第470話 黒龍との死闘Ⅰ
あれから戦い続けてもう24時間が過ぎようとしていた。
「人間は寝ずに戦えるものなのだな」
「正直集中力は少し切れているよ」
「それでも少しか」
ニヤリと不敵な笑みを浮かべる
「流石の俺様も体力を浪費していると弱音を少し吐いておこうか」
「嘘つけ。ピンピンしているじゃねえか」
俺がそう言うと
「ナリユキ。貴様との戦いは俺様が今まで戦ってどんな戦士よりも強い。俺様を倒す手立てが無いとかほざきながら、これほど渡り合えるとは夢にも思わなかった。敬意に値する」
「それはどうも」
ただ、怖い事が一つだけある。以前と比べて戦いを楽しんでいるので、破壊衝動は抑えられている。しかし、漫画やアニメのボスキャラがたまにするあの行動を取られると非常に厄介だ。それは戦いをさらに楽しみたいから、町を吹き飛ばして俺を怒らせるという事。そもそもだけど、俺がキレたところで
「戦いを楽しんでくれているなら、もう別に世界を滅ぼす必要もないだろ?」
戦いを楽しんでくれているならそういう事だよな? と淡い期待を抱いてみる。
「戦いが楽しいのと破壊衝動は別だ。少し俺様の事について話をすると、生物には三大欲求というものがあるだろ?」
「食欲、睡眠欲、性欲だな」
「そうだ。俺様はそのなかに破壊欲というものがある。破壊衝動が抑えられているのは、今この瞬間を楽しめているからであって、貴様に張り合いが無くなればこの戦いもつまらないものになる。そうすれば破壊欲が込み上げる。前菜となるか主菜なるのかは貴様次第だ」
「しれっと物凄い脅迫だな。根本は変わらないという訳か」
「そういう事だ。貴様は俺様を倒すしかない。それはもう十分理解できているだろう? 中途半端では駄目だ。俺様を殺す気でないとな」
「そのつもりだよ。でないと痛い目を見るのは分かっているからな」
「ならば良い」
「いくぞ」
そう言葉を残した途端、俺に向けて振り下ろされる黒刀。疲れている筈なのに何故か剣速が上がっている。そして俺もまた、
ただ、他の人からすれば異次元の戦いをしているのも頷ける。自分でも数えるのが面倒臭いと感じる程、
運が良かっただけと言える。死に際に想像したものを具現化できたらもっと生産性が上がるのにな。と思ってこの世界で授かったユニークスキルが、
この化物には俺のユニークスキルが効かないのは事実だけど、俺がこの化物といい勝負ができているのもまた事実だ。そして自分でも恐ろしい事を言っているのは自覚しているけど、破壊衝動が収まっているこの化物との戦いを楽しいと感じている。
その容赦の無さがこの刀の打ち合いで顕著に出ている。それもそのはず、刀で斬りかかって来たと思えば、口をパカッと開けて
純粋な刀の打ち合いに余裕は出来ているが、この強力なアクティブスキルをいきなり繰り出されるのは慣れてきた俺でも流石に焦る。
そして、俺が避ける度に「やるな」と
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