第44話 ベリト戦
「あそこ洗脳されている人少なそうだよ?」
って物凄く可愛い声で言うノアだが、正直オジサンには見えないです。なに? マサイ族なの?
「そうだな。あそこに行こう」
流石ランベリオン。やっぱり視えているのね。
俺達は飲み屋密集しているエリアに向かった。まだ18時くらいなので、外で歩いている人や店の中にが入っていく人の方が多かった。徐々に客がお店に入って行くという感じだ。
当然、ナイフをぶん回している変な輩は一人もいない。まあ、飲み屋が密集しているので、仮に昼間から飲んでビール瓶をぶん回している危ない人もいるが、そんなヤバい人もいないわけだ。それを考えたら、昼間から怒鳴り散らしている大阪の新世界のおっさんって相当ヤバくないか? 大阪出身の部下が言っていたけど本当なの? 旅行に行ったときに新世界も行ってみるべきだったな。
「本当に大丈夫そうですね」
「だな。楽しそうで何よりだ」
「凄いね。夜ってこんなにお店に人がいっぱい集まるんだ。ボクも気になるから行きたいんだけど」
「ノア君は多分その顔だと飲めない。お店の人が出してくれないと思うよ」
「何で?」
「見た目が少年だから。ノア君は人造人間だから人間の年齢とは異なるから飲んでも問題無いと思うけどね」
「ナリユキ。国に戻ったらあの人達が飲んでいる飲み物ボクにも頂戴」
「おう。全然いいぞ。麦、梅、ブドウのどれかがあればとりあえずお酒作れるからな」
「ナリユキ殿」
「ん?」
「近付いてきているぞ」
ランベリオンに言われて俺達が来た南の方角を見てみた。すると、黒翼が生えていないベリトが歩いて来た。こっちに気付いたのか、右手を向け始めた。
攻撃しようと思ったが、一番先に動き始めたのはノアだった。瞬間移動かと錯覚するような速さでベリトの間合いを詰め、こっちに向けている右腕を掴み、あらぬ方向へと曲げた。
ベリトが悲痛の叫びを上げると、酒を楽しんでいる町人は「何だ? 何だ?」と駆け寄ってくる。
そらやじ馬が来るわな――。
いやでも待て――。冷静に考えたらこれはヤバいんじゃないのか? そもそもだ。あの人数を洗脳したのは何でだ? 触れた人間が洗脳にかかって、その洗脳にかかった人間が他人に洗脳させるスキルなのか? じゃああの大人数にナイフや銃を、一気に持たせた仕組みは何だ? 可笑しくないか? 仮に一人一人洗脳してわざわざ「この武器どうぞ!」って渡していたら可笑しすぎるだろ。どんだけせっせと動かないといけないんだ。締め切りに追われている作家かよ。って考えると、広範囲に洗脳をかけて武器を持たす手段があるとしか思えない――。
ふと、見るとベリトは両手を広げていた。
「ミクちゃん! 今すぐ
「は――はい!」
ミクちゃんにその命令をすると、時間が遅くなる錯覚に陥った。これは
この場にいる人間全てに、考える時間を猶予を与えたのだ。
少し遠いから分からないが、ベリトの吊り上がっていた口角がどんどん下がっていくように見えた。そして、洗脳するという選択肢に戸惑いを見せている。世界の時間がいきなり1秒が10秒ほどに感じるのだから――。
俺は
ノアはそれを見て俺が位置辺りまで動いていた。自分が遅いのにノアで早く動いているように見えるので、またもやベリトの表情は曇っていく。
「考えている暇はねえぞ!」
その言葉にびくりと反応し即座に俺に掌を向けた。邪悪で禍々しいパワーをひしひしと感じる。
「遅いぜ」
ベリトはまたもや驚いている。恐らく俺が早くなったように錯覚しているんだ。
そのまま俺はベリトの脚に散弾銃を一発浴びせた。
何の抵抗もできずベリトは足に散弾銃を受け、じわりじわりと服が赤色を滲んでいく。そして地面に倒れ込んでしまった。
「ぐあああああああ」
元の世界に戻った。
その瞬間周囲はパニックの声に包まれた。まあ当然と言えば当然だ。そして、ノアは案の定イライラしている。
町人からしたら俺達はヤバい集団だもんな。そらそうだ。
だが、大声をあげながらこの場から去ってくれたのは非常にありがたい。コイツのスキル思った以上に厄介だからな。
■名前:ベリト
■性別:♂
■種族:魔族
■称号:洗脳と錬金の魔皇帝
■勲章:なし
■MP:30,000,000
■強さ又は危険度:S
■パッシブスキル
物体移動Ⅴ:自身の所有物を、目で視た対象者に分け与えることができる。
二重人格:別の人格がもう一つ存在する。
スキルリターンⅤ:触れたアクティブスキルをランダム方向で弾き飛ばす。但し、アクティブスキルの習得難易度によって無効化できないアクティブスキルがある。
スキルバリアーⅤ:アクティブスキルを50%カットするバリアーを張る。
■アクティブスキル:
■ユニークスキル:
■アルティメットスキル:
「さあどうする?」
俺はベリトにそう問いかけた。
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