第324話 ミクの奮闘Ⅰ

 Rアールはそう私に向かって掌を向けて来た。同時に掌がピカリと光ると無数の光の弾を飛ばして来た。


「私にはそんな攻撃は効かない」


 私は前に手を向けて光のバリアーを展開した。恐らくこの攻撃はアヌビスのMPを消費して放出したもの。下級の相手なら確かに強いかもしれないけど、私に撃つようなアクティブスキルではない。狙いは――。


 私は咄嗟に振り返って、愛用のレイピアでRアールのビームサーベルを受け止めた。


「可愛い顔をしてやるじゃないか」


「私はフェンシングをやっていたからね。気配を感じ取ることはできるのよ。光弾雨シャイン・レインをブラインドにして私の後ろに回り込むと言うのが本筋だった」


 私はRアールにそう言いながら押しのけた。


「何!?」


 一瞬大きな隙が出来た――! 私はこの瞬間を見逃さない。


「流星突き!」


 身体向上アップ・バーストだけではなく、強化バフもかけているので私の30連撃は速く重かった。Rアールの顔に容赦なく打ち込んだ。


 そして最後の30撃目は渾身の力を込めた刺突つきは見事に仮面にクリーンヒットした。金色蛇の仮面が割れたと同時にRアールは10m程後ろの壁に激突した。


 Rアールは口から大きく血を吐いていた。どうでい私の力! 速さだけなら今の状態だと光の速さなんだから。


「うぬぼれるな。奴は特殊な改造を施していると言っただろ」


「――戦いを楽しもうとして不意をつかれた人には言われたくない」


「だから忠告しとるんだろうが!」


 と、アヌビスにこっぴどく怒られた。


「うん。ごめんありがとう。油断しないようにする」


「そうしてくれ。MPが溜まったらとっておきを出すつもりだ。加護でMPを回復してくれている事には感謝しているのだ――奴が動くぞ。気をつけろ」


「うん」


 私がアヌビスにそう返事をしたと同時に動き出したRアール。仮面は完全に取れしまい素顔が露わとなっている。


 茶色の髪を後ろに流している青い瞳と広いおでこが特徴的な爽やかな男性だった。歯も白くとても敵とは思えない人相をしている。正直言うと綺麗な顔をした貴族だ。見るからに育ちが良い。




■名前:レベリオン・アルヴァーナ・ノイザー

■性別:♂

■種族:人族

■称号:クリトゥワの英雄

■勲章:☆☆☆

■MP:48,000,000

■強さ又は危険度:S


■パッシブスキル

鑑定士Ⅵ:対象者のプロフィールやスキルを全て視ることができ、究極の阻害者アルティメット・ジャマーの干渉を受けない。

状態異常無効Ⅴ:状態異常に関するあらゆる現象が無効となる。

耳栓:人体に及ぼす大きな音が聞こえた際、90%カットする。

異常聴覚Ⅴ:人族の10,000倍の聴覚を有する。

自動回復Ⅴ:体力が減少する度に自動回復を行う。回復速度は状況により異なる。

洗脳無効Ⅴ:洗脳に関するあらゆる現象が無効となる。

念話Ⅴ:対象者を思い浮かべることで、思い浮かべた対象者と頭の中で話し合うことができる。

念波動Ⅴ:対象者の強さを数値化して測ることができる。

究極の阻害者アルティメット・ジャマー:アクティブスキル、鑑定士の効果を完全に無効化する。

会心の一撃Ⅴ:攻撃時に一定の確率でダメージが500%アップする。


■アクティブスキル

身体向上アップ・バースト:自身の身体能力を向上させる。尚、所有者の実力によって上昇率は異なる。

光弾雨シャイン・レイン:無数の光弾を雨のような数で前方に発射することができる。

彗星撃コメット・インパクト:拳にエネルギーを集中させて、強烈な打撃を与えることができる。

雷雨サンダー・ストーム:数百の雷を辺りに落とす。

雷光波ライジング・ウェーブ:雷を波状に放出することができる。

雷雨サンダー・ストーム:数百の雷を辺りに落とす。

破壊の滅殺光ディスラクション・レーズ:黒い雷を纏っている赤い強力なエネルギー波を放つことができる。


■ユニークスキル

双子の悪戯ジェミニ・マルム:悪魔の双子が所有者の姿に変身し、あらゆる悪戯を行う。


■アルティメットスキル

光粒子の浄化ルクスグラナム・プルガーティオ:光粒子を半径5kmに出現させ。また、その場に一定の時間いた者の魂を奪う。




 え? めちゃくちゃ強くない!? 正直言って化物なんだけど――。と、言う事はさっきアヌビスが攻撃していた変わり身の術は双子の悪戯ジェミニ・マルムの可能性が高いよね。


「今のはなかなか効いたぞ」


 そう言って顔を上げたRアールは私を睨みつけてきた。


「効いてなければショックだよね。でも、貴方には自動回復がついているし、その改造した体で身体そのものが硬質化しているから、あれだけ顔に攻撃したのに、額から少し血が出ているくらいだもんね」


「そういう事だ。素顔を見たからには相応の覚悟をしてもらうぞ? 絶対に息の根を止めてやる」


 私はRアールはそう言って「来い」と声を出した。


「ほらよ出て来てやるよ」


「私も~! どんな悪戯すればいいの~?」


 そう言ってRアールの背中から飛び出して来たのは、30cm程の角と翼が生えた青の男の悪魔と、赤の女の悪魔だった。


 正直、素顔を見れるとは思っていなかったから驚いている。そして可愛い。


「変身しろ。あそこにいる小娘と遊ぶんだ」


「マジ!? さっそく楽しもう!」


「嬉しい! じゃあ変身するね~!」


 軽い口調の2人は鼻歌を歌い始めるほどウキウキになって、Rアールの今の姿に変身した。


「鑑定士Ⅵでステータスを視られたのは今回が初めてだ。全力で遊ぶぞ」


 Rアールがそう言うと、Rアールの同じ声をした両脇の双子が「ああ」と返事をして私に襲い掛かって来た。

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