第515話 恐るべき天衣無縫Ⅰ
「やっぱり生きているな」
「でも邪気は結構減ったよ?」
「確かにそうだな。体力を大幅に減らせたと思えばそれでいいか」
ミクちゃんと会話をしていると、クレーターの中央にある俺の岩山が動き始めた。そして数秒後には、その岩山が卵の殻のように割れた。中から出てきたのは当然
「完全に怒ってるねアレ」
ミクちゃんは苦笑しながらそう呟いた。まあ、あんなコテンパンにやられたらそりゃイラっとするわな。
すると、「ウオオオオオオ!」と怒号を散らす
それに、その馬鹿でかい声でマーズベル森林の木々を空に巻き上げていた。声そのものがまるで台風のようだ。
「ねえ――あの化物さん。また邪気を高めていない?」
「――だな。
「そうだね! 今の間に攻撃を!」
俺は皆と念話で連携とって、強くならないうちに皆のアクティブスキルやアルティメットスキルを放った。スキルに関しては各々先程と同じスキルだ。
しかし――。
「攻撃が吸収されているよね? アレ」
「そんな馬鹿な」
放ったアクティブスキルやアルティメットスキルは、俺以外の攻撃は全く効いていないようだった。いや、確かに元々奴にはアクティブスキル以外の攻撃が喰らわない事は前提だ。
邪気をあれだけ減らしたのにまたみるみると膨れがっていく。
「何だろ。ちょっとやる気無くした」
「いや! 無くさないで! ナリユキ君がやる気無くしたら負けちゃうよ!」
「的確なツッコミありがとうございます」
「世界の命運がかかっているの忘れているでしょ?」
ミクちゃんがそうジト目で見てきた。ごめん。それ可愛いです。
こっからじゃ声は聞こえないけど一つだけ予測出来ることは、
「万事休すだな」
俺がそう呟いたと同時にとてつもない巨大な邪気を感じた。新しい敵か!? と思ったら隣にいるミクちゃんの表情は嬉々としていた。
「全く。仕方ないわね」
そう言って登場した格好いい娘さんはデアだった。
「流石のナリユキもアレはどうしようもできないでしょ? だから来てあげたわ」
その台詞と共にデアに抱き着くミクちゃん。
「ありがとう来てくれたんだ」
「ちょっとミクちゃん――」
と言いながらもまんざらでも無いデア。恐るべきミクちゃん。
「相手が強くなるスキルで良かったわね。勝負はずっと見ていたから準備は出来ているわよ」
デアはそう言って不敵な笑みを浮かべていた。
「それってまさか――」
俺とミクちゃんが期待を込めた声でそう呟くと――。
「ええ。私の
デアはそう言って
「マジか――本当にユニークスキルに
「私にコピーできないモノなんてないもの。
デアがそう呟くとミクちゃんは「女神様だ!」と大喜び。
「あの三人も呼びたいけど、暴れまわっている
デアの真剣な表情に俺とミクちゃんは思わず固唾を飲んだ。
「私が
「あるスキル?」
俺とミクちゃんが首を傾げるとデアは不敵な笑みを浮かべた。
「私はここ来る前にアリシアに化けれるようにしたわ」
「――まさか
「その通りよ。
「分かった!」
「俺は適当でいいか」
「貴方は何でもいいわね。
「分かった。任せておけ」
俺がそう気合いを入れるとデアはニッと微笑んだ。
「私が来たんだから必ず勝つわよ」
デアの力強い言葉に俺とミクちゃんは「オオ!」と気合いを入れ直した。
やっぱり意地でも味方にしてよかった。
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