第23話 琴音

 大地は湯船に浸かっていた。

 扉が開き琴音が浴室に入って来る。

 琴音はビキニ水着を着ていた。

 大地に近づいてくる。

 琴音はお湯を体にかけ湯船に浸かった。

 向き合った。

 大地は吸い込まれるように二つの大きなものを見た。


 ……


「そんなにまじまじと見られると流石に恥ずかしいのだけど」


 琴音の顔が赤くなっていた。


「すまない」


 大地は顔を上げ琴音の顔を見た。

 目と目が合う。

 ドクン、ドクンと鼓動が鳴る。

 琴音は立ち上がると、お湯が胸から足へ流れてゆく。


「背中洗ってあげます。そこに座って」

「わかった」


 大地は浴槽から出て風呂椅子に座った。


 琴音は背後に座り大地の背中を泡が付いた布で洗い始めた。


 ……


「以前、翠さんとリーンが貴方の背中、洗っていたでしょ。私も洗ってみたいと思ったの」

「こうしているとわかる。どきどきしている。私……貴方が好き」

 琴音は大地に想いを告げた。

 甘い空気が流れた。


 ……

 

 琴音の手が止まった。


「魔王に勝てる?」


 琴音の一言で真面目な空気に変わった。

 大地は沈黙する。



 数秒後。

 大地は口を開いた。


「俺一人なら勝てる。翠、琴音、リーンを護りながらだと正直分からない」

 

 琴音は大地を包み込むように背後から抱きしめた。


「私ね。自分の心の声が聴こえたの。不思議よね」


「精霊だな」

「精霊?」


 琴音は大地から体を離し聞き返した。


「ああ。間違いない琴音の心の中に精霊が居る。呼び出せば力を貸してくれるはずだ」


 琴音は思う。


(強くなれる? 強くなりたい)


「呼び出せるようになれば強くなれますか?」

「ああ、強くなれる。花の都には精霊に詳しい奴が居る。明日の午後に俺が案内する」


 琴音の質問に大地は答えた。


 琴音は微笑んだ。


(良かった)

 

 琴音は大地の背中に視線を向けた。


(あっ。洗っている最中だった)


 琴音は大地の背中を再び洗い出した。


 

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