別れと出会い

 結局私達は一睡もせず、警備隊の迎えが来て事情聴取を受けることになった。

 事情聴取が終わった後、私達全員一つの部屋に集められ、犯人達に取り調べを行った結果を教えられた。


 どうやら、主犯はワレン教諭という事で間違いないらしい。

 他に協力者はいないと判断が下され、今回の脅迫誘拐事件は解決と相成った。

 私達を連れ去る事に協力した女子生徒は、脅されていたことを鑑みて、罪に問われることはないそうだ。


「ねえ、あなた達はこれからどうするの?」


 学園へと送られる途中の馬車の中で、リステル達五人に聞く。


「とりあえず、冒険者ギルドに行って報告かな? 依頼達成にしろ失敗にしろ、依頼が終わったことに変わりはないからね」


「……そう」


「これで全部終わりかー。ねえ、リステル達はこのまま学園に残るんでしょ? 良かったらさ、また稽古をつけてよ」


「……え?」


 アンバーが嬉しそうに言うと、リステル達は眼を瞬かせている。


「私達はこの依頼が終わってしばらくしたら、フォニアムを発つよ?」


 メノウは少し困ったような笑みを浮かべていた。


「どうして?! せっかく学園に入学できたのに! それに五人なら騎士科で優秀な成績を修められるはずだよ?」


「私達は目的があって旅をしているからね。急いでいるわけではないけれど、かといってゆっくりし過ぎるつもりもないの」


「……そんな。せっかく仲良くなれたのに……」


「ごめんね」


「アンバー、あんまり無茶言っちゃダメよ」


「ヘリオは寂しくないの?」


「もちろん寂しいに決まってるじゃない。たった数日過ごしただけだけれど、一緒に困難に立ち向かった戦友であり、私達を助けてくれた命の恩人でもあるんだから。でも、私達にも譲れない、諦めきれないことがあるように、それは彼女達も一緒なはず。わざわざハルモニカ王国からここまで来ていることを考えたら、いなくなるのは予想できるわ」


「そうだね。アンバーの気持ちも良くわかるけど、ヘリオの言っていることもわかる。……辛いね」


 チルもアンバーと同じように寂しそうな表情を浮かべていた。


「依頼が完了して、どれぐらいでフォニアムを発つの?」


「とりあえず、ちょっとゆっくり休んでからかな? さすがに寝る時間が少なかったからちょっと疲れちゃった」


 リステルがあくびを噛み殺しながら話している。

 その横で、ハルルがこくりこくりと頭を揺らしていた。


「私達のために、夜に見回りをしていたんだものね。本当にありがとう」


「そう言えば、あなた達はどこへ向かっているの? 旅の目的は?」


「私達はミュセットへ向かっている途中だったの」


「ミュセットって言えば、交易と漁業の街だよね。この国で三番目ぐらいに大きい街だよ」


「そこへ何しに行くの?」


「ガラク皇国へ行くの。最終目的地はオルケストゥーラ王国。何をしにって言われても、色々としか言えないわね。私は魔導技術マギテックの勉強もしたいし」


「へえ、ルーリは魔導技術マギテックを扱えるんだ?」


「今でこそ冒険者としての活動がメインになっているけれど、もともと私は魔導技術マギテックの研究開発が主な活動だったもの。フルールの街の郊外に出て実験をするついでに採集をしていたから、冒険者ギルドにも登録していただけだしね」


「……え。それなのにあんなに戦闘技術が高いの?!」


「それは、旅をするにあたって厳しく叩き込まれたから。私とサフィーアはあまり近接戦闘は得意じゃないのよ。後方から魔法での攻撃の方が得意」


「妾の場合はほれ、この見た目通り、力があまりないのじゃよ。そのぶん、守りは得意じゃがな」


 サフィーアは肩をすくめる。


「……あれで得意じゃないなんて」


 アンバーががっくりと項垂れている。


「三人も、これから実戦を積んでいけばもっと強くなれるよ。上も下も、見れば見るほどキリがないからね。そこは気にしちゃダメ。どれだけ目標に向かって直走れるかだよ」


「厳しいのね」


 そう言って笑うリステルに、私達は苦笑する。


 中流区へ差し掛かると、リステル達五人は冒険者ギルドへ行くために馬車から降りていった。

 夕方には学園に戻るという事なので、私達はそれまで寮の外で軽く体を動かすことにした。

 素振りを始めると、それまで眠気でぼーっとしていた頭が少しずつはっきりとしていく。


 全身に意識を集中し、丁寧な動作を心掛けながらゆっくりゆっくり剣を振る。

 自身の体の動きを確かめながら、少しずつスピードを上げていく。


 瞼に浮かべるのは、昨夜までのリステル達の動き。


「はっ! やっ! せぇい! うわっとっと……」


 途中、バランスを崩しよろけてしまう。


 真似をしようと試みて思い知る。

 リステル達がどれだけ難しい身のこなしをしているのかを……。


 魔法が使えるだけじゃない、確かな実力の差を思い知る。


「リステルもそうだけどさ、メノウも大概だよね。あの攻撃を受け流す技術は卓越してる。やわらかい剣捌きは流水のようだ」


「チルはメノウの動きを真似てみようと思ったのね? 私はリステルの体捌きを真似てみたけれど、全く無理だったわ」


 私とチルは苦笑いを浮かべる。


「ホリングワース先生が戦い方を見ておけってこういう事だったんだね」


「そうみたいね。人の動きもそうだけれど、自分の動きが違って見えるわ」


 今までしてきた身のこなしがどこか不十分に感じてしまい、頭の中にどう動くべきなのかが今までより鮮明に思い浮かべることができる。

 ……ただ、体はそれについて行けないのだが。


「お、やってるやってる」


 私達が自主訓練をしていると、どこからともなくホリングワース先生が現れた。

 私達の姿を見て嬉しそうだ。


「先生、ここは女子寮の敷地内です。男子禁制ですよ」


「ちゃんと許可はもらってるぜ。それにいいのか? せっかく特別に稽古をつけてやれる機会なのに。俺も事情聴取に行ってたから、俺の代わりに別の奴が今日の授業を受け持ってくれている。つまり、今日を逃すと次はいつこういう機会があるか、わからないぜ?」


 先生の言葉に、私達はそれぞれの訓練用武器を構え、先生と相対する。


「三人同時にかかってきな!」


「なっ!」

「それはいくら何でも!」

「馬鹿にしすぎ!」


 先生が持っていた剣を構えたと同時に、私達は駆けだした。


 まずアンバーが突っ込んで先生の一撃を盾で受け止める。


「ハルルほどの怪力はないと油断したな! 踏ん張りが足らんっ!」


 攻撃を止めた隙を狙って、私とチルが攻撃を仕掛けるも、先生はそう怒鳴ると盾に豪快に体当たりをして、攻撃を仕掛けようとしていたアンバーの体制を崩した。

 そして、前進して体当たりをすることで私達の攻撃をかわし、すぐさま体勢を低くして私の足を蹴ってチルに向かって転倒させられた。

 私がチルにぶつかりそうになるのを、とっさに支えようとしたチルに容赦なく先生は体当たりをして吹き飛ばした。


「おい! 言われてなかったか? ワンパターンだって! ほらほら掛かって来いよ!」


「くぅ……。やっぱり強いわね」

「ああ。でもここでまた負けるのは嫌だね」

「三対一なんだもん! 絶対まいったって言わせてやる!」


 チルが先頭を走り、先生に攻撃を仕掛ける。

 胴めがけて突きを放つ。

 当然のように先生は避けるが、長棒のリーチを巧みに利用し反撃されないように立ち回る。

 先生が避ける方向を予想して、チルの攻撃の隙をカバーするように私が攻撃を仕掛ける。

 徐々に私とチルの攻撃をかわし切れなくなり、剣で受ける回数が増えていく。

 そして、私の攻撃を剣で受けるタイミングを見計らって、チルとアンバーが同時に攻撃をしかける。

 しかし、チルの長棒を先生は片手で掴み、アンバーの方へとそらしてしまった。


「うおおりゃああああっ!!」


 だが、アンバーはそらされた長棒を盾で受け、かまわず突っ込んだ。


「うおおっ?!」


 アンバーの突進で体勢を崩した先生めがけて、長棒から手を離したチルが即座に殴り掛かり、私も咄嗟に蹴りを放つ。


 背中にアンバーの模造剣、腹部にチルの拳、そして私の蹴りは先生の股間に吸い込まれてしまった。


 先生は呻き声すら上げず崩れ落ち、ぴくぴくと痙攣している……。


「先生! ごめんなさい!」


「くっそ……。お前ら容赦ねえな……うぎぎぎ……」


 先生は苦しそうに腰辺りを強く叩いている。


「大丈夫ですか……?」


 思わず先生にそう聞いてしまうが、男性の大事なところを蹴り上げてしまったことに、顔が熱くなってくる。


「対男という意味では、股間を狙うのは間違いじゃないがな。おーいてて……。動きが随分と良くなっている。あいつらの戦う姿を目にした成果だろうな」


 大きく深呼吸をして、先生は言う。


「見るだけで、そんなに変わるものですか?」


 アンバーが首をかしげると、


「お前は見取り稽古というものを知らんのか? お前らより遥か高みにいる奴らの戦いを目にしたんだ。自分達がどれだけ未熟な動きをしていたか思い知っただろう? そして、どう動いていたか考えながら戦っただろう? それだけでも随分と変わるもんだ」


 先生は剣の鞘でアンバーのお尻をひっぱたいた。


「うう……。何も叩くことないじゃないですかー。確かに色々考えながら戦いましたけどー」


「私もそうだね。ハルルに言われたことを思い出していたから、咄嗟に長棒を手放して殴りに行けたからね」


「私もよ。咄嗟に足が出ちゃった」


「そうだ。闇雲に武器を振っていればいいってもんじゃない。戦いは常に思考しながらするもんだ。しっかり頭も使えよ!」


『はい! ありがとうございました!』


 その場で胡坐をかいて座る先生に、お礼を言う。


「あの、先生。お聞きしたいことがあるんですが」


 アンバーが先生に質問をする。


「リステル達の事なんですが」


「……あいつらがどうかしたのか?」


「学園に残る事ってできないんですか?」


「……それをあいつらが望んだのなら、出来たんだろうがな」


「そうですか……」


 アンバーがしゃがみ込んでしまった。


「……アンバー」


 私とチルは、涙を流しているアンバーの背中をなでる。


「せっかく仲良くなれたのに……。強いとか関係なく、一緒にいたかったなあー」


 アンバーの涙交じりのその言葉に、気が付けば私もチルも涙が流れていた。


「学園長も、あいつらが望めばそのまま在籍することを認める話はしていたんだ。だが、あいつらはそれを望まなかった。だからこの話はこれで終わりなんだ」


 思った以上に、私達の心の中で彼女達の存在が大きくなっていた。

 もうずっと長く一緒にいたような気がするほどだ。


 厳しいことも言われたけれど、私達の事を思っての事だったし、何より楽しかった。


「出会いがあれば、別れも当然ある。始まりも、終わりも、いつも突然だ」


「……はい」


 私達が涙をぬぐっていると、


「まったく。まださよならしてないのに、今からそんなんだと本当にさよならするときどうなるのよ?」


 リステルが呆れた顔をして現れた。


「……ぐす。みんなおかえり。依頼はどうなったの?」


「もし失敗って判断されたのなら、私達が文句を言いに行っちゃうからね?」


「そうね。武器を持って殴り込みに行っちゃおうかしら」


 恥ずかしい所を見られて、ちょっとふざけてそんな事を言ってしまう。


「大丈夫。ちゃんと成功って判断されたよ。そーれーよーりー!」


 苦笑したメノウが、突然目をキッと吊り上げて駆け寄って来た。


「男の人がいるんだから、そんな座り方しちゃダメでしょう! ヘリオとアンバーはスカートなんだから色々見えてる! チルは胸元パタパタしない!」


 サササっと姿勢を正され、身なりを整えさせられた。


「はっはっは!」


 そんな私達を見て先生が笑っている。


「先生も注意するんです!」


「お、おう……」


 メノウの可愛らしい凄味を微笑ましく感じるとともに、寂しさを再び感じた。


「あの、すみません……」


 突然少し離れたところから、女生徒達が声をかけてきた。


 一人は私とリステルに頬をはたかれた女生徒、そして残りの三人は誘拐されていた彼女の取り巻き。


「何か用かしら?」


 別にもう思うところはないけれど、少し警戒をして聞く。


「昨日は碌にお礼も言わずにすみません。助けてくれてありがとうございます!」


 誘拐されていた三人は、メノウ達五人に向かって勢いよく頭を下げる。


 そして、


「申し訳ありませんでした……。私のせいで、あなた達を危険に巻き込んでしまいました……。なんとお詫びをすればいいか……」


 私達三人に向かって、もう一人が深く頭を下げた。


「別にもうなんとも思ってないわ。助かったんだから、私達は何も言うつもりはない。そんな事より、あまり顔色良くないわよ?」


「自分の愚かさに、辟易しております……」


 彼女はアンバーの前へ行くと、


「平民風情などと、酷い暴言を吐きました。私は――」


 膝をついて俯く。

 だが、アンバーは途中で彼女の言葉を遮り、


「あー、いいよ別に。そういうふうに思ってる貴族が多いのは知ってるし。ヘリオとチルが珍しいだけなのも分かってる。あんたがどう思っているかはわからないけど、私はそこまで気にしてないから」


「……ごめんなさい。ですが、何かお詫びでもしない事には……」


「気持ちが収まらない? うーん……」


 困ったなーと言う表情を浮かべるが、


「あ、そうだ! うちが扱っている商品で何か気にいるのがあったら買ってよ。で、それがよかったら、他の人にも勧めてみて」


「……え、ええ。そんなことでよろしいんですか?」


「ああ、別に気に入らない商品を無理に買う必要はないからね。本当に気に入ってくれたのだけでいいから」


「わかりました。……あの、この間の石鹸が気になっていたのですが……」


「あー、いいよ! 今度渡すよ」


 最初は罪悪感からか、アンバーに対して遠慮気味に話していた彼女だったが、アンバーの気さくな態度に笑顔が増えていき、楽しそうに会話するようになった。


 そんな様子を、温かい目で見ていたメノウが二人に近づき、


「ちょっといい?」


 彼女に向かって話しかけた。


「はい、なんでしょう?」


「触るね?」


 不思議そうに首をかしげている彼女の頬を、メノウが両手で優しく触れると、手から青い光が漏れた。


「頬、治しておいたよ。ちゃんと反省もしてるみたいだし。仲良くね?」


「――!」


 彼女は目を見開くと、両頬に張り付けられていたガーゼを慌てて外し、自分の頬をむにむにと触る。


「ありがとうございます。昨晩も今のように助けていただきましたね。このご恩は一生忘れません」


 深く深く、地面に頭が触れそうなほど頭を下げる。


「そんな大げさに思わなくていいよ。ただ、みんな仲良くしてね?」


「――はい!」


 別の科の生徒だったけれど、少し仲良くなれた気がした。


「それで、あなた達はいつこの街を発つの?」


「んー、まだ四、五日はいるよ。乗合馬車の手配も、買い物もしなくちゃだし」


「授業はどうするの?」


「さすがにもう出ないよ。寮もあと二日で引き払うし」


「そんな! もっとゆっくりしていきなよ……」


「そうだよ! お礼も何もしてないじゃないか!」


「私達は元々依頼でここにいるの。だから別にお礼なんていらないんだよ?」


「それでも! せっかく仲良くなれたあなた達に、何もせずにさよならなんてしたくないわ!」


 私はリステルの手を取り、強く言う。


「まあ慌てるなよ。明日が終われば二日、休息日だ。お前らも明日ぐらいは授業に出ろ。で、そこで他の奴らにもお別れを言っておけ」


「……え、でも」


「今回の事件はもう学園中に広まっている。なんせ教師の一人が主犯だったからな。素性を明かせと言っているわけじゃない。せめて、挨拶ぐらいはしてやれ」


 戸惑いを見せるリステルを、先生は優しく諭す。


「リステル。私もちゃんと挨拶はするべきだと思う。せっかくできたクラスメイトなんだから」


「……そうね」


 メノウもリステルを説得し、明日、彼女達は最後の講義を受けることになった。


 翌日、私達が教室に行くと、私達より早く来ていた男子生徒達に質問攻めにされてしまった。

 先生が言っていた通り、昨日一昨日の事件はすでに学校中に広まっており、私達が誘拐されたことはみんな知っているようだった。


 ただ、リステル達が助けに来てくれたこと、彼女達が冒険者ギルドからの依頼で学園に潜入していた冒険者だと言う話は知られていなかった。


 誘拐されて、どうなったんだ?

 ホリングワース先生も攫われたって本当か?

 噂では、お前達三人が攫った奴らを返り討ちにしたって聞いたぞ?


 純粋な疑問、間違った噂の真偽を矢継ぎ早に質問され、どう答えたものかと混乱してしまう。


「とりあえず、少し落ち着いてくれるかな? そう迫られてしまうと話したくても話せないよ」


 チルが少し大きな声で、質問攻めにしてくるクラスメイトをなだめる。


「すまん、ついな」


 学園に脅迫状が送られてきたことから順を追って説明する。


 そして、私達を助けに来たのがリステル達だったと話した。

 これはちゃんと事前に彼女達と相談して、話していいことを決めておいた。


「強い強いとは思っていたが、君達はそんなに強かったのか……」


「私達、冒険者なの。学園に脅迫状が来ていたのはさっき聞いたでしょう? 私達は冒険者ギルドからの依頼で、彼女達を守るためにここに潜入していたの」


 メノウの説明に、男子たちは驚きを隠せないようだった。


「もしかして、君達は学園を去るのか?」


「うん、そうだよ。今日みんなと受ける授業が最後。だからお別れを言いに来たの」


「そうか……。せっかく仲良くなれたのに、残念だよ……」


「とても短い時間だったけど、みんなと一緒に学園生活を送れて楽しかったよ! ありがとう!」


 メノウの言葉に、クラス全員から拍手が送られる。

 もちろん、私達も彼女達に拍手を送っている。


 こうして、今回の騒動は幕を下ろした。

 翌日からの休みの日は、私達八人でフォニアムの街をめぐり、全力で楽しんだ。



 そして、冒険者である彼女達は学園を去り、女子が三人だけになってしまった騎士科のクラス。


 今日も今日とていつもと同じように、始業の鐘が教室に響く。


 彼女達五人が使用していた席は未だ埋まることは無く、今にもあの五人が遅れてやってきそうな気さえする。


「席につけー!」


 座学の授業が始まる前に、ホリングワース先生が教室に入って来た。

 こういう時は、何か連絡事項がある時だ。


「今日は、新たに騎士科の仲間となる生徒を連れて来た」


 先生の言葉に、教室は一斉に騒めき立つ。


「男子諸君! 喜べ、女子だ!」


 おおおおおおっ!!!


「そして、女子三人! 仲良くしてやってくれよ!」


『はい!』


「では入って自己紹介をしろ!」


 二人の女子生徒が入ってくる。


「はっはっは! 諸君! 私はスティル・バイト・ファーゴット。途中編入だがよろしく頼む!」


「……わ、私は、スファレ・テレルモア・デューバで……す……。よっよろしくおねがいしましゅ! あう……しまう……します!」


 芝居がかった挨拶をする女の子と、おどおどしている女の子。


 私達の物語は、まだまだ続く……。

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