第29話 精霊

 琴音は目を閉じた。


「精霊よ」


 琴音の前に光の泡が複数出現した。

 

(私の精霊来て)


 琴音が願った直後、光の泡が割れてゆく。

 音が聞こえ琴音は目を開けた。

 琴音にローズは視線を送る。


「失敗だね」

「精霊と共鳴が上手くいっていないね。今夜でも精霊と話しな。今のあんたなら語り掛ければ話せるはずだよ」


「魔力を高める修行始めるよ。座って目を瞑りな」

 

 琴音はシートの上に座り目を閉じた。


               ***

 

 大地が見守る中、翠とリーンは魔物と戦っていた。


 ……


 翠が魔物を粉砕しリーンが翠をサポートする。

 見事な連係だった。

 翠とリーンは日が暮れるまで戦い続けた。


               ***


 宿屋。

 琴音は精霊に話しかけた。


(ねえ精霊さん。お話ししない?)

(良いよ。丁度話したいって思っていたの。聞きたい事があるの良い?)

(良いですよ)


 琴音が精霊の質問に答えると精霊はにこやかに笑った。


(ねえどうしてキスしないの? 好きなのに変だよね) 

(きすならしましたよ)


 精霊は頭を横に振った。


(ううん。違うよ。あんな意識が殆どない状態じゃなくてはっきりと意識がある時に)


 琴音の顔が赤くなった。

 精霊は笑う。


(ふふ。添い寝していた時もどきどきしてた。もっと気持ちに素直になって。キスしたら良いよ私は貴女。だから分かるの。私の気持ち。またお話ししましょ)


 琴音は精霊と会話を止め着替えとタオルを持ち脱衣所へ向かった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る