第20話 カルベリアツリーのダンジョンⅢ

「弱かったな」


「まあ、ナリユキさんが強いですからね」


「ミクちゃんも十分強いけどな。どれどれ早速確認してみるか」




名前:ミク・アサギ

性別:♀ 

種族:人族

称号:駆け出し冒険者

勲章:なし

MP:30,000

パッジブスキル:鑑定士Ⅲ、熱無効Ⅲ、熱変動耐性Ⅲ、忍ぶ者Ⅳ、翻弄する者Ⅲ、回復士ヒーラーⅢ、絶対切断Ⅱ

アクティブスキル:回転乱舞、火炎放射フレイム・バースト、流星突き、身体向上アップ・バースト

ユニークスキル:天使の翼エンジェル・ウイング

アルティメットスキル:なし




「どうですか?」


「まあ強くなっているな。身体向上アップ・バーストっていうバフのアクティブスキルを入手している」


「お! これはいいですね」


「まあ、クトゥールが身体向上アップ・バーストを使う前に倒したので、どれくらいくらい凄いスキルか見る前に片付いてしまったがな」


 ランベリオンさんはそう言って、バラバラになったクトゥールさんの肉片を見て哀れんでいる。うん。いつからだろう。魔物相手に遠慮無くなってきてしまった。


「ナリユキ殿はどうやら、身体向上アップ・バーストを取得しただけのようだな」


「じゃあ駆ける者と組み合わせたらめちゃくちゃ強いんじゃね? クトゥールがやっているの見てなかったけど」


「もう、クトゥールをイジメるのはやめてあげてくれ。それに先に行こう」


「じゃあ龍の咆哮ドラゴン・ブレスお願いします」


 と、前回と同じようランベリオンさんの龍の咆哮ドラゴン・ブレスが天井に炸裂した。今更ながらこの上がり方は良いのかな? 何か背徳感がある――。しかも天井付近にいる魔物は龍の咆哮ドラゴン・ブレスの餌食になるというオマケ付きだから可哀想。


「よし、行こう」


 ランベリオンさんは、極力戦闘に参加していないから、こういう風に龍の咆哮ドラゴン・ブレスで敵を倒し、いくつもの天井を貫通させたときは、それはもう爽快な顔をしているんだよね。


 それでもこの階層になると飛んでいるときに襲ってくる魔物はわんさかいる。そんなときは火炎放射フレイム・バーストで撃退する。でもナリユキさんの撃退方法は控えめに言ってえげつない。何故なら、ランベリオンさんを倒した時のように、巨大な岩山を出して押し潰しているからだ。欠伸をしながらやっているけど、その岩山を落とすことによって毎回、100はくだらない魔物が死んでいる。恐るべし創造主ザ・クリエイター


「それにしてもナリユキさんのスキルは羨ましいですね」


「まあ便利だもんな」


「それだけじゃないですよ。敵がどれだけ大勢いても蹂躙できるじゃないですか」


「確かに。あ、あぶね」


 一匹の狼のような魔物が逃していたようだ。死の領域デス・テリトリーで間合いに入った物体を瞬時に察知するので、ナリユキさんは直ぐに手に持つショットガンで、冷静に頭を打ち抜く。物理攻撃無効と斬撃無効のスキルがあっても、噛みつかれるのは少し厄介らしい。ナリユキさんにほぼ死角は無い。


 正直なところ、もっと手応えのある敵がいい。


「ここまでだな」


 天井を見ると、貫通はしていない。いや、凄いよ。一気にめちゃくちゃ上がったもん。


「ここは何層くらいなんだ?」


「250層くらいなんじゃないか? ほら見てみろ」


 ランベリオンさんが見ている方向を見ると、鎧を着た骸骨がいっぱいいた。そうアンデッド族である。ここに来て新種がきたああああああってテンション爆上げって感じ。む――何か言い方嫌だな。まあいいや。この階層のフィールドはどうやら荒野。少し肌寒いのがまたいい雰囲気を出しているよね。それに満月も出ている。いかにもって感じだ。


「アンデッドだな。ランベリオン、アンデッドって強い?」


 ランベリオンさんにそう聞きながら、10m級の岩山を落とす辺り無慈悲すぎる。


「普通ならば手こずるわな――生半可な攻撃では倒せないから」


 ここで私とナリユキさんの合体技を炸裂させる。ナリユキさんが無慈悲に落とす大量の岩山一つ一つに火炎放射フレイム・バーストをして、技の規模を大きくさせる。それにアンデッドなら火に弱いはずだし。ほら、みるみる焼けていく。


「大分連携がサマになってきておるな」


「そりゃそうだろ。もう結構一緒に共闘しているんだからよ。ランベリオンも参加していいぜ? 暇だろ?」


「そうすると、スキルの獲得率と経験値が下がるぞ。それにアンデッドはレアなスキルを有しているからな」


「どんなだ?」


「よく見てみろ。岩山で押し潰された奴の中に、バラバラになった骨組みを合わせて、元の姿に戻っている奴がいるだろう」


「本当だ――あ――ミクちゃん――」


「攻撃受けるの嫌なので燃やしますね」


「容赦ないね」


「ふふ――お互い様ですよ」


 で、そこから私達は容赦なくアンデッドを狩り続けた。この階層持っているスキルによったら結構厳しい戦いになるかもしれない。アンデッドはどうやら1,000体いるらしい――それにあれだ――。


 500体程倒すと、3体の巨大なアンデッドが出てきた。体長はおよそ3.0m程だ。


「もういいよ。面倒くさいから」


 ナリユキさんはそう言って50mくらいの岩山を落とした。


 圧倒的な力技で再生のスキルを発動することが出来ず粉々になっていた。ランベリオンさんを見ると、目が点になっている。


「あんなの喰らったら我も死ぬ自信がある――」


 と、声を漏らしていた。まあそうだよね。ナリユキさんがもし敵になったと思うとめちゃくちゃ怖い――。


 そんな感じでこの階層も無事にクリアできた。どうやら、次は休憩のエリアらしいので、ゆっくりと休もう!


「次は休憩エリアだな。ゆっくり休もう」


「そうだな。流石にめちゃくちゃ眠い。俺達24時間以上稼働していないか?」


「不眠のスキルがあると便利なのだが」


「私も眠いので早く行きましょう! ベッドで最高の睡眠とりましょう!」


 こうして私達は魔物が全くいない階層の休憩エリアに行くこととなった。

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