第4話 イシカワ ③
「さてと……」
俺はスマホを開き、メールに添付されていた『転生したあなたへ』というファイルを開いた。
その内容は、カード会社の利用規約並みに細かい文字で、転生規約が第一条から第五十条までびっしり記載されている。俺はその内容を華麗に読み飛ばし(てゆーかほぼ読んでいないが)、『転生規約に承諾する』という項目にチェックを入れた。すると、【後日素敵なプレゼントが届きます♪】などというメッセージが現れた。
転生祝い金でもくれるのだろうか?
まぁ、そんな事はさておき、ここからが重要だ。俺は別途で送信されてきた『滝本移に関する情報』をクリックした。
ん? 今、なんか頭に違和感が……
画面には【滝本移に関するデータをそちらへインプットしました。頭の中に思い浮かべれば、いつでも情報を「視覚ウインド」にて閲覧する事が可能です】と、書いてある。
ふ~ん、なんかRPGみたいだな。んじゃまとりあえず……俺は滝本移のデータを呼び出した。
ピロン♪
【滝本 移(うつり):二十歳、都内在住の女子大生。◆エロゲ好き。◆コスプレ好き(人前には出ない)。◆メカも好き。◆可愛いもの好き】
ぐむ……ざっくりすぎてこれは情報と言えるのか? まぁいい。なにせこの子の身体でこれから生きていくのだから、家族構成やら相関図などを頭にブチ込まなければならないからな。
数分後──
俺は視覚ウインドから滝本移に関する情報をざっくりと頭に入れた。勉強とは違い、するすると情報を記憶する事が出来た。なによりカワイイ女の子の個人情報ほど興奮するモノはない。
ぶひゃひゃひゃひゃ! と、気持ち悪い笑い方を思い浮かべていたら、突然病室の扉が開いた。
「お、お姉ちゃん……」
「え?」
「お姉ちゃぁああん!」
うお……
突然女の子が抱きついてきた。えっと、この子は確か……
俺は視覚ウインドを開いた。
ピロン♪
【滝本 縁(ゆかり):都内の高校に通う十七歳の高校二年生。姉の物をよく無断で持ち出しては説教を喰らうお転婆で、考え方が武闘派。◆髪型:セミロング。◆メガネっ子。◆服装:清楚系で外では猫を被っている。◆色白で黒髪、何故か喧嘩が強い】
妹か……
「……よかった。本当によかったぁ……うええーん!」
号泣して喜ぶとは姉思いのいい子じゃねーか。なにより移コイツ並みにカワイイし。
本来ならば意識不明の姉が奇跡の生還を果たした喜びを、姉妹で分かち合う感動のシーンなのだろうが、俺は違う感動を覚えた。
何故ならば──
「うわぁ~ん! お姉ちゃん、お姉ちゃあ~ん!」
密着する妹の胸に俺は顔を埋めている。姉の貧乳とは百八十度違い結構な巨乳だ。
四十歳にて童貞の俺は、魔法使いを通り越してもはや大魔導師の域に達している。そんな俺に舞い降りた『圧迫プレイ』という、奇跡の『性感』に感動し身を震わせた。
「……うぅ」
「あ……ご、ごめん! 苦しかったよね。私嬉しくてつい……」
妹の巨乳が俺の顔から剥がれた。え? もうやめんのか? 俺、まだ大丈夫だけど。
「私、お母さん呼んでくるね!」
そう俺に告げた妹は病室を出て行った。クソ……もう少しだけ巨乳を味わいたかったな。
<続く>
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