第28話 夜

 海賊船に残っていた海賊も兵士たちに捕まり牢獄に入れられた。

 花の都フェアリーは普段と変わらない日常に戻りつつあった。

 


 大地は目を開けた。

 目の前に迫る胸。

 リーンが添い寝をしていた。

 琴音が大地と添い寝をしている事を知り翠とリーンも添い寝をするようになった。

 大地は眠れず寝間着から動きやすい服に着替えた。

 鞘に入った剣を持ち部屋を出る。

 扉を閉める音と共に翠は目を覚ました。

 ベッドに目を向けた。


(大地が居ない。どこに行ったの?)


 翠は着替え鍵を持ち部屋を出た。

 扉に鍵をかけ歩き出した。


 

 大地は素振りをしていた。

 汗が地面に落ちる。

 月明かりが大地を照らした。

 翠の瞳に大地が映る。

 鼓動が鳴る。


 ドキ。

 ドキ。

 

 一歩一歩、翠は大地に近づく。

 翠は大地に声をかけた。


「大地。こんな所で何をしているのですか?」


 大地は素振りを止め翠の方を向いた。


「眠れなくて素振りをな」

「あの、話ししませんか?」

「ああ、良いぞ」


 翠と大地は暫く話をした。


             ***  


 大地は船を見て回った。


(どれにするか)


 大地の目に入る。


(この船が良さそうだ)


 大地は黒ひげの男に声をかけた。


「この船の価格はいくらだ?」

「一万金貨になりますぜい」


「そうか」


(足りないな)


 大地は港を後にした。


 

 リーンは翠と走っていた。

 汗が地面に落ちる。

 リーンが翠より早く大木を横ぎった。

 リーンは立ち止まった。


「はあ、はあ」


 息を吐いた。


 翠も大木を横ぎり立ち止まる。


「はあ、はあ」

 

 リーンは翠を見た。


「私の勝ちね」

「負けると悔しいですね」

 

 リーンと翠は並んで歩く。

 翠はリーンに視線を向けた。


「私たちこのままで良いのでしょうか?」

「良いのよ。今はね。私たちにできることしましょ」

「……そうですね」


 リーンは翠の瞳を見る。


「休憩後、人勝負しない?」


 翠は闘志がたぎる。


「負けません」


 リーンと翠は戦いが始まった。


               *** 


 魔王城。

 大蜘蛛の口が動く。


「ギギギ」


 魔王ダークは頷く。


「子作りはもうせん。幹部以上の強さでなければ勇者には無意味だ。勇者に備えろと女王につたえろ」


 大蜘蛛は頭を下げ大室をでる。


(勇者よ! この魔王城で待っているぞ。我は強くなる。楽しみだ。ははははは)


 魔王ダークは心の中で笑った。

 

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