隠し事

かくしごと、増えてゆく。

息をするだけで増えてゆく。

詳らかにはしない。わたしはわたし。

あなたとは違うことの証明だから。

わたしであることの証明だから。


刻刻と増えてゆく。

垂れ流すようなものではないから。

律することを知性と言うから。

考えることの証明だから。

生きることの証明だから。


だれもが薄い皮で隔てたなかに、

見えないものを持っている。

それは善意や悪意、後悔だったり、

懺悔や妄想かもしれない。

いつも本質のすぐそばにある。


かくしとおせないこともある。

あからさまで察しがつくとき。

なにかをとおして繋がったとき。

開いたほうがいいこともある。

拗れることを覚悟してでも。


なにを真実としたいのか、

現実を見つめる必要がある。

しっかり見つめる必要がある。

あなたの抱えるものの価値は、

あなたにしか判らないのだから。


かくしごと、また増える。

思考の数だけ増えてゆく。

迷惑であり親切なもの。

両刃のつるぎが鋭かろうと、

血を流そうと生きてゆく。





20210605

深夜の二時間作詩 第113回『隠し事』

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