第18話 カルベリアツリーのダンジョンⅠ
あの後、我の依頼はどうすればよい? とランベリオンが質問していたが、ルイゼンバーンさんがどうやら交渉してくれるらしい。それにレンファレンス王国がなかなか納得してくれないなら、ルイゼンバーンさんが直々に動くとのことだった。みんな大変だよな。厄介ごとに巻き込まれて。
ただ、俺達の場合ならマーズベル森林の魔物でも良かった気がするんだけど。
あれだな、見上げれば見上げる程、スカイツリーのような高さだなと思える。
「凄い――」
俺達は、王都から北東に100kmほど離れた場所にある、カルベリアツリーというダンジョンの入り口に来ていた。地上高は600m程あるらしく、もはやスカイツリーのような高さだ。そして、高ければ高いほど強い魔物がいるのだろう。どうせ一番高い場所にあるのは100層だろ? 知ってるよそんなもん。
「このダンジョンは1,000層まであるのだが――」
「は? 1,000? 100層じゃないの?」
「違う。100層の敵なんて我等からすれば雑魚も同然だな。いや、雑魚ではないか。100層毎に強い魔物がいるからな」
「ナリユキさん。1,000層ですって。思っていたのと違いますね」
「確かに。なんか裏切られた感じするわ」
「そもそもの話だけど、魔物と共存しているのに、王都じゃ阻害された魔物がいるってのはやっぱり差別化しているんだよな?」
「少し違うかな。この塔にいるのは、我にカーネルの名を与えてくれた、カーネル王が創り出したものだ」
「もしかして、その当時の王様ってめちゃくちゃ破天荒だったのか?」
「確かに破天荒な王だったな。で、そのカーネル王は、このダンジョン娯楽として使うよう命じた。クリアした階層毎に報奨金も与えていた。例えダンジョン内で死んでも、1層目で
「成程な。で、今はどうなってんだ? 報奨金が出るなら人はもっといていいはずだけど」
「今は、人工の魔物が外に出ないように結界のスキルは張り直したが、
「ランベリオンが階層にいる魔物とすればどれくらいの階層だ?」
「我は600層くらいまではいったな」
「余裕じゃん」
「ちょっとディスりが酷い」
「ナリユキさん。張り切っていきましょう!」
「そうだな。因みに外からは攻撃できないのか?」
「できん。1,000層にいる魔物が結界を張っているからな。中で戦うしかないのだ」
「成程。とりあえず中に入ろうぜ」
「そうですね!」
「本当に良いのか? 引き返しても全然いいんだぞ?」
「一気に強くなれば怖いもの無しだろ?」
「私もナリユキさんのように強くなりたいので!」
「分かった入ろう」
そのランベリオンの言葉で俺達はダンジョン内に入っていった。受付をしている女性の人間が一人いたのだが、その人はめちゃくちゃ適当だった。
「ランベリオン様とお連れ様ですね。カーネル王国では一切責任を負いません。しかし、攻略すれば階層によって報奨金が出ます。引き返すなら今しかありませんが、本当に入場されるのですね?」
「勿論」
俺が返事をすると、「ではご無事で~」と言っていたが、絶対に心を込めて言っていない。目の下にはクマがいっぱいあったので、推測するにダンジョン内で死んでいる人が多いから、ストレスであまり睡眠を取れていないんじゃないだろうか? それが一周回ってあんな態度になっているのだろう。まあ――大変だわな。
俺達はダンジョン内で1層目の魔物と対峙した。不細工な面をした雑魚の魔物だ。軽く蹴っただけで撃破できるから正直うんざり。喋りながらでも階層をクリアできる。でも、不思議だ。標高600mで1,000層まであるのに、天井までの高さは10mくらいある――。
「このダンジョンどうなっているんだ? 天井がやたら高いのに、ここに1,000層あるって」
「このダンジョンはスキルで空間が拡張されているのだ。だから、色々なフィールドもあったりするぞ? 空間拡張だけではなく、氷やマグマの階層もある」
「成程。因みに報奨金ってのはどのくらいだ?」
「ダンジョンは100層毎に報奨金が出る。まあ500層くらいまでは軽々行けるはずだから金貨1,000枚は固いぞ?」
「マジ?」
「でもまあ命を懸けているんだから安い気もするがな」
「それそうだ」
「わ! この魔物可愛くないですか?」
ミクちゃんはそう言って魔物を拾い上げた。見るからにウサギなんですけど。
「確かに可愛いけど。そいつミクちゃんの腕を噛んでね?」
そうミクちゃんの腕にウサギが噛みついている。魔物に噛まれているんだぜ? 普通なら出血しても可笑しくないと思うんだけど。
「全然痛くないんですよ! ほら諦めた顔して無抵抗になりまたよ?」
ミクちゃんの腕を噛んでいた魔物は拗ねたのか、頬を膨らませて無抵抗でミクちゃんに撫でられている。なんかあれだな、気まぐれな猫みたいなだな。
「ランベリオン。ここの魔物を狩っていて俺達に必要なスキルが集まるのか?」
「厳しいな。鑑定士のスキル経験値が少しずつ上がっていくくらいだろう」
「成程。天井にデカい孔を空けて、一気に登ることはできるのか?」
「できるぞ? するか?」
「当然」
ランベリオンは頷くと、大きく深呼吸をして天井を見上げた。
「
うわあ。すげー威力だよ。口から馬鹿デカい赤色のエネルギー波出しちゃったよ。しかもギイイイイイイイっていう超高音が特徴的すぎる。
「これでよいかナリユキ殿?」
「十分だろ。何層まで貫通したんだよ。ランベリオン、乗せてくれ」
「お安い御用。ミク殿も我の背中に乗られよ」
ランベリオンは
そうやって俺達はダンジョンを一気に駆け上がった。
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