第119話 騒動Ⅰ
「何や? えらい騒がしいな」
「そうだな。何かあったんだろうか?」
鍵を持っているとは言えど、解放できるようなチャンスは未だなく、一日一回、アードルハイム皇帝の部屋の近くの通路で情報収集をしてる。
薄情な事にラングドールは、あれから一度も俺達の様子を見に来やん。たまに、普通の帝国兵が俺達に飯を渡しに来るだけ。拷問とかは受けてへんから、思っていたよりストレスは無い。強いて言うなら好きなもんを食べたいな~。くらいや。まあ、元々俺がノーディルスを誘って散財しやんかったら、こんな危険なクエスト受けてへんねんけどな。お金が無いって今更やけど悲惨やな。
「どうやら第3騎士団の支部基地が破壊されたらしいぞ」
「それで俺達が皇帝に呼ばれたのか」
「らしいな。一体帝国軍のに手を出す連中ってどんな奴等だ?」
「それが聖女様と呼ばれているらしいんだ。奇妙なお面を被った3人組らしい。女性が2人と子供が1人らしい」
「聖女様ね」
「とりあえず皇帝陛下の話を聞くしかないだろうな」
「そこ! 私語を慎め! 殺されたいのか!」
「も――申し訳ございませんでした!」
ゾロゾロと皇帝の部屋に入って行く帝国軍の隊列。ここまで帝国兵が一気に入って行くんは初めて見たからな。緊急事態なんは確かや。
「レン――。どうみる?」
「どうみるも何も、俺達と反乱軍以外に、帝国軍に歯向かう奴がおるってことやろ。しかも女性2人と子供1人ってなかなかガッツのある集団やなってことしか」
「腕には相当自信ありそうだな」
「そうやな。とりあえずちょい戻ろうか」
「そうだな」
ノーディルスと2人でこの狭い通路をほふく前進しているときやった。
《レンさん聞こえるか?》
《ナリユキさんか。あんまり大きい声出されへんし手短に頼んますわ》
《分かった。実はそっちにミクちゃん達が侵入した。そこで少し困ったことがあるから、基地から出れるなら一度出て、ミクちゃん達と会って、うちの幹部にレンさんのスキルで、顔と鑑定士で視た時のステータスを変えてほしいんだ》
《ちょっ待って。べりーちゃん達がアードルハイムにおるんですか?》
《ああ。ラングドール副団長にも会ったらしいぞ》
《もしかして支部基地を破壊したんって――》
《それミクちゃん達だ。あれ? もしかして帝国兵側に知れ渡ってる?》
《そりゃそうでしょ。逆に何でそんな派手な行動起こしておいて知れ渡ってない思たんですか?》
《そうか。それはそれでいいんだ。だから今ミクちゃん達の行動を制限している。反乱軍に匿ってもらうこと今日は出来なかったらしいからな。ラングドール副団長は少し考えさせてくれと言ったそうだ》
《なかなか面白いことになってきたな。で? ナリユキさんからのミッションはとりあえず、べりーちゃん達と会ってくれへんか? ってことですよね?》
《そうだ》
《分かった。とりあえず脱出してみますわ。場所と時間はどないしますか?》
《時間は明日の朝10時にしよう。場所に関してはまた連絡する》
《了解です》
《じゃあな》
そう言ってナリユキさんとの念話は途絶えた。べりーちゃん達がその3人組なら、俺達にとっては好都合や。あそこに住んでる国民達の戦闘力は半端無いし、3人で来たってことは幹部クラスの人間。俺なんかより全然強い3人の可能性もあるから、反乱軍にとったら、めちゃくちゃ大きい戦力補充となる。
「どうだった?」
「何やらべりーちゃん達が支部基地を破壊したらしいで。あまりにも目立ちすぎたから、身動きできへんらしいわ。せやから、明日会いに行くことになった。ネオンちゃんのスキルがあれば、相当遠くないところやない限り、自由に動き回れるからな」
「ただ、バレた時の危険性だよな。あの
「あちこちで問題ばかり起きてるんも面白いけどな」
「帝国兵側からしたら溜まったもんじゃないぞ」
「間違いない。いずれにしても、帝国兵がべりーちゃん達を見つけて襲い掛かるんも時間の問題や。そうなってくると捕まってる人達の解放も難易度が上がってくる。やから、今やらなあかんことをどんどん消化していかんとな」
そう話しているうちに、以前俺以外の3人がマカロフ卿に捕まっていた少し広めの空間まで来て合流した。
「何か収穫あった?」
「そうやな。まずべりーちゃん達がこの国に来て、支部基地を1軒破壊したらしいわ」
「そらまた驚きやな。何人で来てるん?」
「3人らしいわ。女2人、子供1人らしい」
「子供言うてもマーズベルの戦力考えたら、そらまためちゃくちゃ強いんやろうな」
「それは言えてる。たった3人でこの広いアードルハイムの帝都は簡単に堕とせるやろうな。言うてもS級の実力者やったら皆できるから何とも言えへんけどな。どれだけ民間人を巻き込まんと戦えるのかが鍵やから」
「何も考えやんと国潰すとかどっかの漫画のピンクの怪物やな」
「ああ。いきなりエネルギー玉作って地球破壊したヤバい奴やろ」
「お前等一体何の話しているんだ?」
「おっと悪い。漫画の話に逸れとったわ。とりあえずナリユキさんから再度連絡来るから待っとこ」
「分かった」
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