第399話 掘り出されたアイテムⅣ
「と、言うと?」
「ストーク・ディアン公爵も同じような能力を使うらしいのです。協力してくれている冒険者の情報によると、瞬時にカルカラからエウルアに移動したとか」
「それならば、ヴァレンタイン家の特殊能力の可能性も十分あり得るな」
「
ミクちゃんがそう
「
「無難に考えればそうなりますね。でも、一族の血を欲しがる人もいるんじゃないでしょうか? それこそ一族の血がブラックマーケットに売られていても可笑しくは無い」
「そうだな。裏の世界では闇のオークションというのも存在する――そのオークションで売られていても可笑しくは無いが、そういった事に詳しい人間が、今はそっちにいるじゃないか?」
「マカロフ卿に訊けばいいのか」
「そういう事だ。ただ、ストーク・ディアン公爵を追いかけるのは少し止めてもらえると有難い。このカードにある名前の貴族達は認知しているから、何らかの情報を得ることができそうだが、今は
確かにな。
「何だ。来ていたのか。それにやたら強そうなお兄さんと可愛いお嬢さんがいるじゃないか」
後ろからそう声がした。足音は全くしなかったので相当な実力者だな――。黒髪に真紅の瞳。そして貴族のような煌びやかな黒い衣装に身を包んでいる好青年だった。
「マルファスか。いつもより早いじゃないか」
「だろ? 暇だったから早めに来てしまったんだ。でも、珍しいね。
「彼はマーズベル共和国のナリユキ・タテワキ閣下。そしてその彼をサポートしているミク・アサギ殿だ」
「君がそうでしたか! はじめまして、マルファスと申します」
マルファスもそう言って挨拶を行ってくれた。
「でも、客人が来ているなら言ってくれよ」
「余から買った
「成程ね。2人は
「勿論です」
俺がそう言うとミクちゃんも、俺と同じく意気込みを伝えた。
「頼もしいよ。1人でも多くの猛者がいると心強い」
「そうだ。マルファス、このカードを見てくれないか?」
「右下に名前が書いているだろう?」
「ああ」
「そこに書かれているラストネームに見覚えが無いか目を通しておいてくれ」
「何だ? 藪から棒に」
マルファスさんはそう言って首を傾げた。まあ、説明不足だもんな。
「俺達が追っている組織のアジトにあったカードです。恐らくですがその組織の創設時のメンバーだと考えております」
「だろうな。それこそ、ナリユキ殿が訊いて来たシレークス・ヴァレンタインは2,000年程前の人物だ。ミロクが消えた時期と重なっていると思うので、ナリユキ殿の推測は当たっていると思う」
「確か
え? マジ!? 15人も分かるの!?
「凄いですね。東の国だと有名な方ばかりなんですか?」
ミクちゃんがそう問いかけると、
「そうだな。こうして見るとミロクの人望の厚さは相当なものだな――ただ、手荒な真似をしないと情報収集はできないかもしれない。まあ余もパイプを持っているので何とかできるかもしれないが」
「え、因みにどこの貴族とパイプがあるのですか?」
「シルファ、スペンサー、ベルベットジョー、フランベール、マーキオ、アラバスターの6人だな」
「思った以上に知っているんですね」
「オストロンの国主を1,500年もしているからな。とは言っても余としては少ないと思っているぞ」
「
マルファスさんはそう言って悪戯な笑みを浮かべていた。
「マルファス。一言余計だ」
「ナリユキ殿時間はあるか?」
「ええ。ありますよ」
「ならば余とマルファスのコンビで戦わないか? 勿論ナリユキ殿はその
と、いう謎の提案をされた。
「いくら何でもそれは酷じゃないか?」
「スキル見えているだろう? ナリユキ殿には、剣での攻撃、物理攻撃、アクティブスキルでの攻撃は効かないんだ。仮に攻撃を与えて腕を吹き飛ばしても再生するし、少しずつだが体力も回復していくんだ。それにあの
「――念波動使えないけど、戦闘値7,500前後ありそうだね」
「素の戦闘値が7,000あるからな」
「戦いの中断のタイミングはミク殿に任せる。どうだ?」
「私はいいですけど――」
ミクちゃんがそう言いながら俺の方を見た。確かに、この
「いいですよ。やりましょう」
こうして妙な事に、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます