第325話 ミクの奮闘Ⅱ
3人の
というのも、アヌビスには前提として斬撃無効のスキルが付いている。だから、本来であれば
私はレイピアで1人の
「やるな」
「流石だな。スキルを視る限りはオールラウンダーで、光属性と聖属性を得意としているだけあって移動速度が速い」
「それに太刀筋を見極める力は元々そういう力を持っている。でなければ、攻撃を全て避け切るのは不可能だ」
「――どうでもいいけど、随分と口調が
「私が本物だ」
「いや、私が本物だ」
「嘘をつくな私が本物だ!」
「――一番最後に喋った人は偽物ね」
「ギクッ! そ……そんな事はない!」
「いやいや、めちゃくちゃ動揺しているじゃん」
私がそう冷たい目で見ていると、「クソオオオ!」と跪いて床をドンドンと叩いていた。当てられたことでどれだけ悔しいのよ。
「当たっているぞ。ソイツには人体改造された形跡はない。人体改造と言っても、体内に魔石が埋め込まれている事を余は示している。本物は二番目に喋ったやつだ」
「魔眼の前では流石に誤魔化せないらしい」
「何をアッサリ認めているんだ? 適当に言ってるだけかもしれないぞ?」
「魔眼に適当など無い。常識だ。魔眼の効果には
と、本物の
「成程。じゃあマズくないか? 本物が直ぐにバレてしまっては悪戯としては面白くないではない」
「いや! 大丈夫だ!」
そう言い始めたのは先程落ち込んでいた悪魔の
「戦闘中にあのイヌコロの助言を聞きながらこの小娘が正確に捉えることができると思うか? 否! 戦況が目まぐるしく変わる中で、本物のレベリオンを捉えるのは困難だ!」
そう言って高笑いをしている悪魔の
「いったああああ! 悪魔に光の攻撃は無いって~!」
と、涙目になりながらゴロゴロとのたうち回っている。腹部に一刺しなのになんで平気なの? もしかしてギャグ要員? だとしたら勝てる要素無くない? 真剣なバトル漫画にワンパンマンのサイタマやドクタースランプアラレちゃんのアラレちゃんをぶっ込んでいるようなもの――。
「油断しているからだ。私は今の攻撃避けることができるぞ」
「私もだ。隙がありすぎるのだ」
と、痛烈なコメントの嵐――何か可哀想。
「くそ――そもそも! 人が話をしている時に光の剣を刺してくるとは卑怯だぞ!」
「いや――あの――」
私がそう困っていると――。
「いや、私でも今のは攻撃する」
「私もだ。早めに減らした方が戦いを有利に進めることができる」
戦いを有利に進めることができる――。私はさっきまでの行動を思い出した。レイピアで斬ったのに平然としていたのは恐らく悪魔の
「何かに気付いたようだな。気を付けるんだ私」
「私もだ。あの馬鹿は放っておこう」
本物の
「うるさい! うるさい! 今度は絶対に油断しない! 何より悪戯しないと出て来た意味が無いだろ!」
「そうだな」
「それはそうだ」
それにしても、もう1人の悪魔は口調を徹底しているな~。子供っぽいところを考えると、完璧に演じているのが女の悪魔で、もう口調が崩れて駄々をこめているのが男の悪魔かな?
「見ていろよ! 俺の力を!」
と、手をワキワキさせて少しいやらしい目つきになっていた。今にも「グヘヘヘ」とか言い出しそうだ。本当に嫌な予感しかない。
「――私の体でそんな目をするな」
「うわ――引く」
あ――口調崩れた。とにかく! この2人の悪魔の力が未知数だから気合い入れて戦うしかない!
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