第22話 イシカワ㉑
ボヨヨヨ~ンと、東急ハンズに置いてありそうなパーティー用CDに収録されている効果音がピッタリな、速皮喩我無(豆タンク)の下っ腹。
一体何を食えばここまで肥大化するのだろうか? つか、何人か人間入ってんじゃね?
「移女王たま、仰せのままに……」
速皮喩我無(豆タンク)は、両手を広げて全てを受け入れた意思を見せる。
……ほほぉ。いい覚悟じゃねーか。新生移女王たまが、その気持ちに応えてやるよ。
「じゃあ、一二の三で、いくよ?」
「どんと来いでありま――」
────ビチィ!
「ひぐぅ!」
ノーカウントで繰り出してやった、定規の『面』によるフルスイングは、速皮喩我無(豆タンク)の下っ腹にジャストミートした。
速皮喩我無(豆タンク)はくの字になって悶絶する。下っ腹には定規の後がくっきりと浮かび上がってきた。
どうだ? 暇すぎてバッティングセンターに通いつめていた頃に磨き上げた、俺のスイングの味は?
「……ア、アリであります」
え?
「意識不明の重体から復活を遂げた移女王たまは、以前にも増してトリッキーかつ、パワフルであります。女王たま……おかわりを嘆願するであります!」
う……も、もしかして俺、コイツの新しい『扉』を開いてしまったかも知れないな………まぁいい、望むならば与えてしんぜよう!
「欲しがるね~ユガムッチ。んじゃあ」
──ビュ!
────ブワァィチィ!
「ふぐお!」
「もう一丁サービス!」
────バチィイイ!!
「ぎゃむっ!」
定規の面によるフルスイングショット合計三発を喰らわせてやった。膝から崩れ落ちた速皮喩我無(豆タンク)の下っ腹には、みみず腫がくっきりと川の字に浮かび上がってきた。それはまるで土佐潘白札郷士、武市瑞山の切腹を彷彿させる光景だった。
<続く>
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