第25話 異変
※第三者視点
「失礼します」
団長室にとある団員が入ってきた。
「どうした?何にかあったのか?」
「はい。第六兵団からの情報です。通常よりも魔物の数が多いとの連絡が入りましたが」
「どの程度だ?」
「それは……」
「まさか来てないのか?」
「はい……ただいつもより多いとだけ…」
「あのバカ、またか……これで何回目だよ。いつも詳細に送れと言ってるのに……」
「また問い合わせますか?」
「いい。お前は引き続き仕事を続けろ」
「はっ」
そう言って団員は部屋を出た。
それを見送っていた団長、ゴーレインは深いため息をついた。
「はあ。全く、こっちの身にもなってみろよ。だから脳筋は」
そう言って彼は自分の仕事に戻るのだった。
***
「団長!こっちは終わりやした!」
「分かった!お前らは別のとこでまた暴れろ!」
「了解!」
第六兵団。別名、荒くれ者。
団長のグラムを中心とした兵団で、暴れるように戦うのでその名が呼ばれるようになった。
団員一人一人が気性が荒く、チームワークが全く無い。
しかし彼らの団員に対する信頼は厚く、戦闘中の衝突が無いので本当に訳がわからない、と某情報担当の団長は叫んでいた。
「おい!第八に連絡はしたのか!?」
「はい!しやした!」
「何つった!?」
「いつもより魔物が多いって言いやした!」
「馬鹿野郎!正確に言えってゴーレインに言われてんだよ!正確に言えよ!」
「すんません!でも正確にってどのように言えばいいんで!?」
「数いえばいいんだよ数を!お前のアビリティで行けんだろ!?」
「あれ使うんすか!?俺嫌っすよ!?あれなんか気持ち悪いっす!」
「でも使わねえとまた俺が怒られるじゃねえか!さっさと使ってそして伝えろ!」
「了解!」
その兵士は早速自分のアビリティのスキルである、空間把握と個数測定を使った。
「……っ!?」
「どうした!?なんか分かったのか!?」
「なんかやばいやつがいるっす!これは絶対に応援要請したほうがいいっすよ!」
「どのくらいやばいんだ!」
「団長以上っす!」
「……は!?んなわけねえだろ!?そんなん出てたまるか!?」
「それが出てるんすよ!?マジもんっす!俺、今から要請するっす!」
「どこだ!そのやべえやつは!教えろ!俺が行ってぶっ倒してやる!」
「待つっす!今は要請が先っす!」
「うるせえ!もう俺は行く──」
ドカン!!!!
すると、彼の後ろから爆発音が聞こえた。
「……っ!?」
「やばいっす!早く逃げたほうが……」
「うるせえ!あいつらが頑張ってんだ!俺は行く!」
そう言って彼は飛び出していった。
「あああああ、やばいっすやばいっす!は、早く応援要請を……」
その団員は手に持っていた通信機で応援要請をしたのだった。
***
「失礼します!」
ゴーレインの部屋に先程の団員が急いだ様子で入ってきた。
「大変です!第六兵団から応援要請が入りました!」
「っ!?分かった!今動ける兵団の団長もしくは副団長に連絡をしろ!」
そう言った途端、また部屋のドアが勢いよく開かれた。
「失礼します!第七兵団から応援要請が入りました!」
「何っ!?そこもか!?どういうことだ!?」
「団長、どうすれば……」
「お前ら!今すぐ待機中の兵団の団長もしくは副団長に連絡を!早く!」
「「はっ!!」」
彼らが慌ただしく出て行ったあと、ゴーレインは底知れぬ不安を抱いていた。
「魔王様が行ってからすぐにこれか……何かありそうだな。よし」
彼はすぐにとある人物に連絡をした。
「仕事だ。王都周辺の調査及び怪しい者を探せ。また議会にも探りを入れろ」
『御意』
(これで何とか目処はついた、か。何もなければいいが……)
彼の不安は消えない。
***
※シン視点
訓練中に応援要請が入った。
内容は第六、第七兵団の団員及び団長の絶命危機だ。
それほどの強敵が来たのか。
第六の団長は確かに荒れているがそれでも強さはかなりあるはずだ。
第七の団長も強さでいえば同じだろう。
そんな彼らが苦戦する相手が出たなんて。
確か彼らは魔物の間引きを今日はしていたはず。
ということは魔物の中に新たな上級悪魔が出た?
しかし魔物に属する下級悪魔の中から上級悪魔が出ることなんて殆どないはずだが……
「団長、どうする?」
「これは……というか他の団長の判断はどうなんだろう?」
「第二は行くんじゃないかな。あの団長のことだから、手柄欲しさに行くんじゃない?」
「言い方もうちょい良くしよう?……」
「でもあの団長の行動原理は手柄だよ?」
「……はぁ、もういいよ。他は?」
「わかんない」
「……まあ行くか。バララ、団員を集めて。僕は行く旨を伝えるから」
「了解」
そう言って彼は部屋を出た。
そして僕は通信機を取り出し、第八に繋いだ。
「こちら第三。どっちに行けばいい?」
***
「団長、第三が応援要請を受け入れるとの連絡が来ました」
「よし、それじゃあ第六の方を頼もう。場所のデータも送っとけ」
「はっ」
団長に指示を仰いだその団員は直ぐに部屋を出た。
『失礼します。今よろしいでしょうか?』
すると、彼の通信機から連絡が来た。
「ああ。何かわかったか?」
『はい。施設を見つけました。これから調査しようと思うのですが』
「分かった。その施設の持ち主についても調べろ」
『御意』
彼は通信機の電源を切った。
そして、深くため息を吐いたのだった。
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更新遅れてすみません。
約2週間は更新が難しい状態が続きそうです。
近況ノートに理由などは書いておきましたので知りたかったら見て下さい。(まあ別に見なくてもいいです)
あと、プロローグを改稿しました。
前々からちょっと変だなと思ったので変えてみました。
良かったら見て下さい。
以上、作者でした。
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