第201話 調査報告Ⅱ
「マカロフ卿達が強くなっていたんは予測できますよね?」
「ああ――どれくらい強かったんだ?」
「マカロフ卿が6,500と大幅にアップ。んで、その金髪の怖い目をしとるんが6,300です。正直なところ強くなりすぎて訳分かりません。まあナリユキさん程ではないですが、俺とかは歯が立たんレベルになってる」
「6,500となりますと――」
クロノスがそう言ったので俺が続くように言い放った。
「
すると、ルミエールはハアと重い溜息をつく。
「流石にそれはお手上げだよ。どう考えても強すぎる」
「問題はさらにありまっせ。一番強かったんがこのアヌビスや。戦闘値は7,000や」
そう言っているレンさんの瞳には恐怖の二文字が刻まれていた。アズサさんも、ネオンさんも暗い表情をしており、ノーディルスさんは頭を抱えていた。
「ネオンちゃん」
「はい」
レンさんがそう言うとネオンさんが応えた。そしてゆっくりと口を開く。手が震えているのを見るからに、思い出すだけで恐怖心が駆り立てられているのだろう。
「レンさん達がアヌビスと言っているこの人物ですが、異質なオーラを感じ取ることができました」
「異質?」
「はい。邪悪で禍々しいと言ったものでは無く、どちからというと未知なるエネルギーを秘めた不思議なオーラでした。人間か魔物かは分りません。しかし、同じ世界に住んでいるような感覚のモノではない気がしています」
「それは直感的にってことだよね?」
「そうです。あくまで私の経験則ですが……」
俺はそれを聞いて、前屈みになっていた椅子を深く座った。
「ナリユキさん。前提としてネオンちゃんの経験則はめちゃくちゃ当たります。俺が知っている限り外したことが無い」
「なかなかのメタ発言だな。しかし外れたことが無いなら信ぴょう性は高いだろう――」
「と、いう事は異世界人ってことかな? まさか本当に神様な訳ではないよね?」
ルミエールがそう手に顎を付けて考え込んでいた。
「神様なんていないっていう概念だ。ただまあ信じる者を馬鹿にするわけじゃない。あくまで現実を見ているだけの話だ。異世界人か――その説濃厚だな」
すると、クロノスがハッとした表情を浮かべた。
「魔界の住人ではないでしょうか? ただまあそのような風貌をした魔族は私が知る限りはいませんが――」
「魔界の住人ですか……確かに私も会ったことがないので、その可能性もあり得ますね」
「感じたことないんやったらそうやろ。現にネオンちゃんに関しては俺やアズサ、ナリユキさんとべりーちゃん。そんでマカロフ卿にも会ってる。ネオンちゃん曰く、異世界人は異世界人でやっぱり何となく雰囲気は似てるらしいですし」
「そうですね」
レンさんの説明の後に頷きながら答えるネオンさん。
「でも怖さで言うたら――」
「あの金髪だな。マカロフ卿より禍々しいものがあった」
アズサさんが指したのはウェーブのかかった金髪の男。端正な顔立ちとは裏腹に、琥珀目の鋭さから滲み出るヤバい雰囲気は絵でも際立っていた。
「どうヤバかった?」
「目を合わした瞬間殺される。と思うような悪寒がしたんです」
「だから我々はこの人物が出た時全員無意識に顔を反らしていました」
「距離は500m程離れていたんですけど――」
アズサさん、ノーディルスさん、ネオンさんの順にそう感想を述べていた。
「ナリユキどう思う? 私からすれば早々に手を打った方がいいと思うけど」
「そうだな。とりあえず
「厄介な連中に目をつけられたね」
「ログウェルはややこしい国ですから。それに問題はマカロフ卿単体の話では
気まずい表情を浮かべながら話すクロノス。自国が狙われている訳ではないのに、切羽詰まっている様子だった。
「何とかするしかないとしか言えないな。思ったより戦力に差があるな」
今のミクちゃんでも、マカロフ卿と金髪の男には勝てないと踏んだ。勿論、アヌビスに関しては俺が戦わないといけないのは間違いないだろう――問題は他の5人を誰にあてるかだ――。
「いずれにしても戦力をさらに上げる必要性があるな」
「俺達もできるだけ協力しますよ」
俺が漏らした不安を掬ってくれたのはレンさんの言葉だった。前のめりになって「やってやりまっせ」と言わんばかりの勢いだ。
「そう言ってくれるのは助かる」
俺がそう返すとレンさん、アズサさん、ネオンさんは柔らかい笑顔を浮かべていた。ノーディルスさんに関しては「ふっ」と笑みを浮かべている。
「ただ、問題はどう戦力強化するかですね。現状、竜騎士が出て来て倒せないので頭打ちになっていますし」
そこが問題だ。短期間で一気上げる方法――カルベリアツリーのダンジョン以外で無いのか模索する必要性がある。ゾーク大迷宮の魔物は人工ではないから、無限に
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