第49話 黒江 兼
「あれは何だ……?」
空に浮かぶ黒い布を纏ったまさに死神の様な出立ちをした男を見て『
デルメアとラグナは空に顕現した男の正体を知っているのか今までの魔力など比にならない程に凄まじい魔力量を身体の周りに展開していた。
「あれが
ラグナは口元を『
それと同時に辺り漂わせていた魔力を手元に集中させ攻撃を仕掛ける準備を始めた。
「まずは小手調べだな」
「凄っ。この時代にこの組み合わせが見れるとは」
デルメアは『何か』の魔力を見て思わず感嘆の声を上げるがその顔は心底楽しそうであった。
そんなデルメアを
「さあ、耐えてみろ。人類の調律者よ」
ラグナの右手から放たれた魔力は空中にその身を投げ出した瞬間、暴発したかのように巨大な魔力の塊に姿を変え、一直線に熱を帯びながら黒江と呼ばれた男の元へ向かって行く。
────彗星魔術か。
黒江は特に驚いた様子も見せずに向かい来る魔力に向けて一つの剣を生成した。
長刀と呼んでもいい細長い日本刀の様な刀を鞘から抜くのではなく、黒江は黒い物体から突如としてその剣を顕現させた。
「久し振りの好敵手だ。気張っていこう」
黒江は生み出した剣を一度空へ掲げてた。
剣は光を貪り食うかの様に空一面に黒い靄のような物を展開させ、その靄は下の巨大な魔力に手を伸ばし始める。
そして、黒江が刀を下に下ろした時────靄はまるで生物の様にラグナが放った魔力に喰らい付いた。
ラグナの魔力は瞬く間に侵食され、僅か数秒で空中から消え去った。
「俺と同じ、消す能力という事か」
「前から試してみたかったんだ」
ラグナの言葉を他所に黒江は地上に降りながら言葉を紡いでいく。
「消す能力同士がぶつかり合えばどうなるのか────リューアが認めた友って奴がどれだけ奥の手を隠してるのか。見定めさせて貰うよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます