第32話 魔法の服

「よく頑張ったな。あたいが教える事はもうない」


 ローズが言うと琴音は頭を下げお礼を言った。


「ありがとうございました」


 ロースは笑った。


「いや良いって。荷物、家だろう。花の都フェアリーに帰るか」

「はい」


 琴音が返事をすると二人は歩き出した。


                ***


「ふう」


 大地は息を吐いた。


「テレポート」


 大地の姿が消えた。

 魔物の巣穴から花の都フェアリーに移動した。


 

 翌日。

 服屋の扉を大地が開けた。

 木の香りがする中、大地たちは服屋に入った。

 大地は荷物を置き奥に居る女性エルフに声をかけた。


「今、良いか?」


 女性エルフは振り向いた。

 緑色の髪が揺れる。

 カウンターまで歩き女性エルフは大地たちに視線を向けた。


「ご用でしょうか?」

「これで魔法の服を三着作って頂きたい」


 大地は荷物から素材を取り出しカウンターに素材を置いた。


「見せて頂きますね」


 女性エルフは素材に視線を向けた。


 ……


「はい、これなら作れます。何方様のをお作りしましょうか?」

「後ろに居る三人、一人一着お願いしたい」

「畏まりました。主に使用する武器を教えて頂けませんか?」

「ナックル、弓、杖だ」

「少々お待ちください」


 女性エルフは後ろを向き本棚に移動した。

 三冊取り出し大地の前まで戻って来た。

 女性エルフはカウンターに三冊置く。


「こちらがデザインのサンプルになります。この中からお選びください。お一人ずつサイズ測りますので試着室にお入りください」


 琴音は翠とリーンの方へ向いた。


「私、先で良いですか?」


「「どうぞ」」


 翠とリーンが答えた。

 琴音は女性エルフの方を向いた。


「ではお願いします」


 女性エルフはメジャーを持ち琴音と共に試着室に入った。

 大地は後ろに下がり翠とリーンが本を手に取る。

 翠とリーンは本を開き見始めた。


(これ可愛い。でも見えちゃいそう)


 翠は頁を捲った。

 


 琴音は服を脱ぎ下着姿になった。


「測りますので両手挙げてください」


 女性エルフに言われ琴音は両手を挙げた。

 女性エルフは琴音のサイズを測り始めた。

 


 数分後、サイズを測り終え琴音は服を着る。


 ……


 琴音はカーテンを開け試着室を出た。

 翠、リーンは順番に試着室でサイズを測った。

 サイズを測り終え翠たちはデザインを真剣に選ぶ。



 三〇分後。

 翠たちはデザインを決め女性エルフに伝えた。


「承りました。胸当てはどうしましょうか?」


 琴音は後ろにいる大地を見た。


「購入した方が良い。素材は任せる」

「そうですね。そうします」


 琴音は前を向いた。


「胸当てお願いします」

「畏まりました」


 女性エルフは引き戸から冊子を取り出し琴音の前に置いた。


「こちらが見本になります。五種類の金属からお選びください」


 琴音は冊子を開き見始めた。


 

 二分後。


「四番にします」


 琴音は女性エルフに伝えた。


「畏まりました。見積もりますので少々お待ちください」


 女性エルフは冊子を本の上に置いた。

 琴音が下がり大地が前に出た。


 ……


 女性エルフは見積書をカウンターに置いた。


「こちらが見積もりになります」


 大地が見積書を見た。


(問題ないな)


「問題ない。どのぐらいで出来る?」


「一ヶ月ほどになります。料金は先払いでお願いします」


 大地は料金を支払った。


 女性エルフは引き戸からペンを取り出し自分の名前など見積書の下欄に書き込んだ。


「承りました。こちらが引換時に必要になりますので無くさないようにしてください」


 見積書から切り取り下欄を大地に渡した。

 大地たちは服屋を後にした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る