第12話 イシカワ⑪
「ごめんね~、お待た……きゃっ!」
激烈美少女は、席に到着する直前、足を滑らせてしりもちをついた。
「……いたたたた」
え? 今、何もないのに転んだぞこの子。
俺は咄嗟に激烈美少女へ歩み寄り、「だ、大丈夫?」と声を掛けた。
「お~タッキー。大丈夫大丈夫。そんな事よりも退院おめでとー」
しりもちをついたまま、ニヘラと笑う激烈美少女。
や……やっべぇ───────!カワイイすぎるぅ! 早速データだ!
ピロン♪
【愛妻(あいさい) 優(すぐる)◆愛称:すーちゃん◆身長155センチ:ナイショ♪◆茶髪のロングヘアー◆超童顔◆基本は可愛い系の服装で季節とTPOに応じた服を着る(周りが引く格好ではない)◆趣味人で色んな趣味があり◆空きっぽい◆ヲタネタも行ける◆滝本移、可愛絆と親友であり、三人の中では突っ込み役】
ぐふ……コイツは大当たりだぜ。ぶひゃひゃひゃ………
「すーちゃん、立てる?」
愛妻優(ロリ顔)に手を差し伸べると、彼女は俺の手を掴み、「あはぁ、ありがとー。タッキーは年中無休で優しいねぇ」と、満面の笑みを俺に向けた。
……あぁ、ちっちゃくて柔らかい手だなぁ。吐血しそうなくらいカワイイじゃないか。
ファニーフェイスから放たれる、神秘的なハニースマイルに一目惚れした俺は、愛妻優(ロリ顔)を引き起こした。
「おーい、早く着席しないと料理来ちゃうぞー」
可愛絆ビッチが手招きをして俺達を呼ぶ。すまん……可愛絆ビッチよ。お前も勿論カワイイし、胸もデカイ。だがしかし、俺はロリ顔が大好物なんだ。悪く思うな。と、ハードボイルドを装った心境の中で、勝手な優先順位をつけながら着席した。
六人が座れるテーブルに 左から可愛絆ビッチ、俺、愛妻優(ロリ顔)の順に座った。向かいの席に座る緒方力也(筋肉バカ)と速皮喩我無(豆タンク)が多少目障りではあるが、こちとら両手に華状態。まぁよしとしよう。
ん?
速皮喩我無(豆タンク)がスマホをこちらへ向けている。直後、カシャカシャカシャカシャカシャカシャ──と、連写音が鳴った。
「……壮観であります」
壮観であります。
じゃねーよコラ! テメー何勝手に写真撮ってんだよこの豚野郎!
突拍子も無い速皮喩我無(豆タンク)のガトリング写メに対して怒り心頭の俺だったが、写メを撮り終えた瞬間、速皮喩我無(豆タンク)は目にも止まらぬフリック操作でスマホをいじりだした。
直後──
速皮喩我無(豆タンク)を除く、四人のスマホからLINEの着信音が鳴り響いた。俺はスマホをバッグから取り出し、内容を確認すると、今撮影した写メがアップされていた。
うお! くっそカワイイ! コイツ、中々粋な事してくれるじゃねーか。まぁあれだけ連写しといて、一枚しか送信してこねーのは腹立たしいがな……
憤りを覚える俺の右隣で、愛妻優(ロリ顔)もスマホを覗き込み、「わぁ、いい感じ~。タッキーやっぱ顔ちっちゃいね~。ゆがむっち、いつもカメラマンありがとー」と、笑顔で喜んだ。
「じゃあ皆揃った所で、ドリンク注文しよっか」
可愛絆ビッチがメニュー表を全員に渡した。
……遂に始まる。俺の転性祝賀会………酒池肉林の宴が!
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