自分たちは知恵を持つ獣だから、と思い込み、

ほかの獣たちとは線引きをしているけれども、

そのあわいにあるのは思いあがりと哀しみだ。


廃棄をするほど殺している。

根絶やしにするほど殺している。

自死をするほど殺している。


繁栄の道を違えてきたわたしたちは、

もはや獣の風上にも置けない存在として、

人間という生きものでいるしかないんだろう。


肥大したり千切れたりするコミュニティで、

歌をうたうよ。

言葉は後出しジャンケンなのに、

気づけば通じあえなくなっていったよ。


今でもうたい続けているよ。

いくつもの文化が生まれては死んだけれども、

原始の鼓動が息づく歌はずっと残っていくだろう。


人間の知恵や技術は確かに優れているのだろうが、

ギミックを必要としない獣たちこそ素晴らしい。

生きるだけで輝いて見える人間はそうそういない。


しなやかに走り、勇猛に戦い、

子をなし、血を繋げていく獣たちよ。

あたりまえのことができない人間を、わたしを、

責めることもしないでただただ日々を、

己を全うする命をどんなに尊いものかと思うよ。





20211219

深夜の二時間作詩 第137回「獣」

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空にささめく ── 深夜の二時間作詩編 双星たかはる @soiboshi

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