第285話 やり遂げるⅠ
到着すると激しい金属音が響いていた。100m程先にはこれまた随分巨大な人間がいた。巨人族のアグリオスというらしい。どうやら、ミクちゃんが空で戦い、アリシアが下で高速移動をしながら援護をしている様子だ。戦闘値は5,800とミクちゃんとアリシアよりも高い。それにあの巨体だ――あのクソデカイ槍で攻撃されたら
「ナ――ナリユキ様!」
俺はそう声をかけられた。後ろを振り向くと避難をしていた人達が
「皆無事みたいだな」
すると前に出て来たのはミアという
「ええ――ナリユキ様の所は大丈夫なのでしょうか?」
「問題無い。とりあえず制圧したさ」
俺がそう言うと「おお!」とえらく盛り上がった。
「流石です!」
「ナリユキ様は世界一!」
とベタ褒めである。
「いやいや。レンさんがいなかったらマーズベルの人口が半分程減らされるところだった」
「そうだったんですか? そういえばアルティメットスキルの気配を感じました。それに空が燃えていたので何が起きたのかと心配しておりました。ですので、ここにいた皆はナリユキ様の事が心配だったのですがそれと何か関係があるのですか?」
「そうか心配かけて悪かったな。関係大有りだ。空が燃えていたのはレンさんのスキルだ」
すると、また皆がざわめき始めた。
「レンと言えばレン・フジワラ様だ!」
「そうか、あの妙な喋り方をする冒険者の兄ちゃんだ」
「確かナリユキ様と同じ転生者だった」
と驚いた様子だった。
「そうだ。マカロフ卿が放ったアルティメットスキルをレンさんが空を燃やしていたあの炎で止めてくれたんだ。国主の俺としてはそのお礼を決めているけど、皆は会った時に必ずお礼を言ってあげてくれ」
「かしこまりました!」
と皆が勢いよく返事をしてくれた。その返事をしてくれた後には各々レンさんについて話しをしていた。レンさんを称える声が上がっていて俺としては自分のように嬉しい。
「素晴らしい冒険者様ですね」
「そうだな。本当に助かるよ。ところで戦況はどうだ?」
するとミアは眉間に皺を寄せた。
「防戦一方ですね。特に
と、ミアはそう感心していた。他の
「おのれ! ちょこまかと!」
と、怒号を散らすアグリオス。ミクちゃんとアリシアは得意気な表情を浮かべながらアグリオスに確実にダメージを負わせている。あんな巨大な槍を振り回したり、アクティブスキルを放ったりしているのに、ヒヤヒヤせずに戦闘を見れることから、戦いのなかで成長しているようにも見える。
「よしっ! 俺も負けてられないな! ちょっと巨人倒してくるわ!」
俺がそう言って歩み始めると、後ろにいる皆が「ちょっと――?」と凄く不思議そうに復唱していた。
「ナリユキ様――そんなちょっとお散歩に行ってくるみたいなノリで――」
「さ――流石魔物の国の閣下――伊達じゃないです」
と、まあ色々と感想を漏らしていた。
「よし」
俺はボルトアクション
1体の巨人は見事に後ろに倒れてしまった。威力が相当高かったらしい。着弾時に首がぐいんと後ろに持っていかれていたからな。初めてランベリオンと戦った時のL96A1とは随分違うな。当たり前だけど。
周りの巨人達は1体の巨人達が倒れて騒然としていた。残りの巨人はアグリオスを入れて3体。俺は弾を込めて撃ってを繰り返して、巨人に確実に
「危ない!」
ミクちゃんがそう叫んだ時――俺はアリシアの所へ
「ナリユキ様――!」
「大丈夫か? アリシア?」
「はい――!」
と凄く嬉しそうに涙を浮かべいた。
「な――何だ!?」
足が全く動かない事にアグリオスは驚いている様子だった。
「なあ、アリシア。コイツもう倒していいか?」
「いえ、ここはミク様と私に任せて頂けませんか?」
アリシアはそう俺を真っすぐな目で見てきた。
「分かった。存分に戦え。但し危なかったらさっきみたいに俺が助けるし、大技を出そうとしてきたら倒しまうぞ?」
「はい。お手数をおかけしますがよろしくお願いいたします」
と一礼されたので、とりあえず俺はアグリオスの足を持ち上げるのを止めた。
「おのれ人間――コケにしてくれたな!」
「お前の相手は俺の優秀な幹部達だ」
「ほざけー!」
と槍で攻撃してくるアグリオス。俺は手からスペツナズナイフを出して射出した。アグリオスは「グッ……」と声を漏らして膝から崩れ落ちる。
「ナリユキ君に喧嘩を売るのは――」
「止めておいた方が賢明ですよ」
と、俺の心配もする事も無く、アグリオスをただただ同情するミクちゃんとアリシアだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます