第2話 イシカワ ①
「────はっ!」
意識が遠ざかったと思った瞬間、突然目覚めた。
なんだ? ここは……どこだ?
どうやら俺はベッドの上に寝かされている。周囲を見渡すと、何やら医療機器と思わしき機械がある。
病院……か?
眼球だけを動かして、情報を収集していると、眼前にナース服を着た女性が現れた。
「滝本さん! 聞こえますか!? 先生、滝本さんが目を覚ましました!」
滝本……? 誰だよそれ、俺は一ノ瀬だぞ?
看護士と思われる女性があわただしく対処している最中、再び意識が遠のき始めた。
何だよ……俺は助かっちまったのか…………でも、俺には治療費も入院費も払う金なんて………………
「───はっ!」
俺は再び目覚めた。身体をゆっくりと起こし、周囲を見渡すと、どうやら此処は病院の個室らしい。
おいおいマジか……個室ってめちゃめちゃ高いんじゃ……それに、何日入院してたかわかんねーけど、俺には一円足りとも金なんてねーぞ。
要求されるであろう高額治療費。そんな不安に苛まれていると、『もよおしてきた』。
とりあえず……トイレだな。
俺は立ち上がり、スリッパを履いて個室に設置されているトイレまで歩いた。洗面台に備え付けられているドレッサーを横切ったその時、俺はそこはかとない違和感に気付いた。
「──えっ!?」
ドレッサーの鏡に女性が映ったのだ。慌てた俺は、「だ……誰ですか?」と振り返り、恐る恐る話しかけたが、返事が無い──
看護師……? いや、この個室に憑く女の地縛霊……?
様々な可能性を頭の中に駆け巡らせたが、らちがあかない。俺は意を決して、もう一度ドレッサーの鏡を確認する事にした。
「よ……よし」
呼吸を整え、バッ!っと、鏡の前に俺は立った。そこに映し出されたのは、見た事もないくらい、カワイイ女の子だった──
「……え? え」
ええぇ────────!! などという叫び声は出ず、俺は以外と冷静沈着に鏡をまじまじと見つめる。
なになに? くっそカワイイんすけど。え? これ俺? 俺なの?
鏡を見ながら俺はある考えに到達した。これはあれか? 有名な『入れ替わり』っていう現象ですか? もしもそうなら、まずは身体検査だ。何事も確認から始めなければな。
鏡を見ながらこの女の子に関するデータを確認する。まずは髪型、金髪のストレートショート。耳大きめで、ピアス穴有りっ……と。顔は結構童顔だが、目が目ぇーなくらい大きい。鼻はほどほどに高く、唇のポッテリ気味もいい感じ。猫みたいな印象の顔だ。
「……ゴクリ」
わざとらしく喉を鳴らして、次は上半身の確認だ。何はともあれ、まずは胸……よし。
生まれて初めて触る女の子の胸……これは流石に興奮するぜ…………
俺は荒ぶる鼻息と共に、全神経を掌に集中させて、そっと胸に手を当てた。
あ……あっ、あああ─────────んん……?
まな板だった。
超がつくほどのつるペタだぜコイツぁ……入れ替わりあるあるの『主人公の男が胸をポインポインと触り悦に浸る』感覚ってのを期待していたが、見事に裏切られたぜ。
まぁ、これはまだ前菜に過ぎぬ。メインディッシュはなんといっても下半身……かはーんすぅいーん! だからな。
俺はすばやくジャージを下ろし、下着を露出させた。ドック……ドック……みたいな音が聞こえたかどうかは定かではないが、思いの外ドキドキはしている。何せ、『秘境』を目の当たりにするのだから、心拍数もそれなりに上昇するだろう。
まずは外観。下着は薄いピンクの小さいリボン付き。そして、当然ながら男性のシンボルタワーの影も形も無い。
四十年間、画面や写真でしか見た事がなかった部位と遂にご対面の時来る……否が応でもテンションはマーックス!
俺は下着に指をかけた──
<続く>
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