第11話 新たな仲間

 大地とリーンは翠と琴音が待つ部屋に入った。

 翠は視界に大地が入った途端、立ち上がった。


「だい」


 言いかけたところで翠は大地の後ろに居るリーンに気づき視線を向けた。


「どうして! リーンさんがここに?」


 リーンが答える前に大地の口が動く。


「それは俺が説明する。リーン、適当な場所に座ってくれ」


 リーンは翠と琴音と大地が見える位置に座った。

 大地は扉を閉め翠の方を向き座った。

 翠も座り大地は奴隷契約の事や山賊の事を翠と琴音に伝えた。

 

(大地くん。リーンさんと奴隷契約したのね……仕方ないのかな。でも複雑……ね)


(こいつ、奴隷契約したの。これからどんどん増える気がする。はあ、なんで大地を好きになったんだろう)


 琴音に続き翠も思った。

 二人は自身の胸にそっと手が触れた。


 大地は旅の目的をリーンに話した。

 沈黙が流れる。


(魔王を倒す。本気?)


 リーンは大地の瞳を見た。

 鼓動が鳴る。

 リーンは心の中で首を横に振る。


(ううん。本気かどうか関係なくて。私は彼の側に居たいだけ)


 リーンはまっすぐ大地を見た。


「私も魔王を倒す手伝いをさせて。こう見えて回復魔法が使えるんですよ」

 翠と琴音が驚く。

 二人は声が出ない。


 ……


 大地の口が開く。


「良いだな?」


 リーンは即答した。


「はい」


 大地はリーンの揺るぎない決意を感じ取った。



 二日後の夜。

 リーンはキャロットで。

 いつも通りの笑い。

 いつも通り接客する。

 引き継ぎを終え夜が明けて行く。

 

 キャロットの前。

 リーンは両手で荷物を持ち大地を待っていた。

 光りと共に大地が現れる。

 リーンは微笑んだ。


「おはよう、だいちさん。よろしくね」


 大地と挨拶かわしリーンと大地は光りに包まれキャロットを後にした。

 


 夜。

 琴音はリーンと風呂に入った。

 二人は横に並んだ風呂椅子に座り体を洗い始めた。


「リーンさんは戦うの怖くないんですか?」


 リーンは琴音の質問に答えた。


「さん付けはしなくて良いよ。正直怖いよ。でもね必要なら戦う。ただそれだけ」


 桶を持ち湯船からお湯を汲みリーンは泡を洗い流した。

 

 リーンは湯船に浸かる。


「うーん。気持ちいい」


 背筋を伸ばすリーン。

 琴音は桶でお湯を組み泡を洗い流した。

 リーンは頭を動かし琴音を見た。


「戦いたくないの?」


 琴音は答えた。


「私は戦わせたくないの。翠さんを」


 リーンの表情が真剣になる。


「ふーん。どうして?」


 琴音は力強く言った。


「守りたいから」


 リーンは真剣な表情なまま琴音の瞳を見た。


「大人の役目は子供を守る事だけではないのよ。子供の成長を見守る事も必要なの」


 リーンは笑う。


「じゃあ、上がるね」


 リーンは立ち上がり浴室から出た。

 琴音は湯船に浸かった。


(見守る……か)


 …… 


 琴音は風呂から上がった。


 

  

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