第23話 準備
次の日、僕は早速団員達を集めた。
「改めて、新しく団長に就任した、シュレインだ。気軽に前のようにシンと呼んでね。それでは副長を初めに決めてから、今後の任務について話したいと思う」
すると、団員の一人から質問が挙がった。
「どうやって決めるんですか?」
そうだった。決め方を言っていなかった。
僕にとって決め方は一つしかない。
「模擬戦」
「成程。その中で一番強い人が副長になる、と言うことですね」
確かに、合っているようで違う。
「違うよ。確かに模擬戦の結果も配慮するけど、それ以外に僕がこの目で見て、誰が相応しいか決める。また、部隊長もこの際だから新調しよう。模擬戦は3日後。闘技場は借りとくから、各々訓練然り、勉強然り、頑張ってね」
「「「「「はい!!!」」」」」
「それから、今後も今まで通り遊撃部隊として活動してく事が決まったから、それも念頭に置いといてね」
こうして、僕が団長になってから初めての集まりは終わった。
***
そして3日後。
「皆集まったね。それじゃあ始めよっか」
総勢27名のバトルロイヤル。
「それじゃあ、始め!」
始まってから数十分間後。
残ったのは4人だ。
グレン、ルー、ラギ、そしてバララだ。
彼らは元々それぞれの部隊長だった実力者だ。
しかし、ルーだけは違う。
彼はここ最近になって入団してきた新人である。
正直僕はこの結果に驚いている。
確かに彼は入団当時から少しずつ頭角を表していた。
何なら勇者相手に上手く立ち回って戦えていた。
「うおおおお!!!」
「何っ!?」
ルーがラギに魔術で攻めていく。
彼は予め仕掛けていたとある魔術トラップに誘うように攻撃を撃っていく。
「っ!今だ!トラップ発動!
シンプルだが威力がある魔術トラップ。
トラップとしては定番と呼ばれている物だ。
「ぐおっ!?ぐっ、ガァァァ!!」
「これで終わりだ!『燃えよ炎!その力で焼き払え!
最後に中級魔術を放ち、見事ラギを倒した。
しかしその後直ぐにグレンとバララの戦いの余波に巻き込まれて倒れた。
彼も相当疲れていたのだろう。今はゆっくり休んでほしい。
その後、見事優勝したのはバララだった。
彼は剣と魔術の合せ技を使う珍しい戦い方をするが、それでも相当強いと思う。
そして僕は皆がしっかりと回復した後、集めた。
「皆お疲れ様。順位に関しては後日発表させてもらうよ。それじゃあ、副団長及び、第一部隊、第二部隊、第三部隊の各部隊長、副部隊長を発表するよ。副団長はバララ。第一部隊長はグレン。副部隊長はライラ。第二部隊長はルー。副部隊長はラギ。第三部隊長はボイロ。副部隊長はゾラン。以上。次に、その他人員の配属部隊を発表する。第一部隊は……」
それから僕は第一部隊から第三部隊まで、全ての部隊について発表した。
「なにか質問は?」
「何で私が…副部隊長なんですか!」
そういったのはラギだった。
「普通だったら、私が第三部隊長のはずです!何故私は副部隊長なのですか!?」
「それは簡単な話さ。君は少し真っ直ぐ過ぎるんだ。しかも、自分の勘等に頼り過ぎているところがあった。これでは全て一人で完結してしまい、部下を預けるに値しない。よって、君は副部隊長なんだ。今後、ルーの元で戦術を学ぶといい。そうしたら部隊長に昇進するか考えてあげるよ」
「わかり……ました」
そう言って渋々彼女は下がった。
彼女は僕の後輩で、いつも何も考えずに戦っていることにちょっと心配していた。なので丁度いい機会だった。
「それでは明日からまた何時もの訓練に戻るから、宜しくね。それじゃ、解散!」
今日の集まりは僕の一言で幕を閉じた。
***
その後、第三兵団は来る日に備え、訓練を再開した。
「バララ、そっち宜しく」
「了解、団長」
今僕はバララと手分けして書類作業を行っている。
「団長〜。疲れた。休もう」
「いいよ」
彼はあまり喋らないし、面倒くさがりな性格だが、やる時はやるし戦闘力もかなり高い。頼りになる存在だ。
「団長、ラギ、どうすんの?」
「ああ、彼女のことか」
「そう。あいつ、あんま集中できてないっぽいよ。絶対昨日の事が原因だよ」
「まぁ、彼女にはちょっと殻を破って欲しくてね。そうしたら団長にさせてもいいけど。ルーと切磋琢磨してくれたら尚いいけど」
彼女にはちょっと期待している。後は彼女次第だけど、駄目なら駄目でしょうが無い。
「ふうん。彼女も不憫だね」
「?バララ、何か言ったかい?」
「いいや、なんでもないよ。団長」
「それじゃあ、そろそろ始めるか」
「ええ〜……」
僕らはまた、事務作業を再開するのだった。
***
魔王会議が一週間後に決まり、各団長、そして上位貴族が収集された。
「今回の魔王会議の同行者はガイルとカナン、そしてギガス公爵の3人とします」
そして開始直後、アリシアの言葉で部屋はざわつき始めた。
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