第14話 貴族

 貴族である男性は白い弓を食い入るように見ていた。

 白い弓には宝石やこったデザインもない。

 ただ美しい。

 白い弓は神具であった。

 名をルークヴァイス。

 

 男性は扉をノックする音が聞こえ扉の方へ向いた。


「入れ」


 扉が開き執事が部屋に入ってくる。

 執事は男性の目の前でお辞儀をした。

 執事が顔を上げると男性の口が開いた。


「何用だ?」

 執事は答える。


「ご主人様。本物の神具が見たいと言う冒険者が現れました。いかがなさいましょうか?」


 男性は心の中で笑う。


(そうか、現れたか。あれが偽物だとわかる者が)


「ここに通してい良いぞ」


 そう男性が言うと執事は部屋から出てゆく。


 ……

 ……


 執事に案内され大地たちは部屋に入ってゆく。

 大地たちは男性に挨拶を済ませた。

 男性の口が開く。


「話は聞いている。見せてやれ。じいや。テーブルまでよろしく頼む」


 男性の命令を聞き執事はルークヴァイスを置台と共にテーブルまで丁寧に運ぶ。


 執事はテーブルに置台を置きその上にルークヴァイスを置く。

 大地たちはルークヴァイスを見始めた。

 大地は見た瞬間、本物だと確信した。

 大地は男性の方へ向き口を開いた。


「貴族様。もし宜しければこの弓、売っていただけませんか?」


 男性は大地の瞳を見る。


(良い瞳だ。……だが)


「売ることはできない。理由ぐらいは聞いてやる」


 ……


「魔王と戦うために必要なのです」

「魔王か……」


 男性は呟いた。

 沈黙が流れる。

 沈黙の中、男性の口が開く。


「そうだな。オークロードを倒し輝く牙を手に入れる事、一〇万金貨。この二つの条件で手を打ってやる」


 大地は男性を見る。


「分かりました。オークロードを倒し輝く牙を手に入れる事と一〇万金貨ですね。宜しければ場所を教えて頂けませんか?」


 男性は心の中で笑う。


(ふっ。面白い。俺にとってはオークロードを倒せても倒せなくてもどちらでも良い)


「場所だがこの王都から南東にオークの森がある。そこにいる。オークの森はその名の通りオークの住み家だ。せいぜい頑張るんだな。そうそう待てるのは一週間だ」

 

 貴族の屋敷を後にした大地たちは準備をしオークの森へ向かった。


 

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