第19話 カルベリアツリーのダンジョンⅡ

 私達はダンジョンに潜り込んだものの、ダンジョンで魔物と戦っているという気がしなかった。理由としては、ナリユキさんが強すぎるからだ。創造主ザ・クリエイターを使い、相手のタイプに合わせて、ライフルやら、スナイパーやら、ショットガンやらを使いこなしている。時には剣を使う事もあった。ただ、剣は駄目みたい。始め太刀筋が甘すぎたし、動き方や構え方も隙だらけで甘かったので、私とランベリオンさんの二人がかりで教えた。私が狩った闇森妖精ダークエルフ回復ヒールができる子がいた。だから、私が回復ヒールできることを良いことに、ランベリオンさんがズバズバとナリユキさんを斬っていた。


 ランベリオンさんの事が久しぶりに魔物だったっことを思い出した。そのくらいナリユキさんをイジメていた。で――今は――。




名前:ナリユキ・タテワキ

性別:♂

種族:人族

称号:神の仔

勲章:なし

MP:8,000

パッシブスキル:駆ける者Ⅲ、鑑定士Ⅲ、物理攻撃無効Ⅲ、狙撃手Ⅳ、熱無効Ⅱ、熱変動耐性Ⅱ、斬撃無効Ⅱ、自動回復Ⅱ

アクティブスキル:火炎放射フレイム・バースト死の領域デス・テリトリー

ユニークスキル:創造主ザ・クリエイター

アルティメットスキル:なし




 と、このように、何回も回復ヒールをしていたので、自動回復と斬撃無効のスキルが、ナリユキさんについてしまった。あと、気付いたことは鑑定士スキルを上げたことによって、MPが見れるようになるらしい。どうやら、MPは隠しステータスだったようだ。ランベリオンさん曰く、ナリユキさんは普通の人と比較して、MPは少ない方らしい。まあこれはランベリオンさんと比較すれば早い。




名前:ランベリオン・カーネル

性別:♂

種族:竜族 飛竜ワイバーン種:ジェネラル・ワイバーン

称号:飛竜ワイバーンの王

勲章:☆☆☆

MP:15,000,000

パッシブスキル:鑑定士Ⅴ、熱無効Ⅴ、熱変動耐性Ⅴ、硬質化Ⅴ

アクティブスキル:地獄の炎弾ヘル・フレイム龍の咆哮ドラゴン・ブレス火炎放射フレイム・バースト灼熱の尾バーニング・テール人型化ヒューマノイド

ユニークスキル:死の灰デス・アッシュ

アルティメットスキル:地獄の火炎玉ヘル・フレイムボール




 ランベリオンさんのアルティメットスキル、地獄の火炎玉ヘル・フレイムボールは王都をも一撃で火の海できる程強力なスキルらしい。そして、死の灰デス・アッシュで、直撃した人間はスキルが無い限り灰になって命が尽きる。それほど強力なスキルなので、MPの消費量がえげつないとのことだけど、MPを消費する遠距離戦がランベリオンさんの戦い方らしいので、これだけ多いのだとか。でもまあ、個体差はあるらしいけれど、それだけ多いならもっと色々なスキル覚えたらいいのに、人間じゃないから無理だって拗ねていた。


 まあ、私もあれから大分強くなったけど。どうやらモトリーナの村でランベリオンさんの尻尾を切断できたことが異常だったらしい。戦闘経験を積むことで、絶対切断というパッシブスキルが身についた。硬質化のスキルを持っている魔物や人でも、切断することは可能らしい。斬り方とかにもよるんだけどね。


「ミクちゃん、次で100層だ! 気合を入れていこう!」


「ですね!」


 私達はもう100層に辿り着いていた。ランベリオンさんは問題なく突破できると言っていたけど大丈夫だろうか。100層目の扉が開かれた――。


「久しぶりの客人だな――ぬぬぬぬ――ら、ランベリオン! 何故貴様が人間と共に行動しておるのだ!」


 いや、緊張感なくなったよね。完全に――。この100層目のミノタウロスの魔物。めちゃくちゃランベリオンさんにビビっている。その巨大な体でビビりって――。ほら、ナリユキさん、凄いジト目している。


「いや、我の友人なのだが? それより、久しぶりだなクトゥール。このダンジョンに引き籠ってばかりだと暇だろうに」


「暇ではないわ! 本などを読んだりして価値観を深めておるのだ! どうだ偉いだろ」


「お前が読んでいるのって本じゃなくて漫画だろ?」


 漫画ですと!? 何故そんなものが異世界にあるの? これもまた転生者のお土産か何かなのかな?


「う、うるさい! それよりそこの二人は俺様と戦うんだよな? ランベリオンよ、貴様まで手は出さんだろうな?」


「出さんわ。というか、男の方は我より強いぞ?」


「そんな馬鹿な冗談はよせ。会わない間にジョークの質が落ちたな。ワイバーンジョークも地に堕ちたものだ」


 と、ミノタウロスのクトゥールは高笑いしている。何だろう、早く倒したい。まあ、まずは鑑定だね。




名前:クトゥール

性別:♂

種族:牛魔族 牛獣人ミノタウロス種 ドン・ミノタウロス

称号:牛魔の番人

勲章:なし

MP:30,000

パッシブスキル:駆ける者Ⅲ、物理攻撃無効Ⅲ、痛覚無効Ⅲ

アクティブスキル:身体向上アップ・バースト、回転乱舞

ユニークスキル:なし

アルティメットスキル:猪突猛進インパクト・アタック




 残念な魔物だ。私達の強さが分からないのか。鑑定士のスキルを持っていないと絶対に不便よね。でもまあ、普通の人ならこのボスで苦戦しそうだ。決して弱くはない。B級の魔物ってところかな?


「さあ、俺様の仲間達よ! 奴等を蹂躙するのだ!」


 仲間のお出ましだね。クトゥールより小さいミノタウロスがいっぱい出てきた。て、言っても私なんかより全然大きい。2.0m程はあるのかな?


 でも雑魚には変わりない。


「は? 俺様の仲間が、 女子おなごのレイピアで一瞬で倒されるだと?」


「お前の相手は俺だ」


「は?」


 ナリユキさんの方を、遠慮なくロケットランチャーを放っていた。いや、もう本当になんでもありだ。でもクトゥールには痛覚無効のスキルがある。


「ぐぬぬぬぬ。つまらん煙だな。あれ?」


 気付いたようだ。クトゥールは戦斧を持っているけど、さっきのロケットランチャーで腕を吹き飛ばしていた。まあ、驚くのも無理は無いか。とりあえず先制攻撃だ。


「ぬ?」


 狙うのは目! 私はレイピアでクトゥールの目を貫いた。クトゥールは痛みは感じないものの、見えない! と言って叫んでいる。ごめんね。でも駆ける者Ⅲは厄介だから、先手を打つね。


「さあまだまだ行くぜ!」


 ナリユキさんはそう言って再びロケットランチャーを放った。まあ狙撃手のスキルがあるから外れることは無いんだけど、冷静に考えたらめちゃくちゃセコいスキルだよね。あ、ナリユキさんがこっちを見てきた。うんって頷くとナリユキさんは、ロケットランチャーを消して、ショットガンに変えた。


 私も用意はできている。回転乱舞と、流星突きの準備だ。


 ナリユキさんは戦斧を持たない片腕のクトゥールの頭にショットガンを放った。当然、出血はいっぱいしていて、顔は変形している。


 そして、その後に、私は回転乱舞でクトゥールの体をズタズタに切り裂く。そして、自分でも毎回信じられないんだけど、流星突きと名前の通り、もの凄い速さの突きを30回行うと、クトゥールの体はミンチの如く、バラバラになってしまった。

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