。


「ありがとう……」


 ルフェナはまた、瞳に涙を浮かべていた。


「……」


 突然ルフェナは立ち止まり、左手を胸に当て、何やら思いつめたような表情で俯いた。


「……ルフェナ?」


「――あのっ! 私ねっ!」


 突然顔を上げ、何かを言おうと口を開くが、


「……私、わた……し……。……ううん。なんでもない。……ありがとう。本当に、ありがとう!!」


 首を振り、再び笑顔に戻って私達にお礼を言う。


「ルフェナお姉ちゃん。無理に言わなくてもいいよ」


「……ハルル?」


 優しい声でそう言うハルルに、ルフェナはぎょっと目を見開いた。


「言い辛いことは誰にでもある。ハルルにも、お姉ちゃん達にも。いつか、ルフェナお姉ちゃんが話せるようになった時に、聞かせて?」


「……ありがとう。ハルル、あなたは優しい女の子ね」


 ルフェナはハルルをぎゅっと抱きしめ、


「いつか、話せる勇気が出たら、ちゃんと話すね?」


 ルフェナは再び胸に手を当て、真剣な表情で言う。


「うん、待ってる」


 ……いつか、私の事もちゃんと話そう。

 私がこの世界からいなくなる前に、ちゃんと……。



 ルフェナに案内されて冒険者ギルド到着すると、


「……何かあったみたいね」


 ルフェナが不安そうな顔で言う。

 彼女の視線の先、冒険者ギルドの前にはたくさんの人だかりができていた。

 集まっている人達の表情は、誰も彼もが不安そうな表情を浮かべている。


 何とか間を縫うように移動して冒険者ギルドの中へ入り、受付へと向かう。


「あ、ルフェナさん。こんにちわ」


 受付の女性がルフェナに気づき、笑顔で挨拶をする。


「こんにちわ、あの、何があったんですか?」


 ルフェナが聞くと、受付の女性の表情が曇る。


「また、例の被害者が出てしまったんです」


「……また住人ですか?」


「いえ。……ディレフォードさんとエイネリッタさんが……殺されてしまいました……」


 受付の女性は、俯いてしまった。


「ディレフォードさんとエイネリッタさんって、今この街にいる冒険者で一番腕の立つ二人だって言って無かったですかっ?!」


「……はい。剣士と魔法使いのご夫婦でした」


「……いつ……いつ、見つかったんですか?」


「今朝方、狭い路地でお二人とも……」


「そう……ですか……」


 ルフェナの顔色がどんどん青くなっていく。


「ルフェナ、大丈夫?」


 ルフェナの肩に手を置く。


「……うん、大丈夫」


「その亡くなった冒険者の二人と、知り合いだったの?」


「私が治安維持の依頼を初めてすぐの時に、さっきみたいに男に絡まれたことがあってね。その時、その二人に助けてもらったことがあるの。仲の良い……優しい夫婦……だったんだよ……」


 最後言葉を詰まらせ、辛そうにしているルフェナを抱き寄せる。


「そうだったの……」


 私はそっとルフェナの頭を撫でた。

 それぐらいしか、できなかった……。


「あの……ルフェナさん。それで、本日はどのようなご用件で? それと、そちらの方たちは?」


「……ありがとうメノウ。えっと、彼女達は私の新しい友達になってくれた、メノウ、リステル、ルーリ、ハルル、サフィーア。今日トライグルについたばかりの冒険者です。治安維持の依頼を受けてくれるそうです」


 私から離れ、さっきまでの表情に戻り、私達に手を向けて紹介する。


「そうでしたか! それではギルドカードをお預かりします!」


 私達五人は受付の女性にギルドカードを渡す。


「はい、確かに。……証明書をお持ちなのですか?! お見せいただいても?」


 リステルがすぐさま空間収納から、サーキスで貰った証明書を取り出して、受付の女性に渡す。


「……あ、空間収納」


 ルフェナが小さくつぶやいた。

 そう言えば、まだ話していなかったっけ……。


「……サーキスで教導をされたんですね。ありがとうございます」


 渡された証明書を再び丁寧に丸め、リステルに返す。


「……もうお聞き及びかと思いますが、現在街のどこかに魔物が隠れ潜んでいる状態です。被害者が今日で七人になってしまいました。ここしばらくずっと厳戒態勢が続いていまして、住民の皆様の中に、中々魔物が見つからない現状に不安と憤りを訴える人が多くいます。冒険者や警備隊の皆さんに、つらく当たる方も増えていっています。そのせいで、小競り合いがあちこちで起こるようになってしまっています。ただでさえ見つからないのに、これ以上諍いを大きくしたくありません。ですのでどうぞ、この街の事をよろしくお願いします……」


 受付の女性はそう言って、深く頭を下げた。


「わかりました。できる限りの事はやってみます」


 私達は頷くと、依頼の詳細を確認するのだった。



 この事件は、最初は人が起こしたものだと思われていた。


 二十日ほど前の早朝、路地裏で変死体が見つかったことがこの事件の始まり。

 見つかったと言うその死体は、おかしなことに干乾びていたそうだ。


 当初、警備隊はこの見つかった死体を、人の魔法による殺人事件だと判断した。

 だが、それから数日後に二人目が発見されたことにより、別の見解も指摘され始めることになった。


 二人目の死体も、一人目と同じように干乾びていたことから、同一犯の犯行なのは間違いないと思われた。


 だが二人目の死体に、何か爪のようなもので刻まれた傷があり、そして、血だけが一滴も残っていない事が判明した。

 保管していた一人目の死体を再度確認したところ、一人目の死体もやはり血だけが一滴も残っていなかった。

 体の水分はしっかりと残っているはずなのに、体は何故か干乾びているのだ……。


 一応干乾びさせること、そして血を抜き取る事は魔法で出来る。

 だが血を抜き取ったとしても、血だけを一滴も残さずと言うのはほぼ不可能だと考えられた。

 当然干乾びさせる魔法を使ってしまえば、死体に残る水分は少なくなる。


 何より、血を抜き出したとして、人一人分の血液全てをどうするのか。

 そんな物を持っていればすぐに人目につくだろうし、どこかに捨てた形跡もない。


 以上のことから犯行は人間ではなく、魔物が街中に侵入し、人間を襲い血を主食にしているのではないかと言う見解が出てきた。


 トライグルの街ではないが、過去に何度か街中に人知れず魔物が侵入し、人を襲い死傷させるという事件が起こった記録があり、その時も今回と同様に、発見に時間がかかったと言う。

 その記載された過去の事件の一つの犯人は、猫の魔物だったと記載されていたそうだ。



「うーん、魔物だったとすると一匹だけじゃないのかもしれないわね……。でも……」


 事件の概要を聞いて、ルーリが何やら独り言をつぶやいていた。


「血を吸う魔物っているの?」


 私がいた世界でも血を吸う生き物は存在している。

 有名なところで言えば、蚊や蚤と言った虫の類。

 ……う、考えただけでも鳥肌が……。


 えっと、蝙蝠にも吸血鬼のモチーフになった血を吸う蝙蝠がいたはず。

 あ、確か吸血鬼のモチーフになっているって言うのは、間違いなんだっけ?

 それと、鳥にも血を吸う種類がいるって聞いたことがある。


「血を吸う魔物って言うだけじゃ、魔物の種類を判別することは難しいわね。魔物はどれも、大なり小なり生き物の血を食べる習性があるから」


「え?! そうなの?」


「ええ。魔物は魔石も食べるの。草食の魔物だったとしても、死体から血と魔石をほじくり出して食べることがあるって記録があったのを覚えているわ。だから、魔物は血や魔石から、魔力かマナを直接摂取しているって考えられているの」


「知らなかった……」


「私も知らなかったよ。今聞いてびっくり」


 どうやら魔物が魔石を食べることを知らなかったのは、私だけじゃなかったようだ。

 私の横で、リステルもルフェナも驚いた表情をしていた。


「知らない人の方が多いんじゃないかしら? そもそも人間の私達に、魔物が何を食べているかなんて知る必要全くないもの」


「ルーリって物知りなのね」


 ルフェナが感心して頷いている。


「偶然知っていただけよ。旅をして、知らない事ばかりだって思い知らされるわ」


「お前さんがそんな事を言うのじゃったら、妾達なぞ無知もいい所じゃぞ?」


「それじゃあ、魔物の種類は分からないってこと?」


「そうね。でも……」


 再びルーリはそこで言葉を途切る。

 そして自身の口に手を当て、私たち以外には聞こえないように小声で話した。


「人間が犯人の可能性の方が高いと、私は思うの」


「――!!」


 思わず、ええ?! っという大きな声をあげそうになって、口を両手で押さえた。


「この話は外に出てしましょう?」


 私達は寄せ合っていた顔を縦に振り、受付の女性と依頼の詳細を詰めていく。


「では、明日から治安維持の方をお願いいたします。本来、一度ギルドで治安維持の内容などをお話しさせていただくことになっていたのですが、既に治安維持に参加されているルフェナさんがパーティーに加わるという事なので、指導の方はルフェナさんにお任せします」


「わかりました」


「それではどうぞよろしくお願いいたします」


 詳細を詰め終わり、私達は冒険者ギルドを後にする。


 人気が少ない路地へ行き、先ほどの話をルーリに促す。


「さっきの続きよね?」


 私達は揃って頷いた。


 ルーリは、受付の女性から聞いた話を判断して推理する。


 まず、死体の損傷が明らかに少ない。

 魔物が肉食性の場合、当然のことながら血だけでなく肉も食べる。

 そうなると死体の損壊度合いで、魔物の仕業だとすぐにわかる。

 だが、実際の所は死体の損壊が少ないことが、話の内容から推察できた。


 これが草食動物だった場合、一晩で体に一滴たりとも残さずに血だけを吸い取ると言うのは不可能。

 人一人の血を吸いきるにはそれなりの時間が必要になるし、もし入り込んだ魔物が一匹だけだった場合、体はある程度大きい魔物という事になる。

 恐らく、今頃とっくに見つかって討伐されているはず。

 複数だったとしたら、血を吸った跡などが複数ついていないとおかしいし、一匹二匹は既に見つかっている可能性が高い。


 そして、ルーリが一番違和感を覚えたことは、治安維持への力の入れようだった。


「治安維持?」


「うん。普通だったら、魔物捜索に全力を挙げない?」


「……言われてみれば」


「え、じゃあ、警備隊の人達は犯人が魔物じゃないって知ってるってこと?」


「んー、警備隊全員は知らないんじゃないかな? でも少なからず、人間の犯行だってわかってる人はいると思う。今は人間の仕業だと住民に広まって、今以上に不満を広げないための措置なんじゃないかな? 犯人が未だに見つかっていないから、住民の警備隊への不満は増えていく一方でしょ? これがもし、犯人が人間だってみんな知っていたら、不安も不満ももっと大きい物になっていたと思うの。魔物が犯人だってしておいたら、協力している冒険者側にも不満の声が行くようになって、分散もされるから」


「さ、流石に考えすぎじゃない? 魔物の生態だって、分かってない事の方が多いんでしょう?」


 ルフェナは苦笑しつつ、ルーリの考えを否定する。


「うーん、それはそうなんだけど……。まあ確かに、証拠が何もない以上、あくまで私の推測でしかないのは、間違いないわね」


「じゃがルーリの言うよりに、少々不可解な動きをしているのは間違いないのじゃろう。全部を否定してしまうより、可能性の一つと考えておいた方が、何かあった時対処もしやすかろう」


「そうね。わかったわ」


 サフィーアの言葉にルフェナは頷いた。



「それにしても、ルーリはよくそんな事に気づいたわね?」


 元居た通りを歩いている途中、ルフェナは感心したように話す。


「急にどうしたの?」


 ルーリは小さく微笑みながら聞き返す。


「私、依頼にどんな裏があるとかなんてまったく考えてなかった。私が受けた治安維持のための見回りに、疑問なんて全く浮かばなかったんだもん」


「気付いている冒険者はいると思うけどね。私が特別凄いってわけじゃないもの」


「みんなも気付いてた?」


 ルフェナは私達の方を見る。


「まっさかぁ。ルーリが何も言わなかったら、今頃何にも疑問に思わないで、依頼を普通に受けてたよ!」


「まったくその通りじゃな!」


 リステルとサフィーアが笑って言うので、私とハルルもうんうんと頷く。


「ルーリは色々と詳しいのもそうなんだけど、洞察力とか推理力とかも高いんだよ!」


「へー。じゃあ何かあった時でも、ルーリがいれば安心ね!」


「それは言い過ぎよ!」


「ふふふ。あ、そうだそうだ! リステルって魔法使えるのね?」


「うん、使えるよ! というか、ここにいるみんな使えるよ!」


「……えっ?! 全員使えるの?!」


「ルフェナも使えるよね?」


「あ、うん。適性はあるんだけど、さっきも言った通り保有魔力量が少なくて、そんなに使えないんだけどね。水の魔法が得意かな? みんな魔法の位級は? 私、風地火が下位上級で、水が中位中級」


 今の私の位級ってどうなっているんだろう?

 水の高位魔法であるアクア・アルタは使えるから、高位なのは間違いなんだけど。


「四属性上位上級だよ」


 はっきりとは分からないので、とりあえずそう答えておいた。


「……もしかしなくても私、凄い冒険者パーティーにお邪魔しちゃった?」


 私が言った位級に、ルフェナは顔を引き攣らせている。


「まさか、瑪瑙が特別凄いだけよ。私は地が上位中級、水が下位中級。一応治癒魔法のヒーリングが使えるわ」


「あ、治癒魔法は私も使えまーす」


「……」


「私は風が上位上級、火が中位上級かな?」


「妾は水が上位上級じゃが、氷の魔法が上手く扱えん」


「ハルル火が上位中級、風が中位中級! あと、魔力まりょく纏繞症てんじょうしょう持ちだよ!」


 私達の申告に、ルフェナは口をパクパクしている。


「……え、本気で言ってる?」


 呆然と聞くルフェナに、私達は親指をぐっと立て答える。


「私場違いじゃない?!」


「でも、ルフェナって魔法剣士でしょう?」


「あ、え、うん。良くわかったね?」


「魔法が使えるのに剣を腰に下げていたら、流石にわかるわよ」


「あーそれもそっか。でもさ! 絶対この中に魔法剣士いるでしょ?!」


 ルフェナがそう言うので、私とリステルとハルルの三人が手を挙げる。


「ほらー! って!! 三人もいる! しかもメノウも魔法剣士なの?!」


「うん、そうだよ?」


 私は空間収納から剣を出して剣帯に下げて見せた。


「……うへー。や、役立たずにならないよう頑張るね!!」


「そんなに身構えなくても、そんなこと思ったりしないよ。ね、みんな?」


 私の言葉に、みんな笑って頷いている。


「あ、そうだ。私達、ガラク皇国へ行ったあと、オルケストゥーラ王国へ渡るけど、それでもいい?」


「ガラクが目的地じゃないんだ。うん、全然問題ないよ! そっか、私、みんなと色々なところを旅して回れるんだ。……すごく楽しみ」


 そう言うと空を見上げ、嬉しそうにしているルフェナだった。

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