第158話 報酬献上

「やっと戻って来た! 空気が美味しい!」


「だね!」


 俺とミクちゃんがマーズベルの入り口で伸び伸びと美味しい空気を堪能していると、ミーシャを筆頭に迎えてくれた沢山の国民達。


「ナリユキ様、皆さまお帰りなさいませ」


 ミーシャを従者サーヴァントを筆頭に、人間、獣人、猪戦士オーク牛獣人ミノタウロスが迎えてくれた。残りの森妖精エルフ達に関しては防衛をしているので、人手不足の中、マーズベルの防衛をよくやってくれていると思うと感心だ。


「ナリユキ殿」


「なんだランベリオン?」


「今回の事件は世界中に広まる。友好関係にあるカーネル王国には報告しなくてはならん。カーネル王に報告してくるぞ?」


「ああ。頼む」


「それと、場合によれば五芒星会議ペンタグラム・サミットに参加することになるかもしれん」


「ん? 何だそれ」


「国際関係や、我等の住むこの世界で大きな事件が起きた時に、集まるのが五芒星ペンタグラム――。つまり、国のトップ達が集まるのだ」


「成程。五芒星ペンタグラムっていうくらいだから参加している国は5つだろ?」


「そうだ。参加国はカーネル王国、レンファレンス王国、世界最大の国土を持つ、ベルティア連邦国、魔族が国主のヒーティス共和国、龍族が国主のオストロン連邦国だ」


「――。魔族や龍族が国主をしているのか?」


「そうだ」


「それはたまげた」


 いや、実際に驚くことだろ。連邦国や共和国というのだから、当然人間も住んでいるんだよな。ヤバい――。めちゃくちゃ会ってみたい。


「でも5つの国ってえらい少ないな」


「まあそれだけ自国でやりたい放題やりたいってことだ。この五芒星ペンタグラムに入ると、五芒星ペンタグラムの国とは国交を結び、種族差別してはいけないのだ。だから、アードルハイムは昔から目の敵にされていたんだ。ナリユキ殿が成し遂げたことは、五芒星ペンタグラムの長年も目標でもあったのだ。それに最近ではマカロフ卿の力もあったので手を出すことはできなかった」


「成程。悪い呼び出しにはならないってことでいいか?」


「それは分からん!」


 と、言われたのでちょっと不安だったりするが、まあその時はその時だ。


「じゃあ行ってくるぞ」


「おう。頼む」


 俺がそう言うと、ランベリオンは人型化ヒューマノイドを解き、ワイバーンの姿でカーネル王国へ飛び立った。


「なんか凄い事になってしまいそうですね。学生時代のタテワキさんは波風立てない人だったのに」


「仕事し出してから波風立てまくっていたけどな」


「そうだったんですね。あの話戻ってしまいますけど本当にいいんですか? 子供達と一緒にこっちに移住しても」


「だって絶対こっちのほうが安全だろ? 問題ないよ」


「ありがとうございます」


「今日は疲れたろ。ゆっくりここで休んで明日出発すればいい。うちのワイバーン使えばいいから」


「助かります」


 アマミヤや、他の新しい仲間達が来た為、皆の家を造ってあげた。アードルハイムの地下牢から一気に普通の暮らしができることに皆大喜びだった。


 正直一万程の人数の家を用意するのは骨が折れてヘトヘトだ。MPは使わないが頭をフル回転させているからな。


「それにしても凄いですね。いくら慣れているとはいえ、家をこんなに一瞬で造ってしまうのですから」


 そう言ってきたのは、人型化ヒューマノイドになっているノーディルスだった。


「まあ、流石の俺も疲れているけどな。国造りするっていったときから色々な物を出していたからな。つか報酬渡さないといけないから、4人共俺の屋敷について来てくれ」


「分かりました」


 レンさん達がそう返事してくれると、俺達は屋敷にある応接室で金貨を手渡しすることになった。


「まずは改めてお疲れ様。皆無事で本当によかったよ」


「初日から暴れていたからな」


 と苦笑いするレンさん。でもまあ一ヶ月ほどでここまでの功績を残せたし、レンさんは魔眼を開眼したから結局は良かったんじゃないか? と勝手に思っている。


「うちほぼ何もしてへん!」


 と拗ねるアズサさん。まあ確かに気絶している時間長かったらしいしな。


「まあ反省点言ってもキリないって。結局皆無事に帰ってこれたし、結果オーライや」


「その通り。思うところは皆、個々に持っているかもしれないけど、結果的にはアードルハイム皇帝を倒すことができたからな」


「で、思っていましたが、アードルハイム帝国のトップは今後どうするのですか?」


 ノーディルスからそんな質問が投げられた。


「そこなんだよな。それも踏まえて、ランベリオンにはカーネル王に聞いてもらう。国民から選ばれるなら、ラングドールが妥当だろうな。帝都の人達からの支持率半端じゃないし」


「確かにそうですね。ラングドール副団長だけは、皆に歓迎されていましたからね」


 ノーディルスはそう言って、居酒屋であった事件を思い出していた。


「さて、話はこれくらいで報酬だな」


 俺はそう言って4人に1人ずつ巾着袋を渡した。


「開けてもいいですか?」


「勿論」


 すると、4人は巾着袋を開けるなり驚いていた。


「マジですか? 10枚フルやん」


「ホンマにいいんですか?」


 レンさんがそう言った後にアズサさんも目を丸くして驚いていた。


「ああいいぞ。あとはマーズベルに観光に来た時、宿代は無料にしてあげるよ。人数も増えたからBARや、飲食店をどんどん展開していくから、思う存分に楽しんでくれ」


「今のところこれやりたいってやつはあるんですか?」


「ラーメン屋さんとお鮨屋さんかな。流石にマーズベル湖のものを大量に出すのは気が引けるから、養殖も行って展開するつもりだ。レンさんとアズサさんなら絶対食べたくなるだろ?」


「確かに、めちゃ食べたいです! 是非また遊びにきます!」


「ああ! 今日は約束通りおもてなしするよ。準備しているからもう少し待ってくれ」


「ありがとうございます!」


 4人はそう言って頭を下げた。そこから準備ができたので、マーズベルの幹部達と、レンさん達4人と、アマミヤ達で盛大に楽しんだ。マーズベル産の白ワインと、最近開発したシャンパンは凄く気に入ってくれた。まあ、ワインに関してはルミエール、クロノス、ルイゼンバーンも好きだったからな。


 2時間程だろうか。皆と楽しんだ後流石に俺も疲れたので、ミクちゃんといつものように2人で寝て次の日の朝を迎えていた。

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