第23話       イシカワ㉒

「どぉ? ユガムッチ」


「あ……ありがたき幸せであります、移女王たま」


 どうやら満足した様子の速皮喩我無(豆タンク)は、光悦の表情を浮かべて天井を仰ぐ。少々やり過ぎたとは思ったが、何せ大切なスポンサー様だ。これぐらい刺激的な方が丁度いいだろう。


 ……さて、ドMが覚醒した豚丸くんの調教は済んだ。最後の『賭け』に挑もうじゃないか。


「じゃあラストゲームいっきまぁーす!」


 俺はルーレットを回した。


 来い……来い…………来いっ!


 強く念じながら指先でダーツを引っ張り────投げた。




 【愛妻優】




 キャハァ────ン! キタァ────────────!!


 ──女神降臨。俺は遂に愛妻優(ロリ顔)を引き当てた。


「あ~、あたしかぁ。どんなゲームになるのかな?」


 頬を桜色に染めながら、スマホの画面を注視する彼女に、俺は山本なつみの姿を重ねた。


 いや──


 戻らない時間を嘆いても全くもって無意味だ。いつまで後生大事に拝んでんだよ俺!?


 哀しい過去とはもう決別したい。女々しいどころか、女々々々々々しい。駄目だ駄目だ、しっかりしろよ俺! と、心の中で気合いを入れ直し、プレイング・ルーレットを回した。


 狙うは当然【キス】。しかし、仮に【定規】が連チャンしてまったらどうしよう? その場合は軽く手首にシッペでも試みるか? いや……逆に、ケツをおもいっきりフルスイングするのもアリか…………グフフ……グフフフフッフッ。おっと、余計な事を考えちゃ駄目だ。全ての神経を指先に集中させろ!


 俺は深く息を吸い込み、全ての煩悩、欲望、その他諸々の邪念全て、【キス】を引き当てる事だけに集中させた。




 いっ……けぇえええ!




<続く>

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異世界転生に失敗したけれど、結局カワイイって最強。 ミルシティ  @genki711

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