第19話 想い

 魔王軍が水の都アクアに攻めるまで一週間ほど前。

 大地たちはサンジャオに居る。

 水の都アクアで暴行などの犯罪が増えた為である。

 

 大地たちは。

 いつも通り起床し。

 いつも通り食事をし。

 いつも通り特訓する。

 

 翠、琴音、リーンは汗を流す。

 その間、大地は独り鍛える。


(強くなるしかない。でないと俺は誰も守れない)

 

 大地は翠、琴音、リーンの姿を思い浮かべた。


(俺には奴隷契約をした責任がある。今度こそ……)

 

 大地は鋭い突きを放った。

 空気が切れる。

 


 五日後。

 大地は翠、琴音、リーンを集め地図を広げた。


「俺は今からここ行く」


 大地は指した。

 大地が指した場所は水の都アクアの北東にある雪山だった。

 大地は言う。


「俺が魔王軍なら海からのルートは囮にし雪山から南下し水の都の東から攻める」

「囮という事は数が少ないという事でしょうか?」


 大地は翠の言葉に反応した。


「いや、それなりの数で攻めてくる。囮は惹きつけない意味がない。雪山ルートに幹部が居るとにらんでいる」


 大地は立ち上がる。


「俺は行く。翠たちはここに残れ」


 大地の言葉を聞いた瞬間、翠、琴音、リーンの感情が高まった。

 翠たちは立ち上がる。

 立ち上がると同時に翠は発した。


「待ってください! 私たちも行きます」


 大地は三人を見た。

 翠たちから決意を感じた。


(なぜ?)


「なぜ?」


 大地は口にした。

 翠は大地の瞳を見る。

 感情が高鳴る中、翠は想いを告げた。


「私は大地の事が好きです。側に居たいです」

「私もだいちさんの事が好き。だから側に居させて」


 リーンは微笑み大地に告白した。

 大地の思考が止まった。

 リーンは琴音を見た。


「ほら」


 リーンは琴音の背中を軽く左手で押した。

 琴音は少し前に出る。


「私も二人に負けないぐらい好きです」


 琴音の顔は真っ赤だった。

 大地の思考が動き出す。


(三人が……俺の事好き? でも俺は)


 大地の脳裏にカレンが浮かび上がった。


 ……


 翠は微笑む。


「今は告白の返事言わなくて良いです。何となくわかります。ただ一つだけ聴かせてください。私たちは貴方の側に居て良いですか?」


 ……


 大地は翠たちを見る。


「構わない」

 

 大地たちは支度をし水の都アクア付近にテレーポートで移動した。

 大地たちは雪山に向かって歩く。

 

 

 

 

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