第20話 水の都アクア戦

 水の都アクアに多くの兵士と百人の冒険者が集まっていた。

 水の都の西側に足場としての船が数十見える。

 西に配置された兵士が足場である船へ移動した。

 移動が終わりそれぞれ配置に着く。

 魔王軍は進軍する。

 空には黒い塊。

 黒い塊は人よりはるかに大きい巨大トンボだった。

 その数、一五〇。

 巨大トンボは大きさが人ぐらいある黒い球体をあしで運んでいた。

 弓の射程に入る。

 弓兵一千人が弓を射る。

 数十の巨大トンボと黒い球体が海へ落下した。

 巨大トンボは船上へ黒い球体を落とす。

 衝撃で破片となった木材が飛び散る。

 黒い球体が次々に割れてゆく。

 中から猫の獣人や二足歩行の巨大アリなどが現れた。

 黒い球体の中には巨大ダンゴムシが混ざっていた。


「弓兵を護れ」

 

 指揮官の命令で歩兵が動く。

 猫の獣人たちとの戦闘が始まった。


           ***


 大地たちに迫るのは数百体の魔王軍。

 大地は後方に翠たちを残し魔王軍に突撃した。

 

 一〇。

 二〇。

 三〇。

 と魔王軍はは倒されてゆく。

 魔王軍は人間より自分たちの方が強いと思っていた。

 現に滅ぼした国の人間は弱かった。

 一対一では負ける事はなかった。

 目の前の人間は違った。

 次々に仲間は倒される現実。

 肉を切り裂く爪も。

 肉を食い千切る歯も。

 肉を貫く角も。

 大地の前には無力だった。

 百体が簡単に倒された。

 一人を除いて魔王軍は恐怖を感じた。

 何体か幹部の方へ逃げ出した。

 空気を切る音がした。

 幹部であるオークキングが大剣を横に振った音だった。

 逃げ出した者は上半身と下半身が離れる。

 一瞬で殺された。


「グフフ。俺様は逃げ出す奴には容赦しない。勇者ダイチと戦うか、後方にいる勇者の仲間と戦うか、選べ」


 オークキングの言葉で標的になったのは翠たちだった。

 一斉に魔王軍は動き出す。

 大地に目もくれず通り抜けようとした。

 斬る。

 斬る。

 斬る。

 通り抜けたのは数体。

 琴音は近づく者に弓を放った。

 魔物の額に矢が刺さり倒れた。

 生き残ったのは三体だけだった。


「琴音先生下がって!」


 声と共に翠は琴音の前に出る。

 ほぼ同時にリーンの魔法で翠は肉体強化される。


「やあ!」


 一体目をハイキックで倒し。

 二体目を回し蹴りで倒し。

 三体目を正拳突きで倒した。


           ***

 

 オークキングと戦う前に大地の剣は折れた。

 大地は鞘に剣を納めた。

 オークキングは大地の前に立つ。


「グフフ。勇者ダイチよ、良い事教えてやる。魔王ダーク様は神具を手に入れたぞ。魔王ダーク様は確実に魔王ヴァより強くなった。勇者ダイチよ、俺様の本気を見るがよい」

 

 大地は魔法で肉体強化をし構える。

 オークキングは何度も大剣を振り下ろす。

 振り下ろす度に大地は拳で弾く。

 大地は反撃する。

 大地の拳がオークキングの肌と肉を裂く。

 オークキングは血を吐いた。


「グフフ。良い突きだ。残念だったな、俺様は囮だ。水の都は今頃は……」

 

 オークキングは倒れ込んだ。

 大地は翠たちを連れ水の都アクアへテレポートした。



 水の都アクアの西側は燃えていた。

 

 

 

 

 

 

 


 

 

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