第462話 変貌を遂げた黒龍Ⅱ
「今度は俺からいくぞ」
「来い」
「甘いな」
俺の
軽く振っただけに見えたのに、俺はなかなか空中で体勢を変えることができずにいた。
3秒ほどしてやっと体勢を整えて地に足を付けると、
「笑えないな~」
「そんな暇はないぞ」
後ろからそう声がしたので俺は咄嗟に振り向いて、
「この野郎……」
と、のんきな事を思っている場合では無かった。
「ダア――!」
普段、戦闘中に声を出さない俺は思わずそう発した。同時に
ダメージを負うか負わんか正直知らん! しかし俺は声を上げながら
「やるな」
そこから俺と
と、いうのも俺達の刀での攻防で、アードルハイムの王都から離れた平原に点在する岩山が真っ二つになっていた。そして刀と刀の金属音は、リズムを表現できないほどの速さで響いている。
一旦距離を置いて
互いに手を止めているのに刀と刀が重なる金属音は鳴り止まない。
「なかなか楽しめそうだ」
破壊の象徴とは思えない程に、穏やかな笑みを浮かべた
「何でそんなに性格変わったんだ? 妙に冷静じゃないか」
「それを聞いて何の意味がある?」
「ただ、気になっただけだ」
「そうだな。さっきは自分の弱さに対して腹立たしくなったのだ。貴様等は俺様を止めなければ、この世界が滅ぶことが分かっているので、どんな手段を使ってでも止めにくる。よくよく考えれば当たり前の事で合理的だ。人数がどれだけ多かろうか少なかろうが関係ない。俺様との戦いは生きた者が勝利なのだ。そう考えると、俺様は貴様達の事を舐めていたのだ。しかし全力で向かってくる相手に対して、舐めた態度を俺様がとると足元を掬われると思ってな。そうして一旦冷静になってみようと考えたのだ。すると、今まで違った景色を見ながら、ナリユキ・タテワキ。貴様と戦う事ができている。何より人類最強の貴様が、龍族最強の俺様にどのような戦術を繰り出すのか楽しみでしかたない。認めやろう。貴様は俺様が会ったなかで最強の人間だ。龍騎士と訳が違う」
不気味だな。いきなり俺の事褒めてくるなんて――。それに理性がありそうだから何をしでかすか分からないってのは無くなったけど、その分戦闘スタイルがガラリと変わり、突拍子もないアイデアで俺を攻撃してくる可能性も十分有り得る。
「戦いやすくなったのか、戦い辛くなったのか分からねえな」
「今の俺様は攻撃だけではないぞ?」
「どういう意味だよ」
「戦っていれば分かる」
こうして話をしている間に俺の傷は完全に消えて体力も戻っていた。しかしそれは相手も同じことだ。俺達のこの戦いは、再生と回復が追い付かない程の攻撃量か、破壊力をもった攻撃を浴びせないと戦いは終わらない。強いて言うならMP切れで勝敗を決めるという手段もあるが、俺達に限ってそんな事はない――とは言い切れないが、比較的に可能性が低い決着だ。
「戦術か……なかなか厳しい事を言うな」
「ユニークスキル、パッシブスキル、アルティメットスキルが俺様に効かないからか?」
「まあそんなところだ。俺はユニークスキルで戦うのが主流だからな。それを封じ込まれていると、わりとゴリ押しみたいなところになる」
「ならゴリ押しでくるがいい。俺様と楽しい戦いをしよう」
そう言って
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