第460話 死の雨Ⅳ
無情にも降り注ぐその死の雨は、帝都にいる人々に襲い掛かった。下は未曾有の大混乱に陥り、屋内へ逃げ惑う人々に容赦なく襲い掛かる。
「何という事だ――」
一方俺はというと、この凄惨な状況を見て怒りがこみ上げない訳がなかった。
この不快感。アードルハイム皇帝の時と同じだ。しかも
「あの野郎!」
そんな折だった。突如として上空から無数の光が降り注いだ。
「この技は――?」
「ミクちゃんだ」
俺が上空を見上げると、ミクちゃんが安堵した表情を浮かべていた。その安堵は俺と
「小娘が――少しはマシになったようだな。それに今のスキルはどこか見覚えがあるぞ」
そう。今のスキルは巫女の魂魄を宿したことによって入手したアクティブスキル、
「良かった。全滅では無さそうだな」
「それでも半分程の人が命を落としていますね。俺に防御系のスキルがあれば――」
「今はそんな事より
ミクちゃんはそう言って、
「確かにそうだ」
「ミク殿、ありったけの
「勿論です」
ミクちゃんはそう返事をすると、
「いけるよ」
ミクちゃんはただ祈っただけだった。巫女の
そしてこのスキル最大の恩恵は、相手を倒すまで
「貴様の刀など片手で十分だ」
そう言って、
「ぐぬうううう……ふざけるな!」
その怒号は鼓膜が破れるような轟音だった。と、言うのも耳栓が発動している筈なのに微かに声が聞こえる。何より、ミクちゃんが苦い表情を浮かべているので、
近くにいた
「この俺様をここまでコケにするとはな」
ミクちゃんの
と、言うのも
リアルの世界でも、この世界でも、ゲームの世界でもそうだ。圧倒的な自信を持っているのに、数で畳みかけられては、その環境にもイライラするし、それを打破できない自分にもイライラする――。
その状況に追い込んだのはいいものの、勝負はここからだ。先程のように何をしでかすか分からない。なのでどれだけ有利な状況になっていても、
正直なところ、
「ナリユキ君。
「――マズいな」
嫌な予感が的中した。また何かをしでかす気だ。
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