第127話 拘束Ⅰ
なんでこうも上手くいかへんねん。
「まさか転生者が2人と、アンデッドと
俺達4人は非常に残念ながら、数百人の兵士に囲われながら、目の前にいるアードルハイム皇帝に嘲笑を貰ってる。結局、マカロフ卿の期待に――。なんで俺はマカロフ卿を中心に考えとるんや? ちゃうちゃう。俺達はナリユキさんとべりーちゃんに頼まれてここにおるんや。お蔭様で映像はバッチリ取れてるけどな。
「それにしても2人の女はうちの部下達が悦びそうな体をしておるな。特に
「ヴヴヴー!」
「おお。怖い。怖い。猛獣をここに置いたつもりはないぞ」
俺達皆、口を塞がれていて、手枷と後ろの柱を縄で繋がれている状態――。感情的になったけど、やっぱり微塵も動くことなんかできへん。それを良いことに、アードルハイム皇帝が嘲笑すると、周りの兵士も嘲笑を始める。
ここにいてる兵士は所感腐ってる。皆が皆薄汚い面をしてやがる。悪い事いっぱい行ってきた顔や。スキルさえ使えればどうとでもなるちゅうのに。幸い。鍵は他の場所に
まあ――。その万が一がまさかアードルハイム皇帝に捕まるなんて思えへんかったけど。
でも思い当たる節はある。べりーちゃん達と鉢合わせしたときに、俺達を怪しいと言ったアイツ。
アイツは俺達が出ていく寸前で、不気味な笑みを浮かべていた。その笑みは恐らくコイツ等は黒だったという笑み。
そう考えると俺はこう仮説を立てる。
あの不気味な笑みを浮かべていたんは帝国兵側の何らかの関係者。それは帝国兵が雇っている人間か、お金も何も貰われへんのに、恐怖心を植え付けられて、何か怪しい行動をしている奴がいれば密告しろと言われているアードルハイム独自の風習の2パターン。
そのパターンで考えて、俺達が目をつけられていたことはまず無いとして、べりーちゃん達がつけられていた可能性が高い。疑心暗鬼であったものの、帝国兵を退治したあの異常な力を見て確信したってとこやろう。
そんで、ついあの不気味な笑みを浮かべたと――。
「こいつ等はコソコソとここを嗅ぎまわっていたのです。この男共にはうってつけの罰が与えられるかと」
「この男共が苦痛で歪んで苦しむ顔が拝めますな」
そう帝国兵達が口々にしてた。こいつ等がしようとしてる罰って一体何なんや。
「このようなタイプの男は、仲間が苦しんでいるところを目の当たりにするのが、一番の苦痛だからな」
「さて、それはどうしてでしょうか? 普通の人のであれば自分に降りかかる苦痛はどうしても苦しいはずでは?」
そう1人の帝国兵がそう言うと、アードルハイム皇帝がその帝国兵をギロリと睨めつけた。
「死にたいのか? このたわけ。貴様の心臓は手中にあるのだ」
「も――。申し訳ございません」
すると、帝国兵達のさっきまで雰囲気は一気に重たくなった。
「この人間はいつでも死んでもいいと覚悟をしている瞳をしている。騎士団長と同じレベルの人間だからな。念波動の数値は4,500と、ラングドール騎士団長と肩を並べている」
短い銀髪に顎鬚を蓄えた老人。老人言うても体から溢れ出るオーラは別格。それに禍々しいナニカも混ざっている不思議なパワーを感じる。コイツは多分騎士団長やろう。
「ガープの言う通りだ。流石だな」
「勿体なき御言葉。有難き幸せ」
ガープと呼ばれる老人はそう言って跪いていた。こんな強い男がアードルハイム皇帝の言いなり。そりゃ組織で動く以上は喧嘩が強い弱いなんて関係あらへん。重要なのは束ねる力とカリスマ性や。それでも、アードルハイム皇帝は恐怖を植え付けて束ねてる。確かにカリスマ性はあるかもしらんが、両方の性質ならこのガープという男も持っているはずやねんけど――。
やっぱり亡命しやんのは、このガープという男も、アードルハイム皇帝に何らかのルールで縛られているからやろうか?
「さあ、あの部屋へ移動するぞ。とりあえず10人だ。後の者は待機しておけ」
「はっ!」
そう言って帝国兵はアードルハイム皇帝に向かって敬礼を行った。俺達の手枷は縄を切られて柱と分断された。
「連行しろ」
アードルハイム皇帝の命令で俺達は、足枷もされているから満足に歩けんまま、1人につき2人の帝国兵をつかされて、無理やり歩かされた。
皇室から出て廊下をしばらく歩くと1つの部屋の扉の前で立たされた。拷問部屋? と呼ぶには普通の部屋っぽいような感じや。
アズサとネオンちゃんを見るとものすごく不安そうな表情をしていた。やから俺は大丈夫や。何とかなる! って謎の自信に満ち溢れたエールを送ろうとしてた。
そう――。してた。
扉が開かれた瞬間、俺は絶望した。
案の定2人の表情を見ると血の気が引いたような顔色をしてた。
2人は部屋の中身を見た瞬間、帝国兵を振り払おうとした。せやけど男の力なんかに勝てる訳がない。
俺はノーディルスと息を合わせて、俺はアズサの。ノーディルスはネオンちゃんの帝国兵に頭突きをお見舞いした。
帝国兵が呆気を取られた隙に2人は帝国兵の力を振りほどいた。
2人は走るのを試みた。
せやけど、数秒も経てば足枷が邪魔をして廊下で2人は転けてしまう。
逃げるタイミングの唯一の隙――。それは見事に打ち砕かれてしまった。
2人の不安はキャパオーバー。既にもう涙目になってしまってる――。そして帝国兵はニヤニヤといやらしい目つきで2人をさっきの部屋に連れて行こうとする。
アードルハイム皇帝の表情は勿論、いい余興と言わんばかりに満足気な笑みを浮かべてた。
そして、もう一度部屋の前に立たされる。
これから起きることを想像しただけで胃液が込み上げてくる。
何故なら――。部屋の中心にあったのはキングサイズのベッドやから。
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