第16話 オークロード

 大地の目の前にいるのは二〇〇体のオークと一体のオークロード。

 大地はオークの群れに突っ込む。

 視界に入るオークを剣で切り裂く。

 大地は一体一体確実にオークを仕留める。

 オークたちは次々に同族が殺され恐怖を覚えた。

 恐怖で両足が震え出す。


「死にたくない」


 オークは泣いていた。

 視線をオークからオークロードへ切り替える。


 オークロードは全身が青色だった。

 オークロードは大地より二倍以上大きかった。

 オークロードは輝く牙が口から左右に一本ずつ生えていた。


 大地は剣先をオークロードへ向ける。


「オークロードよ。同族を守りたければ俺と決闘しろ!」


 オークロードは強大な棍棒を持ち前に出る。


「分かった。決闘を受けよう」


 オークたちは二人から離れ始めた。

 オークロードは距離を詰め大地の前に立つ。

 体格で大地を圧倒していた。

 オークロードは大地の瞳を見る。


(ふっ。人間が怖い……か。オークの頂点である俺が)


 オークロードは巨大な棍棒を両手で持ち握りしめた。

 汗が地面へ落ちる。

 大地は言う。


「いつでも良い。かかってこい」


 オークロードは巨大な棍棒を高々と上げた。

 剣を放す大地。

 剣が地面に落ちる。


「うおおおお」


 オークロードは気にも留めず雄叫びを上げ振り下ろした。

 左手一本で強大な棍棒を受け止める大地。

 大地は顔を上げオークロードを見る。


「良い、攻撃だ」


 大地は微笑んだ。

 巨大な棍棒を地面へ下ろし大地は前進し重い一撃を放つ。

 オークロードの口から唾液が零れ仰向けに倒れた。

 大地は剣を拾いオークロードに止めを刺す。


 オークに向け大地は言った。


「決着はついた。輝く牙を頂く」


 輝く牙を切り落とし大地は輝く牙手に入れ去った。

 オークは悲しみで涙を流した。


          ***


 静かな夜。

 琴音はテントに翠が居ない事に気づきテントから出た。

 月の明かりが翠を照らす。


「翠さん、危険よ。テントに入りましょ」


 翠は琴音の方へ向いた。


「琴音先生。私は……強くなりたい」


(でないと。私の好きな人はいなくなってしまう。今回のように私を置いて行ってしまう。そんなのは嫌)


 翠は言う。


「琴音先生、私と一緒に強くなりませんか?」


 琴音は歩き翠に近づく。


「翠さん。私はどうしたら良いか分からないの。貴方を危険な目にあわせたくないの」

「ことね、簡単よ。三人で強くなれば良い。強くなれば危険な目にあう事も少なくなるわ」


 琴音と翠は後ろを向いた。

 リーンが居た。

 冷たい風が翠たちに当たる。


「翠さん、リーンさん。テントに戻りましょ」


 翠とリーンは琴音を見て頷いた。

 それぞれテントに入って行く。

 三人は眠りについた。

 

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