第35話 廃墟

 二週間後。

 大地たちは船を降り西の大陸に上陸した。 

 大地、翠、琴音、リーンは頭を下げお礼を言った。

 

「「「「ありがとうございました」」」」



 船と船員は西の大陸から離れてゆく。

 大地たちは西へ進みだした。



 廃墟。

 廃墟。

 廃墟。


 村、町、都市すべて廃墟になっていた。

 大地たちは怒りを抑え進む。

 無言で歩き続けた。

 日が暮れテレポートで大地たちは花の都フェアリーに帰還した。


             ***


 宿屋。

 翠は下を向き体を洗っていた。


 ……


 リーンは湯船に浸かったまま翠に声をかけた。


「すい、気にしているの。廃墟の事?」

「はい」

「あまり気にしちゃだめよ」

「でも……」


 翠の表情が曇った。


「すい、廃墟になっている村や町、これからも見る事になると思うわ。辛いと思うけど前を向いて行きましょ」

「リーンは強いんですね」

 

 リーンは首を横に振った。


「私はすいより経験が多いだけ。両親はいつも喧嘩していた。家が嫌で飛び出した。飛び出したのは良いのだけど。直ぐにお金なくなってね。路上に迷った。でもレジーナと出会ってキャロットで手伝いさせてもらって。子供だった私もどうにか

生きて来られた。そういう事もあってっね」


 ……


 翠の口が開いた。


「そういう事が……」

「ごめんね、すい。暗くなっちゃたわね」

「そうだ。今日の添い寝、譲ってあげる。落ち込んでいる時は好きな人と一緒に居るのが良いわ」


 リーンは湯船から上がり翠の横で体を洗いだした。



 大地、琴音、リーンは布団に入り眠りについた。

 翠は仰向けで眠っている大地と同じ布団に入った。

 手を握る。

 暗い気持ちが晴れた。


(何だろう? さっきまであった嫌な気分が無くなってる)


 翠は瞳を閉じ眠りについた。


  

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