第22話 翠とリーン

 翠は水着を着てベッドの上でうつ伏せになった。

   

 顔を横に向け大地に視線を送った。


「お願いします」


 翠は目を閉じた。

 

 大地はまたがり翠に声をかけた。


「始める」


 翠の肩に力が入る。

 大地は手を伸ばし翠の肩を揉む。


(気持ち良い)


 翠の力が抜けてゆく。

 大地の手が肩から腰に移動した。

 腰をマッサージする。


「ん」


 翠は出そうになった声を飲み込んだ。


(聞かれれないよね)


 翠の不安をよそに大地はマッサージを続ける。 

 大地はベッド降り翠の足の横に移動した。

 翠のお尻が視界に映った。

 布越しでも形がはっきりとわかる。

 大地は指輪が光り理性を保った。

 腕を伸ばす。

 大地の両手が翠の太ももに触れた。

 柔らかな感触が大地に伝わる。


「っ!」


 大地は声を飲み込んだ。

 翠の太ももを揉む大地。

 

(ん。気持ち良い)


 翠はマッサージを堪能する。

 眠気が段々強くなってゆく。

 気持ち良さと眠気が増し翠は眠りについた。

 大地はそっとタオルを翠に掛けた。

 

 三〇分後。

 翠は目を覚ました。


(寝てた?)


 翠は起き上がった。

 タオルがベッドに落ちる。

 横を向くと大地が翠の視界に映った。


「大地。今日はありがとうございます。お風呂に入ってきます」


 翠は着替えとタオルと布を持ち脱衣所に向かった。


 脱衣所。

 翠は水着を脱ぎ始めた。


(失敗した。寝ちゃった)

 

 汗をお湯で洗い流した。



 翌朝。

 翠は気が付いた。


(何? 身体が軽い)

 

 翠たちはトレーニングを始めた。

 翠は自身でも判るほど動きが良かった。



 トレーニングを終えたその日の夜。

 リーンは大地の隣りの椅子に座った。

 目の前のテーブルには大地が作った料理が置かれてあった。

 良い匂いが鼻を刺激する。

 

「「「「いただきます」」」」


 大地たちは一斉に食べ始めた。


 リーンは大地に体を密着させ大地の方を見る。


「だいちさん。せっかくだから食べさせて」


 リーンの甘い声が大地に入ってくる。

  

(仕方ない。お礼がしたいって言ったのは俺だ)


 大地はフォークで魚料理をリーンの口へ運ぶ。


「あーん」


 リーンは口を開けた。

 魚料理が口に入ると口を閉じた。

 美味しさが脳を刺激する。

 リーンから笑みが零れた。


「だいちさん。美味しいわ」

「良かった」


 大地は笑った。

 翠と琴音は大地とリーンが恋人の様に見えた。

 うらやましくあり悔しさがあった。


 甘い空気はしばらく続いた。


             


 

   

 

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