第520話 最終局面Ⅰ
「黒龍は完全に消滅したようだな」
「どうやらそのようじゃのう」
ルシファーとアスモデウスさんがそう言っているので間違いないだろう。魔眼の効果の
「心臓とMPの流れが完全に停止しているんですか?」
「その通りじゃ」
アスモデウスさんがそう返事をしてくれると、ルシファーは同意をするかのように頷いていた。
「何だろうこの悪寒。ちょっと未来を視てみるね」
ミクちゃんはそう言って目を瞑って両手を合わせた。発動したのはミクちゃんのもう一つのユニークスキル、
悪い未来を視たのだろうか? ミクちゃんの顔色はみるみる蒼白していった。
「ミクちゃん。顔色凄く悪いよ? 大丈夫?」
「ナリユキ君。ヤバいかも――
「どういう事だ? 私の目には黒龍の心臓とMPは停止して視えているんだぞ?」
「しかし、ミク殿がそういうのであれば何かタネがある筈じゃな」
「そうね。巫女の未来を視る力は天眼の
「妙だな――何故心臓とMPの流れが止まっているのに、我々は倒されるのだ?」
「そこまでは分からないです。視えた未来の少し前の未来を視たいのですが、
いきなり動き出す――。もしかして俺みたいに生き返るのか? 俺は
「デア。俺は以前
「こんなときにどうしたのよ。それにナリユキ二回も死んでいるの!?」
「それは私も今聞いて驚いた」
デアとルシファーはそういい反応を見せてくれた。
「一度目はミクちゃんの
「否定はできないわね。ただ、何のスキルや特性を入手するのか分からないけど、
「否定はできないか――」
俺がそう呟くとルシファーが黒刀を岩山に向けた。
「ならば私の技で心臓を切り刻めばいい」
「奴の心臓は岩山に押し潰されているのに、さらに切り刻むのか? 一体どういう神経しとるんじゃ其方は」
――魔眼無いから見えていなかったけど心臓押し潰されているね――。そう考えると、スキルを発動させなくする
「何か今聞きたくなかった話がちらって聞こえたけど聞こえなかったことにしよう」
ミクちゃんは「ハハ」と乾いた笑いを上げてまるで壊れたロボットのようになっていた。
「まあ、
「おいデア。いらん事言うな」
「何の事かしら?」
デアはそう言って悪戯な笑みを浮かべていた。絶対にわざとだこの人。
「それにしてもバラバラの状態で自力で生き返るのって私はイメージできないわ。
そう会話をしている時だった。大地が突如として大きく揺れ始めて、マーズベルの天気は快晴だったにも関わらず雷雨が降り始めた。まるでこの世界が怯え、泣いているかのように俺は思えた。これは
「一体どうなっているんだ――?」
「分からない。まだは
ルシファーがそう言った瞬間――。マーズベルの国土全体が黒炎に包まれてしまった。
「おいおい! 一体何が起きているんだ!」
このままでは国民全員の命が危ない。俺はもう既に気が気でなかった。天眼の
建造物のあちこちが黒炎が包まれてしまい、その炎が人に移ってしまっている。
「ナリユキ君――」
「ま――マズいのう」
「マズいのはマーズベルだけではないぞ」
「その通りよ。世界中が黒炎に包まれているわ。被害は甚大ね。貴方のヒーティスも、青龍のオストロンも、隣国のカーネルも――。どうやら想定していた最低の
どうやってこの危機を乗り越えたらいいんだ――。
「少し泥臭いけどこの方法しかないわ。青龍。貴方私の
「
「私の可愛いペットよ」
デアがそう言った瞬間、突如として現れたあまりにも巨大な黄金の
「貴方は私の馬に乗り、降り立った場所で水のスキルと
「分かった。行ってくる」
「移動しながら我が指示を出す。準備は良いな? デアよ行ってくるぞ」
「ええ。任せたわよ」
そうデアと
あとは――。
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