召し上がれ
ヴェノーラの街から少し離れて、開けた場所に来た。
逸る気持ちを何とか抑えながら、私は準備に取り掛かる。
いつも通り魔法を使って、簡単なかまどをいくつか作る。
薪を並べて火をつける準備もしておく。
「さて、始めるぞーっ!」
ふんすふんす。
腕まくりをして準備万端!
「メノウちゃん何を作るのー? 手伝えることあるかしら―?」
「じゃあこれをお願いします!」
私はカルハさんにすり鉢とすりこ木を渡し、そこに胡桃、胡麻を入れる。
「すり潰せばいいのねー?」
「はい、味付けは私がしますので」
「はーい」
ごりごりと音が鳴り、カルハさんは潰し始める。
私はその間に、お米の準備。
先ずはしっかりとお米を研ぐ。
水は魔法でいくらでも出せるので、何度も入れ替える。
「そんなに洗うんですか?」
ガネットさんが驚いている。
「そうですね。見た感じこのお米は、まだ糠とか汚れがついているみたいなんです。美味しく食べるためには、しっかりと研がないとダメなんですよ。臭みの原因にもなりますからね。でも、時間をかけるのはダメですけど」
冷たい水を出して研いでいるので、手が悴んで真っ赤になってしまう。
透けて見えるぐらいに綺麗になったら、もう一度水を捨て、綺麗な水を注ぎ、浸水させる。
「今は半透明ですけど、このまましばらく置いておくと真っ白になるんです」
これで一旦お米の準備は終わり。
「メノウちゃーん、これくらいでいい?」
すり鉢を見せてくれるカルハさん。
「はい、ありがとうございます!」
受け取ったすり鉢に味噌、酒、砂糖を入れてよく混ぜる。
これで味噌ダレは完成。
……少し味見。
素朴でどこか懐かしい味にほっこりするとともに、やっぱり少し寂しくなった。
「さて、お米の浸水はまだだから、次を作ろう。ああ! 鰹節を削らなくちゃ! いやいや、その前に昆布を水を張ったお鍋にぺいっ!」
新しく水を張ったお鍋に昆布を切って入れる。
下準備第一段階終了。
次に、箱の上面が鉋になっている鰹節削り器を取り出し、鰹節を削る。
「それ、本当に木じゃないの?」
「魚を煮て干したものだよ。リステル、あーん」
「ええ……。あ、あーん」
恐る恐る私から薄く削った鰹節を受け取る。
「ん。んー?!」
「ど、どうですかお嬢様? やっぱり木ですか?」
「なにこれ?! すっごい香りと旨味が強い!」
「でしょー?」
ふふんと私は得意げに笑う。
「ハルルもっ! ハルルもっ!」
「はいはい。ここに置いておくから、みんなで食べてみてね」
「やっ! あーんして!」
「もう、しょうがないなー」
「あーん、んぐんぐ。おー!」
他の皆も恐る恐る口にするけど、その旨味の強さに驚きを隠せないようだった。
さて、次。
この下ごしらえをしている瞬間が、たまらなく楽しかった。
お米の浸水も、昆布もまだ時間がかかる。
さてここで一つ、お醤油を使って一品作ってみよう。
カルハさんにも手伝ってもらい、鶏肉を取り出して残っている血合いや軟骨を取り除いて厚さを均等にするためにトリミングをする。
トリミングした鶏肉に片栗粉をまぶし、これで鶏肉は準備OK。
その間に私はたれを作る。
醤油、砂糖、酒、味醂を混ぜ合わせ、こちらも準備ができた。
フライパンに油を引き、油の温度が低いうちに皮目を下にして鶏肉を焼き始める。
皮目がきつね色になったらひっくり返し、反対側も同様に軽く火を入れる。
この時、鶏肉から出る余分な脂を捨てておく。
地面に脂を流すわけにはいかないので、瓶にいれてちゃんと取ってるからね!
反対側もきつね色になったら、再び皮目を下にして、最初に混ぜておいた調味料を流しかけて、火にかける。
じゅわーっと調味料が焼ける音と、食欲をそそる香ばしい良い香りが辺り一帯にふわっと漂う。
「なんとも食欲をそそる香りじゃのう」
「ああ、美味そうな匂いだな」
軽く煮詰めるように両面に絡めて一品目、
「照り焼きチキン、完成!」
おー!
パチパチパチ。
小さな歓声と拍手が響く。
ルーリとカルハさん、それからガネットさんは一生懸命メモしている。
カルハさんにレクチャーしつつ、次を焼く。
「焼き方の基本は一緒なのねー?」
「はい。以前作ったチキンソテーと変わりません。ただ、このタレが焦げやすいので、気をつけてください」
「りょうかーい。これ、結構簡単に作れるわねー」
のほほーんと喋っているけど、カルハさんの手際は凄く良い。
二人で人数分を焼き上げて次々とお皿に盛り、みんなに配る。
「では、おためしという事で一枚ずつですが」
『いただきます!』
ナイフで一口サイズに切って、まずは一口。
私が食べる所を、みんな興味深そうに見ている。
「ん~! 久しぶりのお醤油の味!」
うっとりしてしまう。
そんな私を見ていたみんなはごくりと生唾を飲み、それぞれ口に運ぶ。
「これは美味しいですっ! 独特の香ばしい香りに、甘じょっぱいソースが肉汁と絶妙に絡み合っています! 以前食べたチキンソテーと作り方はよく似ているのに、これは全く違う料理ですね!」
コルトさんが目をキラキラ輝かせて褒めてくれる。
「ショウユがこんな料理になってしまうなんて……」
ガネットさんは驚いた様子で食べている。
「皆さん、お口に合いましたか?」
「すっごく美味しいよ瑪瑙!」
「んー! もっと食べたいっ!」
「初めて食べる味じゃが、美味いのう」
一品目は大好評だったようで、ほっと胸を撫でおろした。
「瑪瑙、一枚だけ?」
珍しくルーリがおかわりを催促してきた。
「他にも色々作りたいから、もうちょっと待っててね?」
「うん、楽しみにしてるわね?」
「まっかせてー!」
さて、次に取り掛かろう。
お米が白くなって、浸水具合も丁度良くなっているので、土鍋にお米と水をそのまま移す。
土鍋にいれて浸水させると、お鍋が水を吸っちゃって、火にかけたら割れちゃうことがあるらしいので注意ね。
「えっと、まずは沸騰させる」
土鍋でご飯を作ったことは何度かあるけど、それは火の調整が簡単にできるガスコンロでの事。
焚き火で作るのは初めてなので、少し緊張してしまう。
土鍋の蓋の蒸気穴から薄っすらと湯気が沸き上がり、中からぐつぐつと言う音が聞こえてくる。
蓋を開けて沸騰を確認し、薪の量と火までの距離を調節して弱火にしてさらに炊く。
「慣れるまでは、今みたいに蓋を開けて沸騰を確認してくださいね」
「ふむふむ、なるほど」
しばらくしたらまた蓋を開けて、今度は水分が残っていないかを確認する。
水分が残っていない事を確認したら、蓋を開けたことでお鍋の中の温度が下がったので、薪をくべて火力を上げ、ほんの少しの時間だけ温める。
「時間はほんの少しだけ。もし水が残っていたら追加でもうしばらく炊いてください」
「はいっ!」
そして、ここからは蒸らし作業。
「火から下ろして、蒸らします。この時に、
絶対を強調する。
そして、しばらくしてから蓋を開ける。
白い蒸気が舞い上がり、ほんのり甘い匂いが漂ってくる。
土鍋の中は、真っ白でツヤツヤなご飯が炊きあがっていた。
ガネットさんから買ったしゃもじで、そおっとかき混ぜる。
お焦げは出来ていない。
「え?! 甘い匂いがします……。私が作ったら、何だかすっぱい匂いがしたんですが……」
「糠とか汚れがまだ残っていたんでしょうね。たしか研ぐのが不十分だとそう言う匂いがするって聞いたことがあります」
ガネットさんの驚きの声に、みんながすんすんとお鍋に鼻を近づけて、香りを嗅いでいる。
「ほんとだ! ほんのり甘い匂いがする!」
「真っ白で凄く綺麗ね」
「これは少し慣れも必要ねー」
一口味見をしてみる。
口の中でもはっきりとわかる粒の感触。
噛めば程よい甘さが口内に広がる。
美味しくて鳥肌が立ってしまう。
「んー! 甘ーい! 久しぶりのご飯!」
「瑪瑙お姉ちゃん! ハルルもっ! ハルルもっ!!」
「待って待って! ちゃんと器によそうから!」
半分ほどを、これまたガネットさんから買った茶碗によそって、みんなに配る。
みんなはスプーンで、私はお箸でいただきます。
「まあ! 優しい甘さが口の中に広がるわー」
「これは驚いた。噛めば噛むほど甘くなるぞ」
「何て美味しいんでしょう」
「……私が作ったのと、全く別物ですー」
ご飯はとても好評だった。
「ねえ瑪瑙? 半分残ってるけど、どうするの?」
「これはね、五平餅――じゃなかった。ツヅミ餅を作るために残してるの。さっき作った味噌ダレを使うんだよ」
本当はこのまま全部食べてしまいたいんだけど、どうせなら美味しいツヅミ餅を食べてもらいたい。
ご飯をすり鉢に入れ、粒が程々に残る程度にすり潰す。
すり潰したご飯を草鞋型……楕円形に丸め、平たい竹串に刺し、熾火にしておいたかまどに網を乗せて、型崩れを起きにくくするために素焼きする。
「ちょっともったいない気がするわねー」
「まあまあ、まだまだお米はありますので、いくらでも作れますから」
両面に軽く焦げ目がついたら、作っておいた味噌だれをつけて再び焼く。
「これもすぐに焦げちゃうので注意です!」
ひっくり返しながら両面の味噌ダレにも軽く焦げ目がついたら完成。
「これも一人一本ですが、召し上がれー」
みんなふーふーと息を吹きかけ、はむっと齧りつく。
「ほう! これは美味い! 先ほど食べたツヅミ餅とは比べ物にならんのじゃ。香ばしく甘じょっぱい。だが、先ほどのチキンとは全く違う香りと風味。そして、食べ応えがあって良いのう!」
「……あれっ?! 私が食べさせてもらったツヅミ餅より美味しいかも?!」
もぐもぐ。
甘めに作り、焼いたことで香ばしくなったたれが、ほんのり香ばしいご飯によく合う。
すっごく美味しいというわけではないけれど、素朴な味で満足感のある美味しさだ。
「瑪瑙? まだお鍋にへんな植物放り込んだままのやつがあるけど、あれはどうするの? あと何だっけ? カツオブシ? これもどうするの?」
「ふっふっふ! 伝統的なスープを作るのよ!」
「スープ?」
皆が不思議そうに首を傾げている。
先ほど昆布をぺいっと入れておいたお鍋を火にかける。
弱い火で、沸騰しないように気をつける。
じっくり温めると、やがて入れた昆布が大きく戻り、水は薄い琥珀色になってくる。
ここで一度味見をする。
昆布の香りと、旨味がつまった出汁が出ている。
「よし」
ほんの少し火を強くし、沸騰する直前で昆布を取り出す。
そして鰹節を入れて、火から下げる。
鰹節が沈んだら、麻の布を敷いたお鍋に注ぎ、鰹節を取り出す。
すると、先ほどよりもグッと濃くなった琥珀色のスープが出来上がる。
「できた?」
「ううん。これは一番出汁って言って、これを使ってお料理を作ったりする、所謂ベースみたいなものだね」
そう言って、リステルに小皿によそった一番出汁を渡す。
「――っ?! えっ、これで完成じゃないの?! これだけですっごく美味しいんだけど!」
興味深そうに眺めているので、みんなに味見をしてもらう。
「旨味が強い!」
「味わい深いわー」
「ほんのり甘さも感じるのじゃ」
「美味しい!」
みんなに好評な一番出汁に、たまねぎ、キノコを同じぐらいの大きさになるように切って入れる。
本当はお豆腐とかおあげとかワカメが欲しいんだけど、流石に手に入らないので、手持ちの具材でシンプルに。
火にかけ、入れた具に火を通す。
そして火が通ったら、一度火から下ろして味噌を混ぜ溶き、再び火にかけてほんの軽く一煮立ち。
「お味噌汁の完成!」
「具材はシンプルだけどー、手間暇を凄くかけるのねー。メノウちゃんが以前ハストちゃんに演説してた通りー、全く手を抜かないの、お姉さん尊敬しちゃうわー」
カルハさんに褒めてもらい、少し照れ臭いけど、とても嬉しかった。
器によそって、みんなに配る。
みんながじーっと私を見る。
私はお構いなく、ずずずずず。
「メノウ、流石にそれはお行儀が……」
「はっ?!」
コルトさんに注意されて気づいた。
みんなスプーンを持っていた。
「あのっ! あのっ! 誤解されているようなので、弁明しますがっ! このお味噌汁は、こうやって飲むのが私の国のマナーなんです! 忘れていたとかではなくっ!」
「瑪瑙~ぅ、ほんとうに~ぃ?」
ニヤ―っとした笑みを浮かべてリステルが聞いてくる。
「お味噌汁、飲みたくないんだったらそれでもいいけど?」
「ぐっ!! いります。欲しいです……」
しゅんとするリステル。
「すみません。不快でしたね。気をつけます」
いつも通りに飲めないのは少し残念だけど、これは文化の差だ。
美味しいお味噌汁が飲めるだけでも私は大満足だ。
そう思っていたのだけれど……。
ずずずず。
カルハさんが私を真似して音を立てて飲み始めた。
「メノウちゃん! これっ! すっごく美味しいわー! 今まで飲んだことがない旨味と香りでお口がいっぱいよー!」
すると、残りのみんなもカルハさんの後に続き、すすり飲む。
「美味い! これはいいな。他のスープが物足りなく感じるかもしれん」
「あ、なるほど。すすって飲むことで、香りが口の中に広がるのね」
「あのっどうして……」
「お前さんの国の料理じゃからな。お前さんの国のマナーに合わせていただくのが筋ではないのかのう?」
「ちょっとすするの難しい……」
「……えへへ。みんなありがとう!」
みんなの優しい言葉に少し涙が溢れそうだった。
「音を立てて飲んじゃダメって厳しくしつけられてきたから、何だか新鮮! あとちょっと恥ずかしい」
「えっと、メノウさんはガラク皇国出身の方……なんですか?」
……うっ。
調子に乗って色々作ったり、マナーの事を話したりしちゃったから、そう思われても仕方ないよね。
「あははは。えっと、ガラク皇国の出身ではないんですが、色々訳ありでして。お察しいただけると嬉しいのですが」
「おっと! 少し踏み込み過ぎちゃいましたね。失礼しました。詮索するつもりはなかったので、お気を悪くしたら申し訳ありません」
わたわたと慌てて手を振って否定するガネットさん。
「いえ、こちらこそすみません。それよりガネットさん、お料理どうでしたか?」
「大変美味しく頂かせてもらいました! ツヅミ餅があんなに美味しいものだとは。鳥肉もオミソシルも今まで味わったことのない味でしたが、どれも凄く美味しかったです!」
「ご満足いただけたようで、私も作った甲斐があります。ちなみにこれはフラストハルン王国のどこ辺りに行けば手に入るんですか?」
「えっとですね。最北端のミュセットという街が、交易の街として各国と海を介して貿易をしています。そこでガラク皇国の輸出品が手に入るんです。漁業の街としても有名ですね」
「そこからガラク皇国へ行くことってできるんですか?」
「できますよ。一応定期船みたいなのが出ていたはずです。あまり利用する人はいませんが」
「そうなんですか?」
「はい。ガラク皇国からやって来る人は結構いるんですが、文化の違いが大きいんでしょうね。ガラクへ渡る人はあまりいませんね」
「ガネットさんはガラク皇国へ行ったことはあるんですか?」
「何度か行ったことはありますが、港街のショウコから出たことは無いんですよ。ショウコはある程度こちらの文化も取り入れて、観光に来た人が過ごしやすいように作られていますから。街並みも、こちらの建物とガラクの建物が混じったような不思議な街並みになっていますよ」
「へー、面白そう」
「ガラク皇国へ向かわれるんですか?」
「そうですね。目的地はオルケストゥーラ王国ですが」
「また随分と遠くへ……。ガラクを経由するわけですか。そう言えば随分前にハルモニカ王国から使節団が向かった話がありましたね」
これはたぶん、リステルの叔母様の事だろう。
「ガラクの情勢などお話しできたら良かったのですが、中々こちらに話が届きませんからね」
「いえいえ、ミュセットと言う街と、ショウコと言う街の事が知れただけで凄く助かりました。ありがとうございます!」
「いえいえこちらこそ、美味しい食事を食べさせていただいたのに、この程度の情報しか出せなくて申し訳ないです。……おっとそうだ! レシピの料金を支払わせてください! おいくらが良いですか?」
「え、いりませんけど?」
私がレシピを教えると、みんながお金を払おうとする。
別にお金が欲しくて教えてるわけじゃないのに。
「……メノウさんもしかして、他の方にもレシピをタダで教えたりしてます?」
「はい、何度か。そもそもお金を貰うつもりなんてありませんでしたし」
「……ええ」
私の言葉に、ガネットさんは愕然とする。
「メノウさん! 一商人として言わせていただきますが、それはもったいなさ過ぎます! レシピと言うのはかなり貴重なんです! これだけでどれだけのお金が舞い込んでくるか。特に、メノウさんから教えていただいたこのレシピは、この国ではかなり貴重なものです! ね、もったいないでしょう?」
「ほえー。レシピってそんなに高価な物なんですね? お金はいりませんのでどうぞお気になさらずー」
言わんとしている事はわかったけれど、それはそれとして、レシピでお金をもらうつもりはない。
「ぐっ! 手ごわい! じゃっじゃあ! 私がこのレシピを使って商売して大儲けしたとしても、文句はないんですね?!」
「え、ありませんよ? 商売がんばってくださいね!」
私は両手をぐっと握って、ガネットさんを応援する。
ポカーンとして私を見ていたガネットさんが、今度はみんなの方に助けを求めるように視線を向けた。
「あっあはははは。ガネットさん、瑪瑙は本気で言ってるんです。揶揄っているわけでも、試しているいるわけでもないんですよ。純粋に料理が好きで、教えるのも大好きだから、お金はとらないんです。だから貰ってあげてください」
少し困った顔をしたルーリが、ガネットさんを説得する。
「そうなんですね。わかりました! ですがっ! お名前だけはしっかりと書き記させていただきますよ!」
「……えー」
「瑪瑙よ、譲歩も必要じゃぞ? お金を受け取るつもりがないのはわかったが、せめてそれくらいは許容するのじゃ」
「はーい」
サフィーアにそう言われて、渋々だけれど頷いた。
実はここにいる誰一人として、今までにメノウからレシピを教えてもらった人物達が、全てレシピにメノウの名前を記している事を、知らなかった。
数年後、この大陸の食文化が大きく変動する時期が来る。
食の転換点と言われ、歴史的にも大きな出来事として記されるほどになる。
そのきっかけを作った人物の代表として、メノウという女性の名前と、彼女が伝授したとされるレシピが記されることになるのは、また別のお話。
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